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ノベルマガジンウラジゲンvol.1

10
まとめて読んでやるよという剛毅な方専用のマガジン。 10作品収録予定。
最終的に単体で買うのより相当オトクです。 ※単体購入100円~200円×10=1000円~2000… もっと詳しく
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#近現代舞台

逆~さかさ~

(ヤバい。これは絶対ヤバい) ある雨の春の朝。揺れる路面電車の中で、勝村亮はそう内語していた。 (俺はやってない。わざとじゃない。 ……でも、それは通用しないだろうなぁ) はぁ……と、器用に心の中でため息を吐く。 (これだけあからさまじゃ、絶対……) だらだらと冷や汗を流す彼の手の平は、前に立った女性の股間に当たっていたからである。 (……どうしよう) しっとりとした……それは雨のせいか否か……彼女のタイトスカートに吸い付くように。 □ 「やっべ! 遅れる! ぜったい遅れ

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妖怪繰擦繰之件

「こちょぐりたい」 山の森ののっぽ杉。その高い枝の上に、ぽつんと少女が座っていた。 この山には熊もいなければ鹿もいない。タヌキすら見かけない。 「けしからんやつめ」 と、続けてよく分からないことを呟くものの、誰もそれに反応しないのでうぬぬと可愛らしい声で唸って黙ってしまった。 だがそのまま黙ったままだと悔しいので数秒もしないうちにひらりと地面に降りる。 まこと落ち着きがない。 着物のおしりをなんとなしに払い、素足でペタペタ歩き始めた。 すると途端に鼻歌を歌い出したり

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