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新・オーディオ入門6 グラフィックイコライザー

最近注目のコンポーネントにグラフィックイコライザーがあります。 ムジカでは2023年9月に発売されたRaicho7geqが相当します。 グラフィックイコライザーとは特定の音域の音量を調整するものです。 グラフィックイコライザーを簡易化したものがトーンコントロールで、嘗てのプリメインアンプには必ず低域と高域の2つの調整ツマミがついていました。 グラフィックイコライザーはトーンコントロールでは調整しきれない微妙な調整をすることができます。 例えば、小型スピーカーでは40Hz以下の超低域が不足する事が多いのですが、こういった特定の帯域だけを増強させる事が可能です。 また、フローリングの部屋で音楽を再生すると床からの反射によって中域が盛り上がって聴こえる事があります。こういった時に中域を抑えてバランスをとることもできます。 グラフィックイコライザーは1970年代後半から80年代にかけて流行し、多くのモデルが発売されました。 しかし、90年代には見かけなくなってしまいます。 これには2つの理由が考えられます。 ひとつは、『プリアンプとラインアンプ』でも書きましたが、CDの発売による『シンプル・イズ・ベスト』の風潮が向かい風になりました。 当時のグラフィックイコライザーは歪やノイズは多く、周波数特性は悪く、使用したときのメリットよりもデメリットが目立ってしまいました。 現在では増幅素子のノイズレートは下がり、抵抗やコンデンサーといった電子パーツも小型高性能化しハイレゾ音源にも対応できるようなものとなりました。 見かけなくなったもうひとつの理由は、多素子化が進み(中には33素子のものも)一般ユーザーでは調整が難しくなってしまったからでしょう。 グラフィックイコライザーを調整するためには、現在出ている音の周波数を理解する必要があります。 5素子程度のグラフィックイコライザーでしたら、低域、中低域、中域、中高域、高域の調整ですので簡単ですが、細かな調整ができません。 33素子にもなるとかなりの熟練が必要で測定器を使用しないと調整はたいへんです。 実用的なのは10~15素子のグラフィックイコライザーです。耳だけでの設定も可能で、かなり細かく調整することができます。