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クトゥルフ神話TRPG 「アカシック13」のレビュー

まとめ 2~3時間程度で終わる現代日本シナリオが13本入っている。初心者でも回しやすいものからどうやって回せばいいか謎のシナリオもある。

 こんにちはクトゥルフ神話TRPGで遊んでいるものです。
 みなさん、現代日本のシナリオやってますか?慣れ親しんだ舞台でプレイするのは楽しいですよね。今回は現代日本のシナリオが13本書かれているシナリオ集「アカシック13」を紹介したいと思います。
 一覧で紹介する想定時間や人数はシナリオに記載されているものなので、オンラインセッションやオフラインセッション、環境等によって変わってくるかもしれません。
 今回書くレビューはあくまで個人的な感想です。それぞれ私がプレイした時間や思い入れも違います。購入やシナリオを読むときの参考程度に考えてください。ネタバレもそこまで書かないので、やってみたい。興味があるシナリオを探す手掛かりにしてもらえたら幸いです。



一覧

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シナリオ一覧

▶犬神憑き

町外れにある「犬神屋敷」。迷い込んだ犬を探すために屋敷に入り込んだ探索者が見たものとは……。

アカシック13

 キーパーとプレイヤーの難易度がともに低い初心者向けのシナリオ。活躍の舞台が屋敷に限定されている、いわゆるクローズドシナリオなので、探索者が一向に解決の方向に行かないということなどもない。
 NPCが個性的かつ魅力的でプレイする人によっても反応が異なる。
 慣れているプレイヤーだと退屈に感じるかもしれないが、クトゥルフ神話TRPGに初めて触るプレイヤーにはちょうどいいかもしれない。
 ちなみに私はこのシナリオを二時間で回せた試しがありません。大抵3時間くらいになります。

▶この病院は渇いている

探索者は古代のミイラの呪いによって灰病院に閉じ込められてしまう。シンプルな構造の入門シナリオ。

アカシック13

 こちらのシナリオも舞台が廃病院に限定されたクローズドシナリオです。時間は二時間行かないほどですぐ終わります
 こちらもキーパーの難易度はそこまで高くありません。ただ一点、探索者同士が協力する動機が薄いので、プレイヤーにそのことを周知することと協力しなければ難易度が高くなることは伝えた方がいいと思います。
 挿絵が結構怖いので個人的に好きです。また、シナリオに挑む探索者の動機が3つあり、以前参加してくれたプレイヤーから好評でした。特に秘匿とかPVP(プレイヤー同士が戦う)ことを想定するものではないです。
 「犬神憑き」よりも少しだけキーパーの難易度が高いのでステップアップとしてキーパーに望むのもアリかもしれません。
 

▶超時間の闖入者

もしあなたの身近な人の精神が異世界の住人のものと入れ替わってしまったなら……。

アカシック13

 戦闘が多めのシティシナリオです。と言っても全員が戦闘技能が持っていなくても大丈夫な程度です。〈登攀〉の技能を80%以上持っている探索者が少なくとも一人いることをシナリオが推奨しています。
 序盤、中盤と陰鬱で怖い雰囲気が続きますが、最終シーンがパワーなのでいい感じに盛り上がることができるメンバーだと楽しいと思います。
 原作の「時間からの影」読んでいなくてもキーパーできるのですが、読むと描写の手助けになるかもしれません。漫画版もあるので是非!

▶おまえがちょうどいい

学校を舞台とした、高校探索者専用のシナリオ。技能値の低い探索者にも向いている。

アカシック13

 高校生の探索者を使うシナリオ。僕は2時間で回せたことがありません。
 高校生探索者を作るいい機会です。7版で遊ぶ場合はキーパーと〈信用〉の値などを相談しながら作りましょう。
 若くてドタバタした雰囲気を味わいつつも、じわじわ迫る日本的な恐怖が味わえます。別にホラーが苦手でもプレイやキーパリングはできると思います。
 個人的に、最後の場面は目的をはっきりとプレイヤーに伝えて、どう解決するかをゆだねることが重要だと思います。

▶黒いガレー船

キャンプ場を訪れた探索者達は異世界からの襲撃に遭遇し、意外な協力者を得て陰湿な敵と立ち向かう。

アカシック13

 キャンプ!パニック!トラップ!バトル!
 洋画のパニックホラー・アクション映画的なシナリオです。パワフルな探索者で行くと楽しいと思います。
 これまた個性的なNPCが出てきてシナリオを盛り上げてくれます。
 ガッチガチのクローズドシナリオだったり完璧な一本道というわけでもなく、途中キーパーがわりと自由にトラブルを起こす(ちゃんと例はあります)シーンがあるので、キーパーとしての更なるステップアップとしてもいいシナリオだと思います。
 僕の周りではかなり評価の高い作品です。

▶フェリーの怪

海上を航行するフェリーに仕掛けられたわな。捕らわれた探索者は惨劇を回避できるだろうか。

アカシック13

 不気味なホラー…。そして最後は生き残りをかけたシーン!!
 舞台はフェリーの中に限られる…と思いきやそうでもないです。超常現象の原因究明のため探索者は幽霊船へと足を運ぶことになります。
 結構一本道のシナリオなので、あっちにこっちに行きたい人は少し退屈になってしまうかもしれません。ダレてしまうようなら「今どういった状況で、探索者達に何が求められているか」をはっきり伝えた方がいいと思います。
 ラストシーンはハラハラドキドキなので、ぜひスリルを楽しんでほしいです。

▶ミサキバス

バスの車内だけで進行する超自然ホラー。個性的なNPCとの閉鎖空間での緊張した駆け引き。

アカシック13

 なんとバスの中だけでシナリオが展開するという特殊なシナリオです。いったいどうしてそんなことになるかはやってからのお楽しみです…!
 前半は超個性的なNPCたちとの掛け合い、後半は超自然的なクリーチャーとの闘いが待っています。
 NPCたちと話すことで情報を引き出すシーンが多いので、そういったことが好きな人はドンピシャのシナリオだと思います。
 シナリオ自体は結構特殊ですが、特殊なルールを使用することはないので初心者でもキーパーはできるかな、と思います。

▶ころさないで

邪悪なるクトゥルフ神話存在と無垢な少女との出会いは奇跡を生むだろうか?

