迷曲16 「セピアの夏のフォトグラフ」【吹石一恵】

ーーこの力強さ、逆に唯一無二ーー

【吹石一恵 セピアの夏のフォトグラフ】

 迷曲シリーズは久しぶりに書く。これがまあ、難しいもので、よくよくしっかり聴いてみるとどんどん好きになってしまって、名曲として取り上げたくなってしまうのだ。吉川ひなのの「ドラえもん」や中原めいこの「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね。」は元々迷曲の予定だった。そんなわけで最近は控えめになってしまったが、今回は自信を持って迷わせていただく。

 吹石一恵は現在も活躍する女優。歌手ではない。ここが大事だ。あとは福山雅治の奥さんとしても有名。

 この曲は1997年に制作された「ときめきメモリアル」の映画主題歌だ。吹石一恵は藤崎詩織役で出演している。当時もいまも美人さんなのできっと映画そのものは良いのだろう。観ていないのでなんともいえない。

 作詞作曲は広瀬香美。冒頭を聞いてみればわかるが、コーラスも広瀬香美だ。ここまでは素晴らしい。素晴らしいのだが……。

 私は初めて聞いたとき(広瀬香美にハマっていた高校生のころだった)に衝撃も衝撃であった。包み隠さずに書いてしまうと、あまりにも力強すぎるのである。だがその力とはチューニングされたものではなく、ただやみくもに腕をぶん回してわめき暴れている野生児のごとくけたたましい。思わず耳を塞いでしまうのであった。

 これは間違いなく黒歴史といっていいだろう。どうしてこんな歌声になってしまったのか。あえて意図的に演出されているとしか思えないのである。いっそのこと、広瀬香美自身が歌えばよかったのにとも。ただ、中毒性は高い。さすがに広瀬香美が作曲だけあって、メロディーはうまい。

 エンディング映像が発見できたので貼ってみた。そちらは「誰もいない海」という広瀬香美の名曲も聴けるのでオススメ。ときメモは当時、すごいブームになったといわれるゲームだが、私は当然やっておらず、後にこち亀でその存在を知った。現代でいうVtuberのスパチャみたいなものじゃないかと思ったがどうだろう。いつの世も、男は女にお金を貢ぎたくなる。そうなのである。

 改めてこの曲について書こうと思ったが、もういいだろう。こんな時代もあった。いまの吹石一恵はきっと忘れているはず。でもこんな時代もあった。そっと残しておきたいのである。

       【今日の迷歌詞】

なし


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