「よふかしのうた」と武道館
Creepy Nutsというヒップホップユニットをちゃんと認識したのは2018年6月にオードリー武道館のテーマ曲を依頼した時だったと思う。「DJのくせにやたらと喋るやつだなぁ。でも面白いやつだな」これが松永さんへの第一印象でした。なんとなく気になったのでこの直後からCreepy Nutsのオールナイトニッポン0を聴くようになって徐々にその人となりを知っていくようになった。20代の男子2人が時に熱く語り、いつもふざけ倒している。そんな彼らのラジオにすぐハマっていった。
そこから数ヶ月が経ち、オードリーのオールナイトニッポンにCreepy Nutsがゲスト出演して依頼していたテーマ曲が初めて披露された。「よふかしのうた」というタイトルの曲は、深夜ラジオを聞いてきた2人の思いが溢れ過ぎていて、これを武道館で生で聞いたら絶対に感動するだろうなと思っていた。ここから3ヶ月くらいはこの曲をエンドレスリピートで聴き倒していた。
そして2019年3月2日、「オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアーin日本武道館」が開催された。事前にシークレットゲストが予告されていたので、Creepy Nutsの登場を密かに願っていた。しかし彼らは幕間のコメントだけしか出てこなかった。とても残念に思っていたが後に当時のディレクターの石井さんと松永さんのやりとりを聞いて納得した。(たぶん松永さんがどこかで話していたはず…)
「次は君たちで武道館を満員にしてくれ」
多少言葉は違うかもしれないが石井さんは松永さんにこんな内容の事を言っていたそうだ。これは推測に過ぎないが、ゲストではなくCreepy Nutsの力で近い将来武道館公演を実現させるであろうと信じていた石井さん、尊敬する若林さんがオールナイトニッポンを10年やって辿り着いた晴れの舞台を邪魔したくないし、いつかCreepy Nutsとして自力で同じ舞台に立つ事を松永さんが望んだのではないだろうか。この事を知った時にCreepy Nutsがいつか武道館でライブをする時が来たら絶対に行くと心に決めた。
オードリー武道館が終わった頃からCreepy Nutsのメディア露出が徐々に多くなり(これは佐久間さんがきっかけを作ったと思う笑)、松永さんは多忙の中DMCに参戦する事を決め、まずは日本一のDJになり、ロンドンで行われたDMC DJ WORLD CHAMPIONSHIPS 2019でも優勝して世界一のDJとなった。
「日本一のラッパーと世界一のDJ」のユニットとなったCreepy Nutsの勢いは日を追うごとに増していき、ヒプノシスマイクへの楽曲提供・CM出演・ラジオ番組のイベント開催・菅田将暉とのコラボ等、メディアで見る機会が激増した。そしてコロナ禍で先の見えない日々が続く中、2020年11月12日に日本武道館公演が行われることが発表された。自粛生活を送り、イベントは無観客での開催を余儀なくされていた期間が長かったので、開催自体されるか不安だったが2日間に分けての開催となった。
ライブはスポットライトからスタートした。「渋いスタートだな…」そしてあのイントロが流れてきた。何百、いや何千回と聞いてきたから条件反射で分かる。「よふかしのうた」だ。歌詞なんか見なくても全部覚えている。武道館で聞いたら絶対に泣くだろうと思っていたが、不思議と涙は出ずにこの2年半くらいの事が走馬灯のように流れてきた。なんとなくボーッとしていたら数曲が終わっていてMCが始まっていた。喋っているRさんを見ていたらふとモニターに目頭を抑えている松永さんが映った。あの時は普通に笑ってしまったが無理もないだろう。もし自分が尊敬してやまない人が客席で見てる中で、その人のために書き下ろした曲を同じ舞台に立って演奏することができたら想像するだけで涙が溢れてしまいそうだ。こんな夢みたいな事を実現させられるのはほんの一握りの人だろうから羨ましくもあり、ある意味嫉妬してしまう笑
演者でもないくせにライブから2日経ってもまだ抜け殻のようだ。それだけ自分の中でCreepy Nutsという存在がこの2年半の間にとてつもなく大きくなっていたのだろう。これだけの楽しみや喜びを与えてくれた2人には本当に感謝しかない。そしてこれから更なる高みへ登っていくCreepy Nutsを同じ周波数のムジナと社会不適合者と共に見続けていきたい。
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