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新クトゥルフ神話TRPG「ビブリオテーク13」レビュー

まとめ:シナリオ集としては買って損はない!いろんな種類のシナリオがあって自分好みのシナリオが見つかるかも。

 こんにちは、無敵艦隊ガガドドンです。
 今回は新クトゥルフ神話TRPGに対応したシナリオ集ビブリオテーク13のレビューを書いていきます。
 ビブリオテーク13おもしれぇぜ!!発売前は「再録ばっかじゃねぇかよォ〜」とボロクソに言ってましたが、遊んでみて熱い手のひら返しをしました。いいソースブック(シナリオ集)じゃないか!!

基本情報

新クトゥルフ神話TRPGシナリオ集 ビブリオテーク13


▶コーヒー一杯分の恐怖

著者の名言が書かれています。
 Role&Roll ver.173からの再録です。舞台は現代の日本、喫茶店の中に限定されます。超短編でなんと推定プレイ時間30〜60分です。
 探索者たちはたまたま訪れたカフェで酷い目にあいます。
 キーパーと探索者どちらにとっても難易度は低く、TRPG自体が初めての人でも楽しめそうなシナリオだと思います。
 私はこのシナリオを愛しています。“キーパーが読み上げる”ところが最高です。ぶっちゃけ多く語るよりも、皆さん遊んでもらった方が早いと思います。サクッとできるシナリオなので…!みんなやってくれ…!

▶エーリッヒ!

探索者は恐らく死ぬか狂う。
 Role&Roll ver.162からの再録です。舞台は現代の日本。地方都市にS市で物語は広がります。こちらもプレイ時間は探索者の創造を含まず1.5~2時間と短編のシナリオとなっています。
 探索者たちは資産家から「ある楽譜を探してほしい」と依頼を受けます。
 基本一本道で、探索者が「次にどこ行けばいいんだ…?」となるようなことはありませんでした。ラストは順当に行けばド派手なイベントがあってワチャワチャを体験できます。
 ひとくちクトゥルフといった感じで、またまた時間が空いてしまったとき『コーヒー一杯分の恐怖』と合わせて遊んだら面白いのでは?

▶イグアノドン

年少探索者でも楽しめるクローズドシナリオ!
 Role&Roll ver.172からの再録です。舞台は現代の日本。舞台はほぼ一つの博物館に限定されます。プレイ時間は2~3時間と短~中時間くらいのシナリオです。
 探索者達は訪れた博物館でトラブルに巻き込まれ、事態の解決のため動くことになります。
 いわゆるクローズド(脱出系)シナリオと呼ばれる脱出系のシナリオです。ただ、解決方法はわりと自由にできるので「やらされてる感」みたいなのがなくていいですね!プレイヤー同士が相談してラストを彩るのは面白いと思います。
 私はこれを二回プレイヤーで参加してるのですが、1回目は大人+年少、2回目は全員年少探索者で行きましたが特に違和感なく遊ぶことができました。面白いバランスだと思います。
 Role&Roll掲載時に作者の皐月野鷽さんが書いた本シナリオについてのブログがあります。シナリオの改編案なんかも記載されているので、キーパーをされる方はチェックして損はないと思います!→こちら

▶亡者と黄金

トラブル!パニック!トロッコ問題(物理)!
 Role&Roll ver.197からの再録です。舞台は現代の日本。どんどん場所が切り替わっていきます。プレイ時間は3~4時間(気持ちもうちょい早く終わるかも?)程度です。
 探索者達は思いがけない事故によって遭難し、異形の陰にどんどん追い詰められていきます。
 緊迫感のあるイベントや気持ち悪い敵が面白いシナリオですね。比較的シンプルな作りのシナリオなので、初心者のキーパーでも遊びやすいのではないかと思います。
 プレイしたときは「これやりたかっただけやろ!」っていう楽しいシーンがあって、そこでゲラゲラ笑ってました。

▶必ず戻るから

王道1on1クローズドシナリオ
 舞台は現代の日本。探索者はオーベルジュ(宿泊できるレストラン)に招待されます。プレイ時間は1~2時間で、探索者で遊ぶプレイヤーとキーパーの二人で遊ぶことができます
 オーベルジュに招待された探索者は、そこに残された情報から迫る危機を回避しなければいけません。
 短編のいわゆるクローズドシナリオで、最後まである程度の緊張感をもって遊ぶことができると思います。
 キーパーの難易度はそこまで高くないのですが、私がキーパーをやった探索者たちはラストで少し困惑してました。キーパーで遊ぶ際にどういった状況か、探索者はどんな情報を持っているか、何ができそうかを必要に応じて伝えていく必要があると思います。

