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新・オーディオ入門192 オーディオの楽しみ方編 ヴィンテージオーディオ

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

オーディオファンの多くの方がヴィンテージオーディオにも興味をお持ちだと思います。 若い頃、購入することができなかった憧れのオーディオコンポーネントは誰しもあると思いますし、 オーディオ誌やネットの情報ではヴィンテージオーディオの素晴らしさが強調されている記事もあります。 これからヴィンテージオーディオをはじめようという方にぜひ知っておいて頂きたいのは、 ヴィンテージオーディオはクラシックカーのようなものだということです。 クラシックカーはどう頑張っても最新の車の性能を上回ることはありません。 維持費が高く、信頼性は低くなります。 しかし、クラシックカーを所有されている方はそれ以上の何だかの魅力を感じているということでしょう。 ヴィンテージオーディオも同じです。ヴィンテージオーディオは高性能でも高音質でもありません。 コストは最新のオーディオコンポーネントの10倍以上するでしょう。 また、修理やメンテナンスも必要です。それでもヴィンテージオーディオ・オーナーはその音が『好き』なのです。 音が良い悪いと好き嫌いは違います。 ヴィンテージオーディオ・オーナーは実は最新のオーディオセットを所有されている方が多く、普段はそちらで聴くと・・・。 若い頃、購入することができなかった憧れのオーディオコンポーネントと最新のコンポーネントの音質を冷静に比較試聴してから購入していただきたいと思います。 また、ヴィンテージオーディオはメンテナンスにも注意が必要です。 アメリカの老舗オーディオメーカーのリペアマンから聴いたのですが、 古いアンプを修理すると、音質が変わったとクレームになることがあるそうです。 劣化している電子パーツを新品に取り換えれば当然音質は変わります。 しかし、それはアンプが発売された頃の音質に近づいただけなのであって、それがアンプ本来の音なのです。 もし、現状の音が『好きだ』という場合は、メーカーによる正規の修理を行うことは難しいかもしれません。 ヴィンテージオーディオはとても興味深い趣味ではありますが、 ヴィンテージオーディオを所有するということは文化財を保護しているというような感覚が必要なのかもしれません。

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