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新・オーディオ入門161 図表編 実態配線図1

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

オーディオアンプを製作する場合、基本となるのは回路図(上図の左側)ですが、 回路図は回路を設計したり、動作を判りやすく把握するための図面ですので、実際に製作する場合はかえって判り難い場合もあります。 そのようなときは回路図を元に実態配線図(上図の右側)を書いてみることをおすすめします。 実態配線図とは現実の電子パーツや配線を図面化したものです。 たとえば、トランジスターにはエミッター、コレクター、ベースという3つの電極があります。 上図の回路図では上からコレクター、ベース、エミッターの順番になっていますが、 実際のパーツの電極はエミッター、コレクター、ベースの順番です。 勘違いして製作し電源を入れてしまうとトランシスターが破損してしまいます。 また、C1のフイルムコンデンサーとC3の電解コンデンサーは回路図では同じ大きさで表現されていますが、 実際には電解コンデンサーが大きいこともあれば、フイルムコンデンサーが大きいこともあります。 これらは製作時にミスや勘違いの原因となります。 実態配線図は製作時のミスをなくすために実際の電子パーツの2倍尺の大きさで書かれます。これには別の理由もあります。 アンプは基盤と呼ばれるベークライトやガラス繊維等でできたボードの上に電子部品をマウントし半田付けします。 メーカーが量産時する際には、配線が銅箔によって描かれたプリント基板という専用の基板を使用しますが、 試作時や趣味でアンプを製作する場合は、ユニバーサル基盤(万能基板)を使用します。 万能機版は規格によって0.1インチ(2.54mm)ピッチで無数の穴が開けられており、その穴の周りにランドと呼ばれる丸い銅箔がプリントされています。 電子パーツの多くは0.1インチ(2.54mm)の倍数になるよう電極の位置が設計されていますので無理なくユニバーサル基盤上にマウントすることができるのです。 これを2倍尺で描くと約5mmとなり5mm方眼のノートを使用して事態配線図を描くととても便利で多くのエンジニアが行っている方法です。
実態配線図2へ続きます。

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