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新・オーディオ入門197 オーディオの楽しみ方編 ミニマムオーディオ

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

 ミニマムオーディオとは最小限のオーディオコンポーネントで構成されたシンプルなオーディオシステムです。 嘗ては寝室やリビングで使用するセカンドシステムとして使われていましたが、 最近ではメインシステムがミニマムオーディオというオーディオファンも。 ひと昔前のマニアックなオーディオシステム以上の音質のシステムも登場しています。

 嘗てのミニマムオーディオと言えば、CDプレーヤー、プリメインアンプ、スピーカーでした。 現在では音源がパソコンであったり、スマホからbluetooth経由で再生される方が増えています。 いずれの場合も主役はプリメインアンプとスピーカーシステムです。 これまでのプリメインアンプは40cm幅のものがほとんどでしたが、 ヨーロッパの製品に後押しされるように小型で高品位なプリメインアンプが国内でも出回るようになってきました。 それには2つの要素が考えられます。ひとつめはパーツの小型化です。 ノートパソコンやスマホのように小型で高集積の家電製品が一般的になり電子パーツも小型化高性能化が進みました。 抵抗やコンデンサーといった基本的な電子パーツは1/4程度になっていますし、 半導体は集積回路化が進みデスクリートで組んでいた時代の1/100以下になりました。 尚且つ以前よりも高音質でローノイズなのですから本当に驚きます。もうひとつの要素はデジタルパワーアンプの普及です。 デジタルパワーアンプは発熱が少ないためヒートシンク(放熱器)小型化が可能です。 ただし、こちらは現時点では音質的には満足のいくレベルにはなっていません。 特にダイナミックな低域は未だアナログアンプに軍配があがります。

 最近のスピーカーユニットの低域再生能力は著しく向上しています。 振動板には軽くて丈夫な新素材が使用され、ダンパーは嘗てのウレタンからブチルゴムやシリコンゴム系に。 マグネットも磁束密度が高いネオジウムマグネットが使われることも。この20年のスピーカーユニットの進化は目を見張るものがあります。 但し、こういったタイプのスピーカーを十分に鳴らしきるためには、ある程度のパワーとドライブ能力があるアンプが必要です。


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