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私の”フォトグラメトリワークフロー” ー失敗メモ その1ー

 「私の”フォトグラメトリワークフロー” ー失敗メモー」シリーズでは私がフォトグラ作業をしていて「失敗したなぁ」とか「こういう所は気をつけなくちゃ行けないんだな」と気付いたことをメモしていきます。フォトグラメトリを始めたばかりの方々の参考になれば幸いです。

1.石碑の碑文のフォトグラ

 最近(2024年時点)、地域の名もない石碑などの碑文を記録しておこうと思い立ちました。そこで、いきなり古くて読みづらくなった石碑に取りかかるのではなく、まずはまだ新しく碑文が明瞭に読める石碑で練習しようと思いました。
 練馬区石神井公園駅の南側に「石神井火車站之碑」という石碑が建てられています。石碑の由緒など詳しいことは「練馬区のホームページ」や「お仕事の切れっぱし(円満字二郎のHP)」をご覧いただくとして、まずはこの石碑で練習をしてみました。しかし、3Dモデルを作ったあとに「ああ、ここは配慮が足りなかったな」と思った点をがありましたのでメモを残すことにしました。
 今回作った3DモデルはSketchfabの以下のリンク先に掲載しています。

2.どこに配慮が足りなかったのか

 図1は3Dモデルのうち石碑部分のソリッドモデルです(高解像度の画像はこちらです)。今回、「配慮が足りなかったな」と思ったのは図1の黄色枠内のように、刻まれた文字が不鮮明になった部分があったことでした。

図1 石碑の3Dソリッドモデル

 石碑の実物を見た感じでは文字の鮮明さは同じ程度で、不鮮明な文字はありませんでしたので、黄色部分は作成した3Dモデルに問題があるのだと思いました。そこで不鮮明になった理由を探ろうと思い、まずは撮影した写真を確認したところ、文字が不鮮明になるような写真の撮り方をしていることが分かりました。
 図2〜図4は図1で示した「①大正」「②武蔵野」「③池袋」の文字付近を撮影した写真です。図1では①と③は明瞭な文字として表現されていますが②と同じ段にある文字はやや不明瞭になってしまいました。これについて、例えば図1と図2を比較すると文字の大きさが異なるのが分かります。つまり、石碑の図2の部分を撮るときよりも図3の部分を撮るときの方がカメラが石碑から離れていたということが推察できます。更に図4をみると図2の範囲の文字よりやや大きいので、カメラはより石碑に近づいていたと推察できます。(そう考えると図2の上段と下段でもカメラと石碑との距離は異なっていたようです。)

図2 「①大正」の文字付近を撮影した画像
図3 「②武蔵野」の文字付近を撮影した画像
図3 「③池袋」の文字付近を撮影した画像

3.どうしてそうなった

 つまり、石碑とカメラとの距離がぶれながら撮影していたということです。
 この石碑は高さが288.5cm、幅が114.0cmとのことで、カメラは石碑の右上側から横方向にスキャン、続いてある程度のオーバーラップを持たせながら順次下段を横方向スキャンする段取りで撮影をしました。
 石碑は特に高さが高いため上部の文字は1.4mほどのカメラ用一脚を使ってやや背伸び気味で腕を上げた姿勢で撮影することになりました。最初のうちはまだ疲れていないのですが、ある程度下段になると疲れてしまい、無意識のうちにカメラが石碑から離れてしまったのだと思います。そして、更に下段になるとカメラが目線以下になるので姿勢も楽になり、再びカメラと石碑との距離を短く保てるようになったのだと思います。
 体勢で疲れることは十分考慮して撮影が雑にならないように注意したつもりでしたが、頭の中で注意するだけではダメなようです。高い石碑を撮影する場合は、もっと長いカメラ用一脚を使って安定した姿勢を保つこと、しかも、一脚の接地位置と石碑との距離も一定に保つことを心がけようと思いました。


おわり