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アグリコラは手圧縮と上限点のバランスを取るゲームという話

はじめまして、mutekiと申します。最近は主にEIK5グリを遊んでいます。(3年前ぐらいまでは旧版拡張3,4グリもやってました)

今回は”アグリコラは手圧縮と上限点のバランスを取るゲーム”という話をしたいと思います。
この話はすぐ実践で使える話というよりは、アグリコラというゲームのゲーム構造の考察で、各カードの考察などの具体的な話の前提になっている話です。
EIK・リバの5グリを前提として話をしますが、3,4グリでも少し調整は必要ですが(畑が安いなどを考慮に入れる)、十分通用する話だと思います。

今回の記事の狙いは、アグリコラの議論・考察の際に僕が前提としていることを共有して議論(又は考察の理解)をスムーズにすることです。(あわよくばこの記事を読んだ読者の方がこの前提を元に新たな発想を生み出してくれないかなとも思ってます)
別にこの記事の内容が絶対に正しいと思っているわけではないですが、少なくとも僕がこのようなことを前提に議論・考察しているということを認識してもらえれば幸いです。

あと、割と議論を詰め切れていなくて論理に飛躍や破綻がある部分があると思います。質問や指摘・改善案などは大歓迎なので、twitterでリプを飛ばしてもらえると嬉しいです。

手圧縮と上限点の定義

そもそも手圧縮と上限点ってなんだって話ですが、厳密に定義することは難しいです。(僕にはうまく定義できなかったので、なにかアイディアがあったら教えていただけると幸いです)

イメージとしては

手圧縮:得た効果-使った手数
上限点:終盤(5,6st)に十分な手数があった場合に何点取れるか

例としては

手圧縮:3手使って5手相当の効果を得たら2手圧縮となる。増員も5手+9飯(2手相当)使って、7手増えて4点(2手相当)得たとしたら2手圧縮と見なします。

※この記事では2点・3飯(3stまで)・6飯(4st以降)を1手相当として計算します。基準に違和感がある場合は各自で基準を設けて計算してください。

上限点:種まきを終盤に1回だけとすると、畑1枚は自身の2点+種を蒔いた時の1点で計3点の上限点を上げたとみなす。よって、畑に蒔く用の2個目の野菜によって上がる上限点は1点と見なす。
柵も同様に、5stの4マス10柵は自身の7点と収容スペース増加によって牛4匹と羊4匹が飼えるようになることによる7点で計14点分の上限点を上げたとみなす。よって、5stでの牛2匹と羊2匹を取ることによって上がる上限点は0点と見なす。

※木と畑と2匹以上の家畜は入るのに制限があるが、種・家畜1匹は自由には入れることを想定しています。こちらも違和感がある場合は各自で基準を設けてください。
※木と畑の制限に関しては、以下のことを前提に議論を進めます
・畑に行けるのは基本的に3stまでの全手と4st以降の初手
・木に行けるのは各ラウンドの初手(特に2stまでは入りやすい)(リバは4木が2木1木1木に分割されているので4st以降に2手目以降に2木に入ることが可能)

手圧縮と上限点のバランス

アグリコラの最終的な点数は
・手圧縮の合計*2点+32点(基準手で28手(飯手5手・2点行動23手)動いた時の最終点数)
・上限点
の低い方が最終的な点数になります。なので高い方を上げても点数は伸びません。

例えば2点行動が残ってるのに手数が足りずにゲームが終わってしまえばそれは手圧縮が足りていないですし、手数は余っているのに有効な点数行動がないとそれは上限点が足りてないということになります。

なので、アグリコラは手圧縮と上限点のバランスをとるゲームと解釈できます。

上限点の分類

上限点は
・盤面 (柵厩畑動物種点空きスペース)
・家と家族
・盤外
の3つに分類できます。

盤面の上限点
盤面の上限点は畑の数と木の数と速さに強い相関があります。畑と柵があれば動物と種点の上限点も伸びるからです。なので盤面の上限点を確保しようと思った時、いかに畑 と木を確保するかが重要になってきます。