▶惑う諸島

ルールで遊ぶ、クトゥルフ神話TRPG
 舞台は現代の日本。探索者で遊ぶプレイヤー1人キーパーと二人で遊ぶの1on1のシナリオで、新クトゥルフ神話TRPGの“あるルール”をめっちゃ堪能することができます
 探索者は知人の頼みで本の解読を行います。
 体験型シナリオ…と言った感じですが、私はプレイしていてかなり楽しかったです。なんというか、ルールで遊び、さらに自分たちのストーリーを作っている、と言った感じが大変楽しかったです。好きな人はとことん好きなシナリオだと思います。

▶外から訪れたもの

僕「もう十数回キーパーした」
 Role&Roll ver.203からの再録です。舞台は現代の日本。主にマンションの一室で物語は進んでいきます。とは言っても外にあんまり情報がないから出る必要がないと言った感じです。プレイ時間は3~4時間程度です。
 探索者達は友人から不審なメールを受取り、彼の元に尋ねます。
 このシナリオは個人的にホラー演出がかなり好きです。自分がキーパーをして、探索者で遊ぶ人から「怖い〜!」と言われてめっちゃ楽しいです。
 一応、キーパーと探索者達もルールブックを持ってる前提のシナリオなのでそこだけ注意かなと思います。

▶塗仏

公式エモシ
 舞台は現代の日本。探索者として遊ぶプレイヤーが2人に限定されたシナリオです。プレイ時間は3~4時間程度ですが、ここはプレイヤー次第だなと思います。
 探索者二人が共通の友人の相談を受けるが、そこで怪奇現象に襲われ…。
 使用する探索者二人は親しい関係である必要があります。これはしっかりと設定を作れば作るほどこのシナリオの楽しさが出て来ると思います。
 結構特殊な処理をするシナリオだと思います。私が探索者として遊ぶ時、キーパーをしてくれた方は「秘匿HO&PvP可能性アリ」(隠された情報がプレイヤーに配られ、仲間内で戦う可能性がある)と表現していました。探索者同士もそうなのですが、プレイヤー同士が仲が良くないといけないと感じました。
 初めましてのプレイヤーだけでやるのは少し危険だと思います。ちなみに私が遊んだときはめっちゃ楽しかったです。

▶灰色の狗

瀬戸エイジのネット民への解像度の高さに脱帽
 舞台は現代の日本。瀬戸エイジシナリオではお馴染みのS市を歩いていきます。プレイ時間は3~4時間となっています。
 探索者達は連絡の取れない友人(もしくは仕事仲間など)の元に向かいます。
 瀬戸エイジの描くNPCが相変わらず特徴的で面白いですが、このシナリオでも炸裂します。また、今回のシナリオの中には“現代技術で超自然の存在を追う”というのはオカルト好きにはムネアツなものです。
 プレイした感想としてはあのクリーチャーを出して来るかぁ~~~!って感じでした。シナリオを書いたことがあれば扱いにくくて避けるような存在を、よく現代の日本のシナリオに落とし込んだなと感じました。

▶三つのお願い

要介護老人の秘密
 舞台は現代の日本。シナリオは恐らくほとんど一つの屋敷の中で繰り広げられるでしょう。プレイ時間は4時間程度です。
 探索者達は資産家からの依頼で屋敷に赴き、彼の奇妙な“三つのお願い”を目にし、事態の解決をしなければいけません。
 このシナリオは非線形シナリオとシナリオ中に表現されていて、その通り割と自由に動き回ることができます。ただ、結末がどうなるかが描かれていて、“新クトゥルフ神話TRPG”ルールブックの『紅文字』のように結末を自分で考えなければいけないということはありません。また、NPCが少ないのでいろいろある非線形シナリオの中ではかなりキーパーしやすいと思います。
 このシナリオを書いた内山靖二郎氏の特徴ですが、わりとだれでも遊びやすいようにシナリオを書いているので、キーパーで遊ぶこと自体は対して難しくないと思います。
 僕はこのシナリオがこのシナリオ集の中で特に気に入っています。

