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新・オーディオ入門156 図面編 回路図9

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

回路図1~8では回路図に使用する記号について書いてきました。次に実際の回路図を読み取ってみたいと思います。 上図はムジカで販売している低域増強アダプターです。 このアクセサリーは中高域だけを減衰させることで、相対的に低域を上昇させるアクセサリーです。 電源が必要なく、低域の増強量も3段階切り替えることができます。 小型ブックシェルフ等に使用し低域を1.5倍~2.5倍程増強させることが可能です。 ムジカ公式サイトで使用したときと使用していないときの音をmp3ファイルによって聴き比べることができます。 この図は片方のチャンネルのみが書かれていますので、ステレオの場合は同じものがもう一組あると考えて下さい。 inputとあるのは入力のRCAジャックです。抵抗が接続されています。 抵抗値のみが表記されていますが、こういった信号回路には金属皮膜抵抗が向いています。 容量は書かれていませんので1/4wでOKです。 次にコンデンサーがあります。 コンデンサーは100pまではセラミック、1μF~10μFはフイルムコンデンサーまたは積層コンデンサー、10μF以上は電解コンデンサー、 その他はフイルムコンデンサーをお勧めします。耐圧が書かれていませんが信号回路に使用するだけですので16v以上あればOKです。 スイッチは特性を切り替えています。 1回路2接点(センターOFF)のスイッチを使用しています。真ん中の接点はスイッチに電極はなく、どこにも接続されない状態になります。 スイッチは電力用のものと信号用のものがあります。信号用のスイッチに大電流を流すと接点が劣化するので使用できません。 電力用のスイッチは微小信号の切り替えができないものもありますので適切なスイッチを選択する必要があります。 回路図は描かれている機器によっては省略されてしまう部分があります。 しかし、すべての情報を回路図に併記すると見にくい回路図になってしまいます。 そこである程度は省略し、省略された部分は経験によって読み解くしかありません。 マッキンやマランツ、ウエスタン等の往年のアンプの回路図が出回っていますが これらのアンプの設計者と同等の技術がなければ音質を再現することはできないのです。

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