ただ、盤面の上限点は上限が32点と決まっているのでリソースを過剰に割いてしまうと無駄になりやすいので気をつけましょう。

家と家族の上限点
家と家族の上限点は最終的に家族何人何の家を何件で終えるかで決まっています

盤外の上限点
盤外の上限点は手札から何点出るかと、大進歩を何点分取るかで決まっています。
ただ大進歩から出す場合、井戸はそこまで効率が悪くないですが競争率が高く取れるかわからないですし、工業は効率があまり良くないので出来れば手札で盤外の上限点を確保したいです。
また、相手の点数を下げる行動も相対的に必要な点数を下げることになり盤外の上限点をあげる行動とみなすことができます。

手圧縮と上限点のバランスを取る方法

では、実際には手圧縮と上限点のバランスをどのようにとればいいでしょうか?
色々細かいテクニックありますが、基本的にはゲーム開始のプランニングの時点でバランスが取れているべきです。もちろん、ゲームの流れによって木が高かったり安かったりするので、その都度ゲーム中に調整していく必要はありますが、ドラフトが終わった時点でバランスの取れたゲームプランを持っている必要があります。

プランニングの時点でバランスをとる方法としては
・増築増員のタイミングと回数
・ドラフトでのカードピック
の二つが挙げられます。

今回は前者について説明していきます。(ドラフトの話は後日別の記事で話そうと思います)

増築増員は何をしているのか?

そもそも、増築増員とはどのような行動と解釈できるのでしょうか?
増築増員すると、”それ以前の4.5~5手”と”それ以降の飯”を使って、”家と家族点”と”それ以降の手数”を得られます。
なので、増築増員は家と家族の上限点と手圧縮を得る行動と解釈できます。

木の家での増築増員の手圧縮的な視点で見た損益分岐点はラウンド9あたりです。(逆にR10以降の増築増員は増築補助などで手圧縮しない限り手圧縮を犠牲に家と家族の上限点を上げる行為と解釈できます。)

R9に増築材を2.5手で確保して木の家で増築増員すると、4.5手と7飯(≒1.5手)をR10~R14の最終手計5手+家族点3点+空きスペース1点に変換することになる。
純粋な手圧縮で考えると6手相当を7手相当に変換と1手分の圧縮になっている。
上限点は家族点3点と盤面1点分上がっている。

R9以前の増築増員は木と畑が取りやすい3stまでの4.5手を使っています。なので盤面の上限点を犠牲にしていると解釈できます。逆に言えば増員を遅らせて(orやめて)その手で木と畑に通えば、増築増員の手圧縮(と家と家族の上限点)を犠牲に盤面の上限点を上げることが可能です。
つまり、増築増員のタイミングと回数を調整することで、手圧縮と盤面の上限点のバランスを取ることが可能です。
この原理は非常に重要なので覚えておいてください。

では、どのようにして増築増員のタイミングと回数を決めるべきでしょうか?

よく使われる増築増員のタイミングと回数のパターンとして
・3st4人からのレンガの家5人(2st3人目、3st4人目、4~5st5人目)
・増築増員ゴリラ(2st3,4人目、3st5人目)
・3人進行(2~3st3人目)
・しゃがみ(3stで3,4目人増員)

があります。

それぞれのパターンについて解説していきます。

3st4人からのR11~12レンガの家5人目増築増員

バランスのいい強ムーブとして、”3stまでに4人にして 、R11~12あたりにレンガで5人目の増築増員を行う”という動きがあります。特にEIK5グリで多く使われています。

なぜこの動きが強いかと言うと、4人目まで素早く増築増員して手圧縮を確保しつつ、5軒目はR9~12のの2~4手目の盤面の上限点に寄与しない手を使ってレンガの家で増員することによって盤面の上限点を犠牲にせずに家と家族の上限点を上げることができるからです。

R12増員が4.5手+4飯→5点+2手+小進歩1なので手圧縮的にも0.5手損ぐらいです。
4軒で部屋無しに入る場合との相対差で考えても、確実に家と家族の上限点を上げられますし、初手で部屋無しに入る代わりに畑や木に入って盤面の上限点を上げられます。ただ、最終手で部屋無しに入れるなら5軒目を建てずに部屋無しに入った方が強いことが多いです。

なのでEIK5グリでは 、2人が5人進行で3人が4人進行の状態で部屋出し増員が沈んだ場合4人進行のうちの一人が5軒目を立てて増築増員して残りの4人進行の2人が最終手で部屋無しを踏めるというような状況がよく発生します。

十分な上限点を確保できていて4stに5軒目増築増員以外の効率のいい行動があるのなら、3st4人から4人進行で5軒目は建てずに部屋無しでの5人目を狙う方が強いです。

※あくまで、EIKの環境でこうすると強いケースが多いという話で、各試合でどのタイミングで何人増築増員すべきかというのは手札の手圧縮と上限点に依存するということには注意してください。

3st3人からR11~12レンガの家5人目増築増員は強いのか?