▶夕日色の輪廻

瀬戸エイジの女子高生の解像度の高さに……
 Role&Roll ver.142からの再録です。舞台は現代の日本で、またまた出ましたS市という地方都市を歩くことになります。プレイ時間は4~5時間とありますが、よほどのことをしなければそんなに時間はかからないと思います。
 導入のインパクトが強くていいのですが、このシナリオの根幹になる部分に触れるので紹介できません。ただ、面白いです。
 シナリオの特殊なギミックはありますが、基本的に簡単なシティシナリオなのでキーパーの難易度は高くありません。
 そして何と言ってもこのシナリオの魅力は女子高生まわりの情報です。これもインパクトがあるので、是非プレイして楽しんで欲しいです。


▶カートゥーン・リアニメーション

難易度がユニークと称されたシナリオ
 舞台は1929年のアメリカ、カリフォルニア州のバーバンクという町です。プレイ時間は3~4時間程度とあります。
 探索者達はとある映画製作会社から新作アニメーションの試写会に招待されます。そこでまさかすぎる事態を目撃し、事件の真相を突き止めることになる…といった展開です。
 このシナリオ…めっちゃ面白いです。キーパーとして何回か遊びましたが、毎回探索者で遊ぶプレイヤーたちが「え?えぇ!?」とびっくりする展開が待っています
 このシナリオ集で唯一の1920年代アメリカ(ジャズエイジと呼ばれるクトゥルフ神話大系でよく扱われる世界観)のシナリオです。しかしそこまで1920年代の知識は問われないので、キーパーするなら気楽にやっていいと思います。もし知っておきたい!って方は是非私の書いたNote記事を!


ビブリオテーク13の全体的なレビュー

 今回のシナリオ集の名前的に、同じく13本のシナリオが掲載されたアカシック13を思い出しますね。私個人の感想ですが、その二つでどちらかひとつをおすすめするなら断然今回発売されたビブリオテーク13です。(どちらも好きだけど…)
 まず、個人的に好きなシナリオの量で言えば、ビブリオテーク13の方が多いこと。次に、今回公式からシナリオ内で使えるpdf資料が公式から公開されていること。そしてキーパーしずらいシナリオがないことです。

 もちろん、アカシック13にもたくさんいいシナリオが掲載されており、最後の"補遺:キーパーへのちょっとした助言"にはかなり助けられました。しかし、それでも私にとって今回のビブリオテーク13に掲載されてるシナリオはかなり良いもの揃いだと感じました。……新クトゥルフ神話TRPGを流行らせたいという思惑もありますが…。過去にアカシック13についての記事も描いたので、今回の記事と見比べてみるのもいいかもしれません。

オススメシナリオ

 今回の記事を読んで察しのいい方は私がどのシナリオが好きかもうわかっているかもしれませんが、私の思うオススメシナリオを紹介します!

・コーヒー一杯分の恐怖

 シンプルな作りと、短くインパクトの強いシナリオなのがとてもいいです。解決方法もとてもユニークだと思います。

・惑う諸島

 これは本当に「私は好きだ!みんなも好きだろ!?」というシナリオです。このシナリオを一通り遊んだとき、このシナリオが一番『楽しい!』と感じました。……でも好みが分かれるなとも…同時に思いました。

・三つのお願い

 これはみんなにオススメといったシナリオです。ある程度キーパーで遊んだことがある人ならこのシナリオは簡単に感じると思います。プレイヤーのやりたいことを汲み取り面白い展開をその場で作れると思います。

・外から訪れたもの

 これもみんなにオススメといったシナリオです。ホラーな展開と描写、短い中にもある自由度、程よい難易度…。このシナリオは即興で集まった数人のメンバーでも十分に楽しむことができます。

・カートゥーン・リアニメーション

 これおもしれーわ。って感じのシナリオです。導入で探索者達にシナリオのテンション感が伝わり、ワイワイと賑やかに楽しむことができます。ガチホラーを求めているならこのシナリオではないですが、万人が楽しめる展開だと思います。

最後に

 すまねぇ…ビブリオテーク13!!お前のこと…発売前に「再録ばっかじゃねぇか!」とか言って…!!めっちゃいいシナリオ集じゃないかお前!
 正直、Role&Rollで気になるシナリオを買っていた身としては、その再録が載っているシナリオ集を買うのは気が引けました。しかし、新クトゥルフ神話TRPG用に修正されていたり、再録されているシナリオが良かったものなので、最終的にはええやん!となりました。
 今回書き下ろしのシナリオも面白いものがたくさんあり、最終的にはこのビブリオテーク13というシナリオ集の好感度は高かったです。


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