マガジンのカバー画像

一首評集

45
歌人・虫追篤によるnote記事の中から、一首評をピックアップ。
運営しているクリエイター

#藤原建一

一首評:藤原建一「2017年11月4日 日経歌壇」掲載歌

マスメディアによる報道の特質を端的に表しているうただと思う。 このうたが日経歌壇に掲載さ…

虫追篤
8か月前
2

一首評:藤原建一「2020年9月19日 日経歌壇」掲載歌

不穏。どこまでも不穏。 作者が「山なか」のひとけのない沼に来て、その沼に釣竿が浮いている…

虫追篤
8か月前
1

一首評:藤原建一「2023年8月5日 日経歌壇」掲載歌

よく知っていたはずのものから新たな美を見つけ出すようなうた。 「絵の中の物音に耳を澄まし…

虫追篤
8か月前
3

一首評:藤原建一「2023年1月14日 日経歌壇」掲載歌

「借りもののことば」「借りものの表情」が横行する社会への怒りのうた、であろうか。 私も20…

虫追篤
1年前
2

一首評:藤原建一「2022年8月27日 日経歌壇」掲載歌

急に「死者」に出会ってしまった時の居心地の悪さや心のざらつきにフォーカスが当たる短歌。 …

虫追篤
1年前
1

一首評:藤原建一「2022年4月23日 日経歌壇」掲載歌

誰もが感じるような不安と、神経症的な妄執、そして正常性バイアス……これらの間をそれこそ揺…

虫追篤
2年前
5

一首評:藤原建一「2022年3月5日 日経歌壇」掲載歌

場面の選択自体が作中主体の不安の感情の表現に強く結びついた短歌だと思う。 歌のつくりとしては、句またがりを駆使して、普通の語りのようなフレーズが短歌の中に閉じ込められている。四句の途中で意味は切れ、映像としても少しずつ俯瞰の絵へと切り替わっていくようだ。 さて、この歌を私が読んだ時に唸ったのは、「連れ帰る」という動詞、あるいは場面の選択だ。 ここで「連れていく」ではなく「連れ帰る」を選択した作者はほんとうに鋭いと思うのだ。 救急診療へと家族を連れていかなければいけない

一首評:藤原建一「2021年11月13日 日経歌壇」掲載歌

梟の首は真後ろに回るので首斬り役人の顔を見るべし 藤原建一(2021年11月13日 日本経済新聞 …

虫追篤
2年前
5