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がん体験備忘録 ♯18 肝臓編⑥ 手術後のあれこれ 

入院中に思ったことのあれこれ。今だに覚えているので、書いておこうと思う。

病院の空間のこと

 肝臓を半分切除する手術をして一晩HCUで過ごした後、一般病棟の個室に移った。個室を希望したわけではないが、要観察ということでそのようになったらしい。
 入った個室は縦長で、ベットがようやく入る広さ。両腕を伸ばせば壁に手がつきそうだ。頭側に小さな窓があるようだが、体が動かないので外を見ることはできず、自然の明るさを全く感じられない。不安な気持ちがますます塞ぎ込む。

 甲状腺で入院した時、手術直後は入口に近い壁が迫る場所だったが、容態が落ち着くと「窓側の方がいいですよね」とベッドを移してくれた。これは本当にありがたかった。
 ガラス越しでも空や木を見れば深呼吸したくなるし、走る車を見れば日常を感じられる。
 壁が迫って外の気配が全く感じられないのとは大違いだ。

 どうせ動けないのだから、広くても狭くても、窓があろうとなかろうと関係なさそうなものだが、やはり、ゆとりある空間があることや、外の景色が見えることは、人間にとって大切なことなんだなと思った。

お腹を切った後は痛かった

 体は本当に痛くてつらかった。手術を心配してくれた人に「無事終了」の報告をしたくても、Lineを打つのが辛い。
 執刀してくれた主治医のB先生に「痛いです」と言ったら

「腹筋ぶった切ってるんだから、そりゃぁ痛いよ~ (*^_^*)」

と言われた(B先生は、気風のよい姉御肌の感じ。)

  頭を起こせば気持ち悪くなり、寝てればお腹が痛い。もうどうにもならないこの辛さったら…。
 手を伸ばしてゴミを捨てようにも、台を近くに寄せようにも、それができない。それを察してサッと手の届くところに台やゴミ箱を移動させてくれた看護師さんが神様に見えた。 こんなに動けないのに生きていて、不思議なくらいだった。

お医者さんの勤務形態にびっくりPart2



お医者さんの勤務の過酷さについては、甲状腺編でも書いたが

こちらの病院でも驚くことがあった。

①夜中にたたき起こされるお医者さん
 術後の猛烈な痛みが少しだけ収まってきたある夜、気がつくとパジャマの背中がびっしょり濡れている。ナースコールを押すと「あー、麻酔の管が抜けちゃってますね」って。手術の後、痛くなった時に自分で痛み止めを入れられるように背中から管を通していたのだが、それが何かの拍子に抜けて、薬がパジャマを濡らしていたのだ。
 すぐに3人ほどの看護師さんが来て、「ちょっとそちらの椅子にかけててくださいね」と言って、あっという間にシーツと私のパジャマを交換してくれた(ここまでは想定内。)

驚いたのは、

「今、B先生に聞いたら、この麻酔管はもう外していいそうです」
って(◎_◎;)

「今」は午前2時だ! 先生、夜中に電話で起こされたんですね…

 「呼び出し」であれば仕方ないにしても、午前2時に電話で起こされて質問されるって、お医者さんにとっては普通の事なのだろうか?
 しかも、この背中からの痛み止め薬、この時は既にほとんど使っていなかった…。先生に本当に申し訳なくなってしまった。

②休日呼び出されちゃうお医者さん

 休日満喫中に、私のせいで呼び出されちゃったハキハキA先生のことはこちら。(休日満喫中と推測したのは、髪型とメイクが休日モード、もっと言えば「派手」だったから)

③朝早くから勤務のお医者さん
 手術後容態が落ち着いた頃、リハビリのために病棟の廊下を毎朝7時ころからヨロヨロと歩いていたのだが、その時に「Musiklehrerinさん、おはようございます! 歩くの、いいですね!」と元気に挨拶してくれる先生方の集団とよく会っていた。明らかに「今、会議を終えました!」風な感じて、揃って小部屋から出てきている。

「今、7時20分ですけど…。 勤務は一体何時から始まっているんですか?」

と聞きたかった…

甲状腺の時も思ったが、お医者さん… ここまで体力必要とする仕事とは…<m(__)m>

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