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ノベルマガジンウラジゲンvol.1

10
まとめて読んでやるよという剛毅な方専用のマガジン。 10作品収録予定。
最終的に単体で買うのより相当オトクです。 ※単体購入100円~200円×10=1000円~2000… もっと詳しく
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記事一覧

ウサギがゾウに登るとき【上】

 女戦士の巨体が大鬼を文字通り弾き飛ばし、衝突したもう一体と共に絶命させた。  探索者 マニイ  汎人族 戦士 女 加護【象神】  好きなお菓子は串団子。  常識に照らせば、汎人族の探索者が大鬼を打ち倒すことは容易ではないが、稀でもない。探索者における汎人族の比率はこの国の人口構成と同じで最多である。  しかし、戦士が単身でと条件を加えれば、ぐっと難易度が上がる。ただ、まだ常識の範囲内ではある。  だが、複数の大鬼をただの体当たり……正確にはスキルだが……で殺害せしめた

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よりみち【後】

前編へ 「ねえ、君なんて名前?」  みそらはようやく触手の拘束から解いてもらって、地べたに直接座りながら先ほど脱がされたスカートやショーツ、そして鞄や携帯を整理していた。  下半身裸のまま体育座りをしているので、粘液が地面には小さな水溜りが出来ている。 「それと何で……その……エッチな……ぉっゅ……がいるの?」  少し冷静になると、その言葉はひどく恥ずかしく思えた。整理するふりをして顔を背けながら、少年に少女は続けざまに尋ねた。  一方少女の作り出した透明な珠を物欲しそう

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よりみち【前】

 ――よく考えれば、最初から"そういう"気配はしていた気がする。  そんな事を考えたのは、ひとしきり暴れて体力が消耗すると共に少しだけ冷静になった頃だった。 「ちょっとォ……なんなのぉ……」  手足は拘束され、腰もがっちりと縛られて少しも動けない。  それから微かに伝わる鼓動から、何か生き物だと判断する。  ――が、池上みそら……一般的な女子高生である彼女の17年の人生の中で、こんな芸当をこなす生物に遭った経験はおろか、噂すら聞いたことがなかった。  こんな、触手を持つ生き

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ままむす

半ば冷えた浴室で、手を握り合うようにして大小の影が重なっていた。 大きな影にうずまる様に小さな影がかわいらしい声を上げて喘ぎ、裸身の母子は契りを交わす。 上と下とで交わった二人。肉の棒が、母の宮を探り、その奥深くで精を放つ。 「優くん……」 母の吐息が、子の頬を撫でた。 二人の家で、二人の男女として。 ◇◇◇ 一時間ほど前。 〈では、ま~た来週~!〉 画面の中、司会者の男性が快活にそう言った後、すぐにテレビは少年の手で消された。番組改編期でいつもの番組が潰されてしまい、

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真昼の夢は

「まこせんせ~! おっぱ~い!」 「先生はおっぱいじゃありません!!」 あるうららかな午後。まだまだ新人教師の香りの消えない女教師、柊真子は、今日も今日とて休み時間ごとにセクハラしに来襲する少年、喜多幼平をあしらっていた。 特に時間の長い昼休みは、彼の学校生活で最も楽しみにする時間である。 しかも男子の例に漏れず給食をありえない程の早さで平らげ、給食時間が終わるか終わらないかのうちから真子へアタックしに来るのである。 その度にこっぴどく叱るのだが、いかんせん新人教師で迫力が

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誘惑の……

「……お客様、少々よろしいでしょうか」 黄色い作業用エプロンを着けた20代半ば程の女性店員が、それまで一心不乱に漫画を読んでいた少年に声をかけていた。 「申し訳御座いませんが、その本をこちらへお渡し頂けますか?」 続けてそう言う彼女の口調に、言葉とは裏腹に少年が断れる雰囲気はない。 特別細いわけではないものの、大人しい印象の……美少年の部類に入る顔立ちには、熱中している所に声をかけられた事での戸惑いと、また、驚きの表情が浮かんでいた。しかし、声を掛けられたことが不思議だとか、

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逆~さかさ~

(ヤバい。これは絶対ヤバい) ある雨の春の朝。揺れる路面電車の中で、勝村亮はそう内語していた。 (俺はやってない。わざとじゃない。 ……でも、それは通用しないだろうなぁ) はぁ……と、器用に心の中でため息を吐く。 (これだけあからさまじゃ、絶対……) だらだらと冷や汗を流す彼の手の平は、前に立った女性の股間に当たっていたからである。 (……どうしよう) しっとりとした……それは雨のせいか否か……彼女のタイトスカートに吸い付くように。 □ 「やっべ! 遅れる! ぜったい遅れ

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いちねん~二人の家~

――今でも、たまに夢を見る。 十年前、私は母を失った。 一年前、私に新しい母が出来た。 そして、その数週間後、私は再び母を失い、父をも失った。 ――今、私の家族は……一人だけ。 義理の弟である睦美だけが、私の家族なんだ。 ○ 「お姉ちゃん、今日遅くなる?」 「うん。多分残業」 両親が航空機事故で死んだ後、私たちが住んでいた家は遺産相続と前後して処分してもらった。 なにせ、自慢ではないが広すぎた。今はマンションに住んでいるのだが、それでも二人には少し広い位なのだ。 「じゃ、

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妖怪繰擦繰之件

「こちょぐりたい」 山の森ののっぽ杉。その高い枝の上に、ぽつんと少女が座っていた。 この山には熊もいなければ鹿もいない。タヌキすら見かけない。 「けしからんやつめ」 と、続けてよく分からないことを呟くものの、誰もそれに反応しないのでうぬぬと可愛らしい声で唸って黙ってしまった。 だがそのまま黙ったままだと悔しいので数秒もしないうちにひらりと地面に降りる。 まこと落ち着きがない。 着物のおしりをなんとなしに払い、素足でペタペタ歩き始めた。 すると途端に鼻歌を歌い出したり

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ある帰還。至る場所。

帰還兵は、手足の一本二本喪っているのが付き物だ。という話をローレンスが聞いたのは、彼の兄が出征して数ヶ月した後のことだった。 何気ない日常会話の一節としてであり、さほどは気にしていなかったものの、人の良い司祭が失言に気付き、その後わざわざ謝りに来たことを覚えている。 兄弟二人で他に家族もなく、まだ年少のローレンスは兄の出征後、村の教会で小間使いのようなことをしながら住まわせてもらっていた身であれば、それになにか思うところなどあるはずもなかった。 「ただいま、ロー」 そ

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