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【ミュージカル講座 12】ブック・オブ・モルモン



今回は笑って笑って笑って最後にはちょっと泣けるザ・アメリカンコメディミュージカルを題材にします!



ブック・オブ・モルモン
The Book of Mormon


作曲・作詞・脚本:トレイ・パーカー、ロバート・ロペス、マット・ストーン
演出:ケーシー・ニコロウ、トレイ・パーカー
振付:ケーシー・ニコロウ



下品で、くだらなくて、あり得なくて、腹抱えて笑うブロードウェイのどコメディ作品🤣

実は僕の一番好きなミュージカルでもあります。笑 

正直この作品はコメディと侮辱のかなり際どいラインで作られているため、嫌悪感を示す方もいるそうですね😅




あらすじ

モルモン教の若き伝道師2人はアフリカのウガンダという国に派遣される事になった。片方は学校1の優等生プライス、もう片方は落ちこぼれで虚言癖のあるカニングハム。両極端の2人は現地で先に布教活動をしている仲間に合流するも、彼らはまだ1人も洗礼出来ていなかった。また、ウガンダは貧困や盗みなどが蔓延しており、神など信じてないはおろか、中指を立てている始末。さらに暴君の将軍が武力で村を支配しており、命令に逆らった村人をプライスとカニングハムの目の前で殺してしまう。その光景にひどくショックを受けたプライスは家に戻ることを決意する。ずっとプライスの子分だったカニングハムだが、村の娘のナバルンギに後押しされ、プライスに代わり布教を始める。

そこでいつもの虚言癖が出てしまい、村の人々が文字を読めないことを良いことに、「モルモン教の開祖ジョセフ・スミスは、魔法のカエルとセックスしエイズが治った」等という有り得ない内容を伝える。人々はこれを信じ、カニングハムは多くの信者を獲得することに成功。プライスは帰りのバス停で、掟を破った時に見る地獄の夢を見てしまい任務に戻るが、カニングハムが偉業を成し遂げたのを見て奮い立ち、将軍を改宗させようとする。返り討ちにあったプライスはヤッケになりカニングハムと仲違い。そんな中、偉業を聞きつけたモルモン教会長が視察に来ることになり、村人は感謝の印に、カニングハムから教わったモルモン教を短い劇にして会長をもてなす。余りにも滑稽で侮辱されたような劇に会長は激怒し、この地区の封鎖を命じる。後悔と反省に溢れるカニングハムに対し、プライスは「宗教とは何か?」を独自に解釈し、その事を教えてくれた彼に感謝する。そして物語は意外な結末に…。



作品概要

初演は2011年。
約10億円の製作費と7年近くの製作期間を経て、オン・ブロードウェイにて開幕しました🎶

クリエイター陣は社会風刺アニメ「サウスパーク」を手掛けたパーカーとストーンに、トニー賞受賞ミュージカル「アベニューQ」や「Let it go」を作曲したロペスの3名✨

パーカー&ストーンはミュージカルシアターの制作は初めてだったそうなので、音楽面に関してロペスがかなり貢献した形となりました👍

楽曲の中には「ウィキッド」や「ライオンキング」をオマージュしたようなものもあり、こういった事はミュージカルシアター界で働く人ならではの趣向ですね!


冒頭でお伝えした通り、本作はモルモン教徒や人種に対してかなり際どいラインを攻めている内容になっています。

中にはモルモンの内容や歴史を忠実に、かつコミカルに紹介するシーンもあるのですが、主要キャラのカニングハムが話をでっち上げて現地の人々に伝えるその内容は、見方によっては馬鹿にしているように捉えられてしまうかもしれません💦

さらに人種に対してですが、ストーリー自体が黒人の無知や知恵遅れを面白がっている部分があったり、またセリフの中には「まるで中国人みたいね!」と、少し顔をしかめてしまうような場面もあります🤨

僕、個人としてはそこから悪意などを感じたことはなく、いわゆる「客席いじり」のような笑いの要素かなと受け取りましたが…🙄 

役者、スタッフ共にプレビューの幕が上がるまでお客さんに本当に受け入れられるのか、かなり不安だったそうです😅

しかし、そんな想いとは裏腹に連日満席の大盛況‼️

批評家たちの反応も良く、今でもチケットが取りにくい大人気作品となりました✨


※モルモン教とは、
アメリカのユタ州にあるソルトレイクシティで生まれた実際にある宗教で、現在キリスト教の聖書は旧約・新約の2つから構成されていますが、その次に来るいわば聖書の3つ目のパートとされている宗教のこと。
(詳しく知りたい方はググって下さい笑)  




魅力

曲やストーリーが素晴らしいのはもちろんなんですが、演出/振付のケイシー・ニコロウによる振付が個人的にはどストライク😍

彼の振付スタイルはストーリー・テリングを大事にし、振りもそこまで難しくはなく、キャッチーで思わず真似したくなるようなダンスが特徴的です💡

本作でも、コメディだからコミカルな動きを多く取り入れ、いわゆる“ダサカッコいい(かわいい)”スタイルとして、笑えるんだけど細部にこだわりがちゃんと見える振付となっており、その天才ぶりが窺えます👏✨✨

ちなみに、僕が特に気に入ってるナンバーは2曲目のモルモン教宣教師の青年たちによる「Two by Two」🎶

これから外の世界で布教活動を始める彼らのやる気に満ちた元気なダンスが、コミカルで可笑しくもあり、可愛くもある最高のナンバーです🤣


また、これは僕の個人的な意見なんですが…

最近、ブロードウェイの傾向は先に映画化された作品をミュージカル化、もしくは既存のアーティストの曲を使うジュークボックスミュージカルというパターンが多く見られ、完全なオリジナルストーリーという作品はあまり見られません。

しかし、そんな中で本作は完全オリジナル作品であり、賛否両論こそありますが多くの面から高く評価を受け、9年に渡りロングラン記録を更新し続けている、という点はかなりの評価すべきポイントだと思っています‼️‼️




記録・受賞数

トニー賞では13部門でノミネートし、作品賞を含む9部門を受賞✨ 

その他、グラミー賞でもミュージカルシアターアルバム賞を受賞しました👏✨

さらにイギリスのローレンス・オリヴィエ賞、オーストラリアのヘルプマン賞をも受賞する傑作ミュージカルですね‼️‼️

今のところ日本での公演はありません。
というか、ザ・アメリカンブラックジョークてきな内容なので、日本では色んな規制あって上演できないんじゃないかな?😂笑

これから観劇するという方はモルモン教のタブーやスターウォーズ、ロード・オブ・ザ・リングなどのキャラクターを知っておくとさらに楽しめるかと思いますよ!😁笑


では、今回はこの辺で💨

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