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Cという異性の親友の話

喜嶋先生の静かな世界という本を読んだ。
色々と思うことがあったが、なんというか、こういう文章をこの世に遺したいと思った。

それと同時期に、恋愛や人間関係に苦しむ声を短期間で沢山聞いた。(まあ今はそういう季節ではあるよね。)
どんな声をかけられるか考えていた時に、ある親友のことが思い浮かんできた。

🥚とCはよくカップルだと勘違いされる。
いや、はたから見ると、もはや熟年夫婦にしか見えないと思う。

いわゆる男女の一線を越えるようなことや、異性とのスキンシップ以外のことは大体一緒にしてきた。
クリスマスにケーキを食べながら一日中映画を見て過ごしたり、ライブに行ったり、各地の水族館や史跡を巡ったり、泊まりがけで京都に紅葉を見に行ったり、何回も二人でテーマパークに行ったり、朝まで飲み歩いたり・・・

「そんなの恋人としかしないわ」って感覚の人が多いこともやってきた。
もはや、趣味が合わなかったり、惰性で続いたりしているカップルが羨むような時間を沢山過ごしてきた(と思う)。

相手や周囲を気遣っての言動や、興味関心や、そのための時間やお金の使い方に対する考え方が、とにもかくにも一致する。大体のことは阿吽の呼吸でなんとかなる。
お互いに、今までに出会った誰よりも相性がいいと感じている。

もし、付き合ったり、籍を入れたりすることになったとしても、気を遣う範囲が上下するだけで、特に何も変わらないと思う。
もし、友情婚のような結婚をする未来があるのであれば、交際期間がなかったとしても(その時に彼女がいなければ、多分)迷わずにCと籍を入れると思う。

でも、🥚とCは恋愛/性愛関係にないし、なろうとも思っていない。俗に言う「キープ」的な関係なわけでもない。

前に泊めてもらった時には
🥚「俺らの関係って不思議よな~。こんなに合う人って滅多にいないし、親友のままでも、仮に結婚することになってもなんも変わらんやろうし。Cがパートナーになる未来は素敵だと思うけど、その関係だけが正解とは思えんし、他の人と結ばれるなら絶対式に呼ぶわ~」
C「わかるわ~。🥚は私の自分でも気づいてない良いところも認めてくれて嬉しいし、気が合うし、尊敬できるし、本当に大切な人なんよね~。私は付き合うとかそういうものに興味がないけど、式を挙げる時は全力で祝わせてくれ~。」
なーんて話を恥ずかし気もなくしていた。そんな関係性。

先に種明かし(?)をすると、Cは恋愛/性愛/結婚というものに一切の関心がない。恋人になることを拒む方便ではなく、アセクシャルであろう感覚の持ち主であることは、6年も一緒に過ごしてきた🥚が一番よくわかっている。

だからこそ、夫婦に見えるような親友であり、彼女ではないわけで、とはいえ互いの価値観の変化やタイミング次第では結婚する日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。
そんな感じの、ものすごく安定した関係が出来上がっている。

🥚とCの関係は人によっては受け入れることも、想像することもできないような間柄だと思う。だからこそ彼女のことを書いてみようと思った。
人付き合いとは。愛とは。信頼とは。
そういったことを考える一つのきっかけや参考になるかもしれないから。

偶然か必然か。そんな・・・出会い。

Cとの出会いは大学1年の春だった。
必修の英語の授業でのことだ。うちの学部は女子の方が人数が多く、どの授業でも少数の男子は近くに集まって座っていた。🥚もその輪の中にいた。

でもその日だけは違った。寝坊したのだ。
授業には間に合ったものの、ギリギリの時間に教室に駆け込んだ。
野郎どもが集まる周囲の席は埋まっていて、仕方なく空いている(前の方の)席に着いた。

その数十秒後に隣の席に飛び込んできたのがCだ。後からわかったことだが、彼女が遅刻寸前で教室に滑り込むのは珍しいことだった。
Cは真面目でありつつも抜けてるところがある。基本的に前の席で真剣に授業を受けるが、寝坊した日には頑張れば授業に間に合う時間でも、潔く諦めてゆったりと大学に来て、好きな本を読んでいることが多い。

そうして遅刻寸前で隣の席に着いた🥚とCだったが、運命のいたずらはこれで終わらない。
なんと「その回の授業で隣に座っている2人ペアで、数か月後の最終プレゼンをやるように準備しろ」との指示が出たのだ。まだCの名前も知らないのに・・・。

(続く:3月13日時点)