名曲594 「Dang Dang 気になる」【中村由真】[美味しんぼ]

ーー偶然の再開ほど嬉しいことってあるだろうかーー

【美味しんぼ 後期 OP「Dang Dang 気になる」 フル full ver】

 『美味しんぼ』を取り上げるのは初めてだ。グルメ漫画の代表的存在で老若男女に愛されている。賛否両論ある作品であるが、それでも根強い人気を誇るのはこれまでの歴史が証明している。

 私がしっかり認知したのは東日本大震災の鼻血の件だ。あれで死ぬほど炎上したような気がしたし、「ああ、作者ってそういう感じの人なんだ」とも思って読もうとはしなかった。まあ思想がどうあれ作品が面白ければいい派の私ですらも当時は結構引いたくらいなので、多くの怒りを買ったのではないかと踏んでいる。

 それでも考えが柔軟になってきた大学生くらいから、ちょくちょく目にするようになった。シンプルに料理や食材の知識について学べるので面白いのである。また、慣れてくるとそれぞれの癖のあるキャラクターも愛するようになる。正直、あの作品の中でまともな人っているのかなとも。だが、それがいい。

 大学生だった頃のある日、たまたま昔のテレビ番組を目にしたことがあって、それが美味しんぼの再放送回だった。まったく興味がなかったのだが、テレビを消さずにいると当然ながらオープニングが流れる。それがなかなかにオシャレだったのだ。そこで検索してみると1988年から1992年にかけて放送されていたことがわかった。なるほど、バブル期に近い頃だ。キラキラとしたメロディーがそれを象徴しているなと。惜しむらくはそこで曲を検索していなかったことである。なんとなく「美味しんぼにいい曲あるな」くらいの感覚のまま時が流れ、いつしか記憶から薄れていってしまった。

 そして社会人になり、林哲司つながりでこの曲を発見した。当時はこの曲=美味しんぼの主題歌と結びついていなかったのだが、そうだとわかったときの衝撃たるや。当時見ていた映像の何もかもが蘇ってきたのだった。ああ、あの船も夜景もバーも。ああ、これがあのキラキラした曲だったのか。

 1990年代前半によく見られる、売れなかったけど質が高い名曲のひとつである。メロディーはもう、説明不要。あえて書くなら林哲司。歌詞も当時の味がほのかに香る。この曲を聴いて外の夜景を眺めれば、気分はバブル期の貴族よ。ぶどうジュースをワイングラスに注いで佇んでいたいね。

       【今日の名歌詞】

Dang Dang 気になる! 気のない振りしてるのが


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