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音楽療法の勉強で迷っている方へ:2つ目「迷子多きエンドレスな道。楽しく本質を学ぶ方角に行こう」

執筆者:小沼愛子                
前回の投稿(音楽療法の勉強で迷っている方へ:1つ目「音楽療法は広い」)に複数の方からご感想をいただき励まされました。コメントをくださった方々、本当にありがとうございます!

「音楽療法の勉強をしたいです。何から始めるべきですか?」というご質問もよくいただきます。

音楽療法は広くて深い!

この質問への回答は、質問者によって変わる部分と、誰に対しても同じ、という部分の2つに分かれます。

18歳で大学の音楽療法学部に入った場合は、すべてのエリアについて基礎から段階的に学んでいく道を辿ることになることが多いでしょう。一方、音楽療法士を目指す人の多くが、社会人経験のある方、新たなキャリアを求める大人である場合も多く、その場合、個人によってスタート地点が大きく異なります。

例えをあげると、

すでに広い音楽ジャンルにおける深い知識と演奏技術を持っている人は、その他のエリアを強化することに時間をかけたら良いでしょう。心理学知識やカウンセリング・スキルはすでに持っているけれど音楽技術・知識は今ひとつ、ということであれば、楽器・歌の練習や音楽理論の勉強にまずフォーカスしてみるのも有り、と思います。どの順序や比重で学ぶとしても、最も大切で全員に共通して必要なことは、「本質を学ぶ」という点です。

「この曲順で、この伴奏譜を使って演奏して歌えば、いつ誰がどこでやっても音楽療法!」というプログラムは存在しません。

音楽活動や介入の目的・意図が存在しているのが音楽療法です。ここを曖昧にしたままだったり、自己理解やケアをしないまま歩いていくと迷子になりがちです。

迷子になってしまうことも

「音楽療法迷子になっています。なんとかここから脱したいです!」とおっしゃる方々に沢山お会いしてきました。迷子さん達はそろって真面目かつ勉強熱心な方々で、怠けて迷子になった人は皆無です。

努力しているのに迷子になる理由は、「本質的なところを学ばないまま、何となくの形だけ学んできてしまったから」にあることがほとんどです。まずは基本をしっかり押さえて、「土台」や「帰るべき初心」を作ってから(もしくは作りつつ)先に進まないと、基盤のないところに建てられた高いビルや根っ子のない大きな樹として成長してしまい、風が吹いたり小さな地震が起きただけで倒れそうになってしまう感じです。

前回も書きましたが、音楽療法の勉強はエンドレスだと考えています。音楽療法コースを終了したから or 資格を取ったから私は完璧な音楽療法士。もう悩まない!ということはあり得ないと思います。学びを続けていく必要があるのですから、迷子にならずに学びを身につけながら進んでいくために、本質を無視せずに進む方向に行きましょう。もし迷子になっているご自分に気がついたら、無駄に落ち込むのではなく、「迷子になっていることに気がつけてラッキー!」と捉えてください。

正しく楽しい方角へ!

これに気がつかずグルグルと同じところを回っていると、クライエントのためにならないセッションを提供したり、生徒に理不尽なことを押し付けたり、自分を正当化するためにアップデートを怠って10年も20年も同じことを主張し続けるやっかいな人になってしまうかもしれません。

闇雲にエラい先生の主催する勉強会に出席して一時的な満足を得る方向に行ったり、徒弟制度のようなものがあるグループに所属してエラい人のお気に入りになることで安心感を得て、迷子感を和らげているケースも多いようです。自分が今いる場所が、本当に自分の成長を助けることになっているのか?を定期的に検証することも大切だと思います。

気がついていない。
気がつきたくない。
気がついているけれど、気がついていないフリをしている。
気がついているけれど、抜けられない。

迷子になったり、沼にはまるような状況に陥いるまでには、それなりの伏線があります。これは誰にも起こりうることで、恥ずかしくも情けなくもありません。「自分は迷子になったことがない」と言い切る人がいたら、それは気がついていないだけか、嘘を言っているかのどちらかかも、くらいに考えて良いかもしれません。

迷子になっていることに気がついたら、まずその自分を受け止めていただきたいです。そこではじめて、自分が今どこにいるのか?を知るためのスタート地点に立てます。迷子になることは決して悪いことではありません。迷子になっていることに気がつければ、自分自身や仕事について違った視点で考えられるきっかけになります。

迷子になることはOKとしても、いつまでも同じ狭い迷路の中でぐるぐると迷子を続けるのはNGです。そこまでは理解できても、自分ひとりでは迷路から抜け出せない、という場合も多いものです。時には、客観的に自分の置かれた状況を見つけ出すサポートをしてくれるスーパーバイザーやカウンセラーなど、プロの手を借りることもおすすめです。

迷子の自分に気がついたら、焦らず、まず自分がどこにいるのかを知る作業からはじめましょう。そして、今後、どこからどの学びを始めたら良いのか、落ち着いて見極め、今いる迷路から脱出するために、正しく楽しい方角に向かって動きましょう。

次号へ続く→

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