では、3st3人の人がR11~12にレンガの家で4件目増築増員をするのも強いかというとそういうわけではありません。
なぜなら、手数が3手のみだとどうしても盤面の上限点に寄与しやすい初手を増築増員に費やさなければいけないケースが多く盤面の上限点が下がってしまうからです。
ただ、増築補助がある場合に3st3人の人が R10~12にレンガの家で4,5軒目を2軒増築するのが強い場合はあります。

増築増員ゴリラ

アグリコラの戦略の一つに増築増員ゴリラというのがあります。
これはとにかく序盤は増築増員を最優先して3stまでに5人にしてしまう戦略です。手圧縮の観点から見るとこの戦略は効率よく飯が食えれば強いです。
しかし、何の考えもなしに増築増員ゴリラをしてしまうと、3stまで増築増員に全振りしているので4st以降畑も柵もなく種まきや動物を取っての繁殖などの点数行動が取れず盤面の上限点にひっかかって点数が伸びないということになりがちです。

増員ゴリラして強いのは、
・3stまでに3軒分の増築材を集められる資材補助
・4stまで効率よく飯が食える飯補助
・3stまでを増築増員に全振りすることによる盤面の上限点低下を補える”畑補助と木補助の両方”or”盤外点”
がある時です。

しかし、このような手札になることはなかなかありません。5人目は4~5stまで遅らせて盤面の上限点を確保した方が強いことが多いです。

3人進行

では、3人進行した方が強い状況というのはどのような状況でしょうか?
3人進行するということは4人目の増築増員をしないということです。
つまりは、4人目の損益分岐点である R9までに増築増員を差し置いてやりたいことがあるということです。

3人進行に足りないものは、
・家と家族の上限点
・手圧縮
です。
なので、家と家族の上限点を補う盤外点と手圧縮が必要です。

逆に3人進行のアドバンテージは、
・盤面上限を確保しやすい
・4stまでに使える手数が多い
・ゲーム全体を通して必要な飯数が少ない(38飯前後稼げばOK)
です。

なので、
・盤外の上限点と手圧縮を稼げる
・その一部を得るのに3stまでの多くの手を使う必要がある
・盤面の上限点が足りなさそう
・38飯前後は効率よく出るが追加の10飯を稼ぐのが難しい
というような手札で3人進行をすべきです。

さらに言えば
・3stまでにやりたいことにかかる手数が多くR9までに増築増員できない
・十分な盤外の上限点と手圧縮を確保できる
・30飯前後までは効率よく飯を稼ぐことができる
場合は、3人目を増やさずに2人進行するのが強いということもあり得ます。

しゃがみ

ではしゃがんだ方が強い手札というのはどのような手札でしょうか?

ここではしゃがむというのは
2stまでやりたいことをやってラウンド7以降に多軒増築増員をすること
を指します
なので3人目の増築増員が遅い3人進行とは区別します

しゃがんだ方は強いケースは、
・2stまでにやりたいことがあって増築増員が遅れてしまう
・改築やカード効果などの事情で増員を遅らせる
の2パターンあります。
前者はわら小屋など、後者はレンガの柱などです。

前者のしゃがみは3人進行と基本的には同じ考え方ですが、4,5人目の増築増員をする分要求される盤外点は低くなります。
ただし、3stまでに4軒目の資材も集める必要性があるので、やりたいことにかけられる手数も減ってしまいます。

後者のしゃがみをする場合、1,2stの余った手で何をするかが重要です。
もちろん、手札に何らかのカードがあって1,2stに有効なムーブがあればいいのですが、ない場合は小麦畑を作るか柵を引いて動物繁殖をして盤面の上限点と手圧縮を稼ぐかことになります。

まとめ

今回の記事では

・手圧縮と上限点の定義
・アグリコラは手圧縮と上限点のバランスを取るゲームである
・増築増員がやっていること
・3st4人からのR11~12レンガの家5人目増築増員
・増員ゴリラ
・3人進行
・しゃがみ

について解説してきました。

これらのことを前提にすることによって、より精度の高い建設的な議論をしてアグリコラを強くなっていきましょう!

