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名曲126 「色つきの女でいてくれよ」【ザ・タイガース】

ーー主役が何人もいる最強のコーラスーー

【色つきの女でいてくれよ】

昭和を代表する男性アイドルグループといえばジャニーズが思いつくが、それ以前にそういう存在で名をはせていたのがザ・タイガースだ。あの沢田研二がいたバンドグループである。

私は沢田研二からこのバンドの存在を知った。仮に沢田研二が所属していたと知らなくても、曲を聴いてその声だけでわかったとは思う。心地よいボイスが特徴的である。

ところがこの曲、沢田研二以外の人物が何やら歌っている(しかもメイン)ではないか。それがまたタイガースの魅力。調べると加橋まつみさんという方が歌っていた。いやー存じ上げなかった。でもとても綺麗な声だ。ジュリーを押しのけて主役にいるだけはある。ちなみにジュリーの声もよくわかる。いつまでも~いつま~でも~

{たそがれの窓辺で髪をすき いたずらに口紅をぬっていた}

作詞は阿久悠。「たそがれ」、「いたずら」とふんわりとさせる修飾語が目に付く。

{あどけない笑顔がまぶしくて さりげなく背を向けた日もあった}

次もまた「あどけない」、「さりげなく」とある。

{移り気は夢の数と同じだけ それぞれの心に それぞれの夢を}

ここでピタッと当てはまる。上の4つの修飾語はすべて移り気の表現であるわけだ。それをシャボン玉のようにふんわりと文頭に添えていく。これが阿久悠の演出ではないかと思う。

{さよなら ぼくの美少女よ きりきり舞いの美少女よ いつまでも いつまでも 色つきの女でいてくれよ}

さらっと去っていってしまったあの美少女を無理に追うことなく、きりきり舞いという、どこかちょっと自分を上に見立てた表現で、別れを告げる。大人だ。ちょっとかわいい大人だ。そういうのが似合うのがタイガースの面々ではないだろうか。

サビのコーラスはかなりの心地よさである。そして前述のジュリーの伸びやかな甘い歌声が響き渡る。素晴らしい。コーラスも含め、全員が主役だ。

この曲はなんと再結成後に作られた歌で、1982年の作品であった。これは意外。というのも1970年代感が非常に強いのである。再結成とあってファンもよろこんだことだろう。当時のころを思い出させようと、あえて70年代テイストにしたのかもしれない。

そして今もザ・タイガースは生き続けている。いつまでも、いつまでも。

【今日の名歌詞】

移り気は夢の数と同じだけ それぞれの心に それぞれの夢を




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