名曲308 「月の裏で会いましょう」【ORIGINAL LOVE】

ーーときめくロマンチックを月の裏で一緒にーー

【ORIGINAL LOVE 月の裏で会いましょう1993】

 田島貴男と大人の恋は切っても切れない関係だ。セクシーがあふれだし過ぎて口からこぼれてしまっている。

{街の奇跡を あなたにあげたい 星が光る 夜の向うから 見知らぬ場所で あなたに会いたい 青く光る 月の裏側で Let's get away}

 出だしの「うー」が好み。歌詞にはないようで、作詞家によってはWooと表記してそうだが、そこは本曲の作詞を務める木原龍太郎のこだわりがあるのだろう。詞全体をひとつの作品と捉えた場合、それは蛇足で壊しかねないものになる。

{不思議なちからで 吸い込まれてく 白いLineを 辿ってみれば 遥かな Cosmos の彼方へ 遠く自分をさがして Sending to you}

 絶妙なバランス。この曲は90年代前半に作られたが、もう一歩踏み込めばバブルのような歌詞になりそうでもある。そこをぐっと自分の目線に留め、高貴さを残しているのだ。

{街の奇跡を あなたにあげたい 星が光る 夜の向うから 見知らぬ場所で あなたに会いたい 夜は二人を包んで 流れてく}

 この曲はふたりが夜に包まれていく描写がある。それは結ばれるのを意味しているかと思ったのだが、私なりに考察をしてみたい。

 まず、タイトルがおしゃれなのだ。月の裏で会いましょう。これは会えないもどかしさを表しているのではないか。それか、会いたくても会えない男が、恥じらいのジョークで月の裏と言っているのか。あるいはパラレルワールドか。

 「会いましょう」とレッツの姿勢だから会う気は十分に見える。しかし「会いたい」よりも「会いましょう」なのがミソ。気品がある表現なので、ガツガツした会いたさではなく思えるのだ。

 「月」というのも何とも言えないところ。広い宇宙に出たとしても、月でめぐり逢いましょうという意思表示だろうか。この地球でめぐり逢えたのだから、と。スケールの大きさが比喩表現に思えてしまい、想像を膨らませる。

と、ここまで書いたが意外と「知ってる飲み屋の店の名前が月なんだよ」とかそんな理由だったりすることもあるのが曲の世界。それでもORIGINAL LOVEは悪い意味で裏切ることはない。月がよく見える日に、そっと流していたい名曲だ。

       【今日の名歌詞】

街の奇跡を あなたにあげたい 星が光る 夜の向うから 見知らぬ場所で あなたに会いたい 夜は二人を包んで 流れてく

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