名曲437 「ターンAターン」【西城秀樹】[∀ガンダム]

ーー幼い心に宇宙戦争を思い起こさせた屈指の世界観ーー

【ターンAターン】

 ガンダムシリーズは20代にとってギリギリのなじみ深さではないか。兄や父が好きだった家庭環境ならきっと自然に染まっていたと思うが、自ら進んで好きになった人は70年代の曲を好む私並みに珍しいと思う。というのも全盛期の世代ではないからだ。

 『∀ガンダム』は1999年から2000年まで放送されたシリーズである。20代が幼少期に見ていた作品だ。アルファベットのAをひっくり返して「ターンエー」と表現する。これ、当時は死ぬほどかっこいいと憧れたのだが、大人になったいまでも何かのヒントになりそうな秀逸なアイデアだと思う。

 私はそのシリーズを見ていないのだが、ガンダム好きの友人によるとどうも微妙らしいのだ。まあ今回はそのアニメの出来は置いといて、主題歌を紹介したい。こちらはまごう事なきSランクですぞ。

{ターンAターン ターンAターン ターンA}

 最初の数秒。これだけで一気に世界観に引き込まれる。なんて神々しいのだろう。

{刻が未来にすすむと誰がきめたんだ 烙印を消す命が歴史をかきなおす}

 歌うはなんと西城秀樹。信じられない美声である。

{美しい剣は人と人つなげて 巡りくる切なさ 悲しみを払って}

 「切なさ」で鳥肌が立つ。ここはカラオケで最高に気持ちいいポイントだ。まあ西城秀樹ほどうまく歌えないのだが。美声の暴力である。

{あなたとの間に命ある形を この星に捧げる愛というしるしで}

 じわじわと盛り上がる構成。そして

{ターンAターン ターンAターン ターンA ターンAターン ターンAターン ターンA}

 サビはただターンAターンと繰り返すだけ。それなのになんだろうこのかっこよさは。そう、メロディーが恐ろしいほど秀逸なのだ。作曲は、ここでもあなたでしたか小林亜星。なんど褒めれば気が済むんだ。

 神々しさはガンダム、いや全アニソンを含めてもトップクラスである。ターンAターンのメロディーは本当にこれしかないという出来。従来の70年代みたいなロボットアニメのドカーンといった盛り上がりでは、あの神々しさは出せない。どういう思考回路があればこのメロディーを思いつくのか。

 西城秀樹と小林亜星。ふたりとも、もうこの世にはいない。当時の名曲を耳にするたびに私は惜しむのである。天国でちょいと現代のアニソンに手直しをしてくれませんか。本物はこうだと。

       【今日の名歌詞】

刻が未来にすすむと誰がきめたんだ



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