アカシック13

 クリーチャーと少女の奇妙な友情、そしてラストに探索者には彼らの運命について考えることになります。
 クトゥルフ神話TRPGに殺伐とした世界観を求めているとこのシナリオがあまりお勧めとはいえません。周囲と打ち解けられずにいる娘を心配する両親から、様子を見てくれと頼まれるようなシナリオです。探索者も小学生の子供とフレンドリーに話せるようなキャラか、スクールカウンセラー・担任の先生などに限られてしまいます。
 どちらかと言えば、シナリオを通して自分たちの物語を作りたい!という人向けです。
  キーパーは事前にそういうシナリオであることをしっかりと伝えた上でプレイすることをオススメします。

▶イエロウ・ウインド

インターネット生放送中のスタジオで起きる怪事件。宇宙的恐怖が世界に配信される瞬間が迫る。

アカシック13

 噂のやべーシナリオです。パワーのあるイベント。さっくりとした探索パート。そしてラストには超全開パワーが待っています。 
 僕はこのシナリオを3回キーパーしたのですが、3組ともまったく違う結末となりました。ラストの自由度が高いと言えばそうなのですが、キーパーにも展開が全く予想できません。そして即死トラップが転がっていたりとなかなかハードな部分もあるので、そういったものをどう処理するかキーパーの腕が試されます
 はっきり言うと、このシナリオが面白くなるか、つまらなくなるかはプレイグループに委ねられていると思います。プレイヤーとキーパーで面白い展開を作る意気込みで挑めばかなり面白い展開になるのでは…?

▶すきばらの神

友人を訪ねて山に向かった探索者は、廃村に伝わる隠された信仰と、祟りが見の脅威に直面する。

アカシック13

 じっとりとした小規模な村ホラーシナリオ。気味の悪い雰囲気や生命の危機に瀕する恐怖を楽しめます。
 シナリオ内でいろんな技能が活躍する場面が描かれています。ただ、最終的にはフィジカルが強さや、危険な事態を乗り越えられるだけの力(や技能)が必要になってきます。体力がなくてもホラー映画のように知識を活かして解決を目指すのも面白そうですね。
 キーパーがどうにでもいじれる箇所が多いので、キーパーのやりごたえがあると思います。ただ、初心者が回せないほどではないです。

▶ナギサの物語

不思議な赤ん坊と何も書かれていない本を託された探索者たちは世界の命運をも左右する決断を迫られる。

アカシック13

 「このシナリオは探索者が宇宙的恐怖に打ち震え、狂気に陥っていくといった内容ではない。」内山靖二郎先生のお言葉です。
 探索者はたまたま出会ったNPCと少し不思議な体験をします。なので心根の優しい探索者が推奨されています。
 2時間という時間制限があり、それをどのように表現するかによって結構変わるかなと思います。時間制限で焦り、ロールプレイがしょっぱくなってしまいそうならこのルールを使わないのもアリかな?と思います。
 シナリオ中にトラブル…と言うよりハプニングが発生し、それを解決するためにドタバタするというノリができるとかなり楽しいと思います。
 目的が明確になってないとイライラしてしまうような人には不向きだなぁと思います。ロールプレイとかをたくさんやりたい人にとってはいいシナリオなのではないかと思います。

▶深海の悪夢

地震の震源となった海底を調査することになった探索者の前に現れたのは!

アカシック13

 海底のロマン!忍び寄るカルトとクリーチャーの恐怖…!立ち向かうのは日本水中考古学研究会JUAIの探索者だ!
 シナリオ開始の数ヶ月前に地震が発生した後、震源付近を操業していた漁船が沈没船と思われる影をソナーで捉えた。探索者はJUAIのメンバーとして、この沈没船について学術調査を行うことになる
 シナリオ背景の関係上、探索者のこの難破船を調査する人物となります。そのため推奨されている職業があります
 

▶ここで長く生きて

プレイヤーが一人でも手軽に短時間でプレイ可能な“クトゥルフ神話TRPG”入門シナリオ。

アカシック13

 ガチホラーシナリオ。キーパーとプレイヤーが一人ずつのタイマンシナリオです。1,2時間とサクッと遊べるシナリオです。
 このシナリオは舞台が家の中に限定されたいわゆるクローズドのシナリオで、キーパーの難易度は低いです。プレイヤーも一人だけなので、初めてキーパーをやるにはもってこいなのではないかな、と思います。
 一人きりの恐怖がかなり特徴的なので、プレイヤーはホラー映画の主人公になったつもりでプレイすると楽しいのではないかなと思います。


最後に

 アカシック13のシナリオはいろいろとネタにされますが、僕は好きです。初心者向けのシナリオ、すぐ準備ができるシナリオ、結構難易度のあるシナリオ。いろんなシナリオが13本あるのでこのシナリオ集の中から好きなシナリオを見つけることができるかもしれません。
 レビューなんて書いておいて何を言うか、と言われてしまうかもしれませんが。シナリオを楽しむというより、集まったメンバーで楽しく遊ぶことが重要だと私は思います。だからこそ、このレビューでメンバーが好きそうな、楽しめそうなシナリオを見つけて欲しいです。
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