名曲631 「裸足のフローネ」【潘恵子】[家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ]

ーー異国の地で聴きたいさわやかなメロディーーー

【ふしぎな島のフローネOP - 裸足のフローネ / 潘恵子】

 今年の夏も遠出がしづらい。例のウイルスめ。個人的には世間が騒ぎ過ぎなだけであって、確かに感染者数は多いものの、弱毒化したいまなら別にと思ってしまうのだが、そうもいかないのが世の中である。家で引きこもりがちな私はともかく、周りに迷惑をかけてはいけない社会人は死活問題。濃厚接触者になっただけでもダメージを与えてしまう。うーむ。

 そうとあれば家の中で異国なムードを味わいたい。『ふしぎな島のフローネ』はぴったりだ。

 公式で話が見られるのでさっそく視聴。1981年に放送された。うーんこういう経緯で無人島に流れ着いたのか。なかなか気の毒だが、これぞ世界名作劇場。すぐに無人島編に行かないのが作品の厚みを感じさせるではないか。

 主題歌の明るさから、『未来少年コナン』っぽい感じを想像したが、そっちも同じでなかなかに事は単純ではない。さわやかな曲調のなかにうっすらと見える影。それが主人公の心情を少しだけ表現されているように思う。具体的にはサビの締め方だ。

{「潮風を頬にうけ 裸足で駆けてく ふり向けば白い砂 わたしの足跡」}

 特徴的なサビだ。複数の歌詞サイトを見たのだが、どうも「」が付いている。これはなぜだろう。

{ほら飲んでごらん 冷たい水を上げましょう ほら空をごらん カモメも飛ぶわ よろしくネ}

 ごらんをうまく使い分けている。島の雰囲気をここでも。アニソンはやはり世界観が大事だ。

{どんなに淋しい時でも わたしは負けないわ}

 ここが隠れた肝の部分。やはり島と孤独は切っても切れない関係だ。

{「潮風を頬にうけ 裸足で駆けてく ふり向けば白い砂 わたしの足跡」}

 よくまとまっている昭和アニソンの名曲である。この秀逸な構成に応えたのが潘恵子。声優として有名だ(ドラえもん好きの私にとってはパピくんのイメージ)。これほどみずみずしい歌声はなかなか出せない。アニソン界の女王といえば堀江美都子。ひとまず主題歌はこの人に任せておけば安定なのだが、堀江美都子とはまた違った系統の、いわゆる海や異国を思わせるのだ。この方を起用したのは正解だったと思う。

 しかしながらアニソン界をこのまま駆け抜けることはできなかった。なかなか厳しい業界である。そしてもう40年以上が経過したわけだが、このまま隠れゆくのは惜しい。元気がもらえるので皆さんもぜひ。お家で無人島気分を。

       【今日の名歌詞】

「潮風を頬にうけ 裸足で駆けてく ふり向けば白い砂 わたしの足跡」

 




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