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ノベルマガジンウラジゲンvol.1

10
まとめて読んでやるよという剛毅な方専用のマガジン。 10作品収録予定。
最終的に単体で買うのより相当オトクです。 ※単体購入100円~200円×10=1000円~2000… もっと詳しく
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2019年4月の記事一覧

真昼の夢は

「まこせんせ~! おっぱ~い!」 「先生はおっぱいじゃありません!!」 あるうららかな午後。まだまだ新人教師の香りの消えない女教師、柊真子は、今日も今日とて休み時間ごとにセクハラしに来襲する少年、喜多幼平をあしらっていた。 特に時間の長い昼休みは、彼の学校生活で最も楽しみにする時間である。 しかも男子の例に漏れず給食をありえない程の早さで平らげ、給食時間が終わるか終わらないかのうちから真子へアタックしに来るのである。 その度にこっぴどく叱るのだが、いかんせん新人教師で迫力が

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誘惑の……

「……お客様、少々よろしいでしょうか」 黄色い作業用エプロンを着けた20代半ば程の女性店員が、それまで一心不乱に漫画を読んでいた少年に声をかけていた。 「申し訳御座いませんが、その本をこちらへお渡し頂けますか?」 続けてそう言う彼女の口調に、言葉とは裏腹に少年が断れる雰囲気はない。 特別細いわけではないものの、大人しい印象の……美少年の部類に入る顔立ちには、熱中している所に声をかけられた事での戸惑いと、また、驚きの表情が浮かんでいた。しかし、声を掛けられたことが不思議だとか、

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逆~さかさ~

(ヤバい。これは絶対ヤバい) ある雨の春の朝。揺れる路面電車の中で、勝村亮はそう内語していた。 (俺はやってない。わざとじゃない。 ……でも、それは通用しないだろうなぁ) はぁ……と、器用に心の中でため息を吐く。 (これだけあからさまじゃ、絶対……) だらだらと冷や汗を流す彼の手の平は、前に立った女性の股間に当たっていたからである。 (……どうしよう) しっとりとした……それは雨のせいか否か……彼女のタイトスカートに吸い付くように。 □ 「やっべ! 遅れる! ぜったい遅れ

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いちねん~二人の家~

――今でも、たまに夢を見る。 十年前、私は母を失った。 一年前、私に新しい母が出来た。 そして、その数週間後、私は再び母を失い、父をも失った。 ――今、私の家族は……一人だけ。 義理の弟である睦美だけが、私の家族なんだ。 ○ 「お姉ちゃん、今日遅くなる?」 「うん。多分残業」 両親が航空機事故で死んだ後、私たちが住んでいた家は遺産相続と前後して処分してもらった。 なにせ、自慢ではないが広すぎた。今はマンションに住んでいるのだが、それでも二人には少し広い位なのだ。 「じゃ、

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