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一首評集

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歌人・虫追篤によるnote記事の中から、一首評をピックアップ。
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#日経歌壇

一首評:藤原建一「2017年11月4日 日経歌壇」掲載歌

マスメディアによる報道の特質を端的に表しているうただと思う。 このうたが日経歌壇に掲載さ…

虫追篤
8か月前
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一首評:藤原建一「2020年9月19日 日経歌壇」掲載歌

不穏。どこまでも不穏。 作者が「山なか」のひとけのない沼に来て、その沼に釣竿が浮いている…

虫追篤
8か月前
1

一首評:藤原建一「2023年8月5日 日経歌壇」掲載歌

よく知っていたはずのものから新たな美を見つけ出すようなうた。 「絵の中の物音に耳を澄まし…

虫追篤
8か月前
3

一首評:織部壮「2023年9月30日 日経歌壇」掲載歌

どういう意味に捉えたらよいか、昨日から考えている。 景色としては、(おそらくは)教室に貼…

虫追篤
8か月前
6

一首評:田中有芽子「2023年3月4日 日経歌壇」掲載歌

定型であるように読むならば「間」は「あいだ」と読んで、「こうしてる/間にも半/熟卵/自身…

虫追篤
1年前
1

一首評:藤原建一「2022年8月27日 日経歌壇」掲載歌

急に「死者」に出会ってしまった時の居心地の悪さや心のざらつきにフォーカスが当たる短歌。 …

虫追篤
1年前
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一首評:藤原建一「2022年4月23日 日経歌壇」掲載歌

誰もが感じるような不安と、神経症的な妄執、そして正常性バイアス……これらの間をそれこそ揺れ動くような短歌。 上の句で歌われる「風に揺れる巨大クレーン」は、もう存在そのものが多くの人に不安を呼び起こすようなものだ。加えて「クレーン」という音感自体が、中原中也の「ゆあーん ゆよーん」を例に出すまでもなく、揺れる感触をはらんでいて、さらに不安を煽る。 その上、その「真下」を「行く」となれば、圧倒的な巨大な建造物がのしかかるような心持ちで、不安は最高潮に達するだろう。 ここまで

一首評:藤原建一「2022年3月5日 日経歌壇」掲載歌

場面の選択自体が作中主体の不安の感情の表現に強く結びついた短歌だと思う。 歌のつくりとし…

虫追篤
2年前
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一首評:長井めも「2022年1月22日 日経歌壇」掲載歌

破調であることがとても効果的に情景描写に活かされている歌ではないだろうか。 この短歌、上…

虫追篤
2年前
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一首評:藤原建一「2021年11月13日 日経歌壇」掲載歌

梟の首は真後ろに回るので首斬り役人の顔を見るべし 藤原建一(2021年11月13日 日本経済新聞 …

虫追篤
2年前
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