まがすた

Magazine Study vol.4

【今号の目次】
1.特別企画 対談
1)2つの作業療法
2)生活療法由来の作業療法とoccupational therapy(作業療法)の混同
3)第3の作業療法とは!?
4)生活療法由来の作業療法の特徴
5)occupational therapy(作業療法)の特徴
6)精神領域のOBPの苦労
7)精神障害領域でOBPを実施するために
2.5月9日のらいすた概要
3.5月9日のらいすたQ&A
4.その他のQ&A
5.今号の研究論文リスト
6.私のオススメ本
7.まがすたでしか言えない〇〇
8.時事ニュース
9.研究アイデアをシェアしちゃいます!
10.次回のLive Study
11.近況報告
12.質問送り先案内
13.署名

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1.特別企画 対談
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1)2つの作業療法

寺岡:京極先生は主に精神医療でOBPやってこられたんですよね?

京極:そうですね。

寺岡:精神医療のOBPで苦労した点はなんですか?

京極:日本の精神医療の作業療法は、他の領域に比べると独特の問題があって、OBPどうのこうの以前にそれで苦労してきたし、いま臨床で頑張っている先生方も恐らくその苦労を経験していると思います。精神医療のOBPの苦労は、作業療法の苦労という大きな括りで捉える必要があると思っています。

寺岡:その苦労とは?

京極:その話をするためには、日本の精神領域の作業療法には「2つ」あるという理解が必要になってきます。

寺岡:なるほど。

京極:ひとつは生活療法由来の作業療法、もうひとつは現在われわれが取り組んでいるoccupational therapy(作業療法)。

2)生活療法由来の作業療法とoccupational therapy(作業療法)の混同

寺岡:2つの作業療法。

京極:そうです。前者は一時的に精神医療を席巻したんですが、治療という名の使役・強制労働という負の遺産を残しました。後者はそれと名前が一緒なので、まったく関係ないのに負の遺産を押しつけられるかたちで実践せざるをえない不幸を背負い込みました。

寺岡:それはキツいですね。

京極:はい。重要なポイントは、この2つは似て非なるものだということです。歴史的にも、理論的にも、実践的にも接点がない。しかし、日本では生活療法由来の作業療法が先発組で日本中に普及し、その後少し遅れてoccupational therapy(作業療法)が輸入され、しかも和名は一緒だったので誤解と混乱が生じ、occupational therapy(作業療法)を生業にする作業療法士が負の遺産で苦労する現状が続いているんです。

寺岡:生活療法由来の作業療法は使役・強制労働でめちゃくちゃ批判されたんですよね。生活療法由来の作業療法とoccupational therapy(作業療法)を混同したために、第72回精神神経学会総会でoccupational therapy(作業療法)の診療報酬点数化に反対決議が通ったという。

京極:いま考えたら本当にひどい話だけども、まぁ当時は精神医療全体に対する批判もあって、その流れの中でそういう動きが起こったわけです。それぐらい生活療法由来の作業療法が引き起こした問題は大きかった。

3)第3の作業療法とは!?

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