もし、僕の気力があれば、次はドラフトでのバランスのとり方やカード評価の仕方・アグリコラの強くなり方などの話を書けたらなと思っています!

記事にいいねを押したり、twitterで感想や質問などを呟いてもらえると嬉しいです。

もし、noteでサポートしてもいいよという方がいらっしゃいましたらサポートしていただけるとさらに嬉しいです(僕のアグリコラの遠征費になります)。

おまけ

おまけとしてtwitterで見かけたアグリコラの疑問に対して、手圧縮と上限点的な観点から僕なりの回答をしてみました。

Q1:畑を耕すには?

増築増員はできるようになったけど、畑に通えず最終的に畑2枚程度で終わってしまうことが多いというケースを想定します。

これまでの解説的に
・増築増員を優先した結果、盤面の上限点(畑・種)が伸びなかった
と解釈できます。

このようなケースは以下の2つに分類出来ます。
①上限点がボトルネックになって点数が伸びなかった
②盤面の上限点は確保できなかったが、十分な盤外の上限点を確保できて上限点はボトルネックにならなかった

①の場合は、
・増員を遅らせる
・3軒進行にする
・序盤の飯補助などの手圧縮の回収が早いカードをピックする
などして3stまでに畑1~3枚耕しましょう。
※十分な盤外点を確保して②の状態にするでも可

②の場合は、畑が耕せなかった分の盤面の上限点の低下を盤外の上限点で補えているので問題ないです。

Q2:2石を取るべきか?

”2石”と言ってもタイミングによってその意味は異なります。

”2石”を以下の様に分類して解説します。
・2~3stの2石
・4,5stの2石
・6stの2石

2~3stの2石
2~3stの2石を取る目的は
①工業井戸のコスト
②石暖のコスト
③早めに出したい手札の小進歩のコスト
です。

どのケースでも基本的には石葦木で石を確保した方が強いので(2石+2葦より石葦木2回の方が2木得)、石葦木に十分な回数入れなかったのでしょうがなく入ることになります。

①の場合、手圧縮を犠牲に盤外の上限点を確保する行動です。ドラフトが手圧縮と盤面の上限点に寄ってしまったり、3軒進行したりで盤外の上限点を確保できなかった場合にしょうがなくする感じですね。できればドラフトで盤外の上限点を確保して、代わりに増員を早めたり繁殖したり畑に通ったりしたいです。

②③の場合、飯基盤にかかわるので大人しく2石に入りましょう。

4,5stの2石
4,5stの2石を取る目的は
①工業・石暖・小進歩のコスト
②改築材
です。

①の場合、畑や木が初手級になり増員が遅れることもあまりないため、2~3stより優先度の低い進歩のコストのために入れます。

②の場合、改築マウントが絡んで優先度の非常に高い(初手級)2石が発生する場合があります。

改築をしようと思った場合基本的にはR13までに改築材をそろえる必要があります。そして、R10の時点でR13までに場から取れる石の数と2石の回数は決まっています。なので、4,5stのその2石を取った人が石の家まで改築できるようになる(逆に他に人に取られると石の家まで改築できない)2石が発生します(全員がちゃんと理解していると4stに発生することが多い)。この場合、その2石が改築分の家と家族の上限点を上げることになり、初手で取る価値のある2石になります。
※手札から石が出てこないことを前提としているためあまり過信はしないようにしましょう。手札から石を出しやすいリバでは特に

逆に改築マウントに絡まない場合は3~4手目で行けばいいですし、すでに改築マウントを取られていて石の家に改築できない場合は行くべきではないです。
※改築はできないがR14に他家に初手改築を強制して畑種などのアクションがまわってくるようにするために、R13で改築マウントを取られていても石に入って改築レディにした方が強いケースもあります。

6stの2石
6stの2石を取る目的は
・進歩のコスト
です。

R14は改築マウントの関係で2~3石ができやすく使い道のない人が多いので取られづらいです。
改築進歩マウントを取れている場合は、3~4手目で石に入って、改築進歩で進歩を出しましょう。
改築進歩マウントを取っていない場合は、大進歩は出せるマスが1か所しかないので諦めましょう。小進歩も出せるマスが2マスしかないので初手で石を取って2手目で出してしまいましょう。
どうしても出したい石コストの小進歩(ヴィラなど)がある場合は、5軒目を建てるのを遅らせてR14で資材を集めて最終手の増員進歩で出すのも有効です。

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