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新クトゥルフ神話TRPGで『ビターなエピローグ』の提案!

本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」
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 こんにちは、新クトゥルフ神話TRPGでよく遊んでいる、無敵艦隊ガガドドンです。今回は、キーパーで使えるかもしれない、ビターな後味が残るエンドの提案を書いていきます。

ビターなエピローグってなんだよ

 新クトゥルフ神話TRPGでは、物語の終わりに“エピローグ”を演出することができます。エピローグについては“新クトゥルフ神話TRPGルールブック”のp210に書かれています。
 要はシナリオのその後…を各々の探索者に演出できるよ!ってことです。そして、そのエピローグが“ラブクラフト風であなたの物語にふさわしいモノになるように努力しよう”と書かれています。その例はルールブックに書かれているので確認しましょう。
 今回はそれ以外で演出できそうなラブクラフト風のビターなエピローグを考えていこうと思います。一応、1920年代と現代どちらでもあり得そうになるように書きました。
 ただ注意したいのは探索者の活躍を決して無意味なものにしてはいけないということです。めっちゃ頑張って事件を解決したり、何とか逃れてきたのに「ま、君たちの活躍なんて意味ないんだけどね笑」っていうのは、なんだか興覚めですしね。そして、プレイヤーと共に考えるということも大事です。キーパーだけの創作にならないようにしましょう。

例1)新聞記者は今日も記事を書く。

 君はなんとか忌まわしい事態を乗り越え、今回の知り得た情報を記事にする。ただ、それが紙面に載ることはない。編集長は君に少しの休暇を与え、「頭を冷やすように」と冷たく言い放つ。
 君は間違ってはいない。自室で君は今回の出来事を手帳にまとめるだろう。休暇が終わればまた仕事が始まり、そして新しい調査に出かける。君の手帳には、今日も好ましからざるこの世の真実が記されていくのだ。

例2)刑事の背後に迫るもの

 今回の事件で君は名をあげてこれからの活躍が期待されるだろう。ただ、表彰を受けてた君は引っかかることがある。これまで関わった未解決の事件、それは今回のような超自然の存在が関わっているのではないか。
 君の予想は的中する。壁に残された謎の記号、解読不能の文字列、悍ましい怪物像。それぞれに残された物件が今回の事件との類似点がある。きっと視点を変えればこれらの事件も解決できるだろう。
 そしていずれ気付くことになる。警察の中にも忌まわしいカルティスト達が紛れ込んでいることに。

例3)魔導書が引き込む運命

 君は今回の冒険で君は魔導書と呼ばれていたものを手に入れた。研究熱心な君は昼夜問わず読書を行うことになるだろう。
(魔導書を持ち帰ったあと読むかはプレイヤーに尋ねよう。魔導書の読書の処理はp220~もしくはp419)
 (処理によって呪文を手に入れた)聡明な君はこの本から魔導の知識を会得した。興味深く、神秘の魅力を持った魔導書にどんどん引き込まれていくだろう。睡眠は時間の浪費と感じ、食事も億劫になっていく。それでも君は幸せだ。何しろこの世で一番重要なものに出会えたのだから。
 (キーコネクションの魔導書の欄か秘蔵の品に加え、けがす。バックストーリーをけがす際はプレイヤーと相談してより面白いものにしよう。詳しくはp153を読もう)

例4)恐怖症の獲得

 君は帰宅後すぐに悲鳴をあげてしまう。家を飛び出して近くの商店に行き、新聞やテープ、布などを買い込む。そして、意を決して家の窓、鏡台、洗面所にそれらを張り付ける。陽の光が入らなくなった部屋は薄暗く、不気味な雰囲気になる。それでも、君はこれ以上の恐怖を感じないためにはこうするほかなかった。
 君は見てしまった。鏡に映りこんだ忌まわしい存在。異次元から執拗に付け狙う。それは見間違えかもしれない。ただ、もう一度その恐怖を味わうことに比べれば、鏡を使用しない不便は大したものではないだろう。
 (バックストーリーに鏡恐怖症を追加。ちなみに、恐怖症に陥っても、通常時は特徴として現れるだけです。詳しくはp155に書いてあります)

例5)マニアの獲得

 邪悪な魂は、それを好む神々の恰好の的となる。
 君は今回の事件で痛いほど実感しただろう。君は“親切であろう”と常に意識することになるだろう。それは、自分のこれまでの信念とは反していると思われるかもしれないが、何らこれまでと変わることはない。
 今日も君は善行を積む。地下鉄では席を譲り、道を聞かれれば近道だって教える。ふと、小路の方で言い争う声が聞こえた。自分の善良さを出すチャンスだ。君はそちらに歩き出す。その手には通りで見つけたレンガが握られていた。
(恐怖症と同様にバックストーリーのけがれの処理を行う。今回の場合は"善良マニア"だ。)

例6)原作をそのまま使う(ダゴン)

 あなたは今回の出来事をはじめから、その悲惨な結末まで書き綴っていく。今や金も唯一の頼みの薬さえも尽き果てた。この屋根裏部屋から通りに身を投げ出したら、楽になれるだろうか。
 君があれを目撃するのは決まって月が半分ほどから欠けていく夜だ。記録を書き終えたころ、ドアの方から音がした。何かつるつるした巨大なものが体をぶつけているような音。ただ、君は見つからない自信がある。
 しかし、君は目撃してしまう。覗く鱗を備えた巨大な腕…。窓に、窓に…!!

↑ダゴンも書かれています。

最後に

 エピローグがその探索者だけの演出であれば、同じシナリオで遊んでも同じエピローグにはなりません。私はできればセッション後の処理(幸運の回復や技能の成長)やエピローグをして終わりたいのですが、割と時間がオーバーしてしまう悪癖があるので余裕を持ちたいものです。
 エピローグに関して、“ラブクラフト風であなたの物語にふさわしいモノになるように努力しよう”と書かれていますが、どのようなものがラブクラフト風かは書かれていません。私は今回の記事を書くにあたって、「ラブクラフトがよく使う表現」を意識しました。例えば、「悍ましい」「忌まわしい」今回は使いませんでしたが「唾棄すべき」等があります。これらの単語はしばしばラブクラフトの作品で登場します。また、ラブクラフトの作品における登場人物の末路はエピローグを語る上でかなり役立つと思います。TRPGで遊ぶのはもちろん、それらの作品を読むことはゲームをより面白く興奮させるものになるのではないかな、と思います。

↑「魔犬(猟犬)」では超自然の体験の果て、破滅し、最後は拳銃自殺を選ぶという作品です。個人的に押している作品なのでぜひ読んで欲しいです。


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