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新・オーディオ入門69 電子パーツ編 筐体材料 vol.1

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

筐体とはオーディオコンポーネントが収められているケースを指します。 広義にはヒートシンク(放熱器)や操作のためのツマミやボタンが含まれることもあります。 ここでは、2回に分けてムジカで使用されている筐体材料を紹介します。その前編です。

● ミガキ材(冷間圧延鋼材)
塗装をした場合に美しく仕上がるように表面が滑らかになっている鋼板です。 鋼板とは鉄に炭素やマンガン等を添加し、強度や加工性を向上させた鉄板。 嘗て鋼板は磁石に引付く磁性材料であるため、トランス等の影響を受けやすく、 発生した渦電流がノイズの原因となるためオーディオコンポーネントの筐体には敬遠されていました。 近年では漏洩磁束を遮断する磁気シールドとしての特性が注目されています。

● ボンデ鋼板(SECC)
表面に亜鉛メッキが施されたサビに強い鋼板です。 塗装しないで使用する機器の内部の金具や底板に使用されます。 『ボンデ鋼板』は一般名詞のように使用されていますが、これは新日鉄の商品名です。 他の鋼板メーカーでは電気亜鉛めっき鋼板と呼ばれています。

● アルミ材
非磁性体の筐体材料として広く使用されています。 軽量ですが、強度は鋼板に劣ります。熱伝導性が高いためヒートシンク(放熱器)にも使用されています。 アルミ材は加工方法によって、硬く切削加工に適したものや、粘り気がありプレス加工に適したもの等があります。 アルミ材は表面加工がしやすいためパネル等に使用され、美しく見える加工が施される事があります。 梨地加工はサンドブラストとも呼ばれアルミ材に砂や小さな鉄球をぶつけてマットな表面にしたもの、 ヘアライン加工はライターやアクセサリーにも施されている加工で細かな筋状のキズをつけたもの、 ハンマートンは金槌で叩いたような無数のへこみをつけたもの等多くのバリエーションがあります。

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