名曲231 「About me」【globe】

ーー誰の思いかはわからない。末期globeの救いのない暗い曲ーー

 globeは、一般的に90年代中後半のミリオンヒットを飛ばしていた時期を黄金期と呼んでいいだろうか。その頃はキラキラした曲が多く、非常にポップな曲調が多かった。

 しかし後半になるとどうもいわゆる「鬱曲」と呼ばれる暗い曲が増えたように思える。大人の落ち着いた雰囲気を醸し出しているといえば聞こえはいいが、どうも人気に陰りが出てきた時期と重なってしまっているのではと邪推してしまうのである。今回取り上げる曲はまさしくその時期(2006年)に出されたもので、かなり不気味なものさえ感じる。じさ……何でもない。

{'cause I love you どうしようもない 未来が見えない 肉体(からだ)ごと気持ち消し去って もう一度...think about me}

 出だしからきつい。未来が見えないのはまずい。

{15の頃かな不自然になった 周りの視線が嫌いになっていた いくつになれば雨上がりの 水玉遊びまた出来るの? もう一度だけ少女の顔して 夢中になりたい 誰かさせてよ}

 子どものころに何かあったのだろう。それにしてもメンヘラ感があってドキッとする。

{矛盾でも 妥協でも この状況 逃げ出さなきゃ}

 うーんなんだろう、まるでアイドル歌手を夢見て上京してきた子が大人にいいように言いくるめられてしまって葛藤しているかのような。

{だからって どう見たって 偽りもない 平凡で破天荒と無縁な子 女ってどうしてこんなに大変なの だからもう諦めたふりしている...think about me}

 それでもサビは秀逸。ゆったり盛り上がってほんの少しポップな一面がある。歌詞は暗いままだが。

{19の頃かな自然と不自然 交錯する術(すべ)身に付いてきたかも カラオケじゃ1番 !! 飲んでも1番 !! 望んでなんかいない1番 !!}

 !!が無理しているというか、怒りに近い感情が垣間見えてリアルである。ヒステリックな一面ものぞかせている。ここで長い間奏になり、思い詰めたようにラララ…と歌う。

{普通以上 普通未満なんて そんな定義 この国にはありふれている あぶれてる 隠れて孤独(ひとり)で歌を歌いたい 'cause I love you どうしようもないこだわり}

 キラキラしたスター歌手になったあとの光と影。やはり、タイトル通り、これはKEIKO自身の思いなのかもしれない。

{だからって どう見たって 偽りもない 平凡で破天荒と無縁な子 女ってどうしてこんなに大変なの}

 最後の終わり方も切ない。むせび泣いているようではないか。

 いろいろと推察されかねない内容の歌詞。そしてこの救いのない暗いメロディー。この曲が収録されているアルバム「maniac」はglobe最後のオリジナルアルバムとなった。そしてこの曲はそのアルバムの、最後の曲である。

          【今日の名歌詞】

女ってどうしてこんなに大変なの



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