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新・オーディオ入門54 パワーアンプ編 デジタルパワーアンプのメリット、デメリット

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

ここではアナログ入力、デジタル入力を問わず、出力段にアナログ増幅回路使用しないパワーアンプをデジタルパワーアンプと定義します。 テレビやBluetoothスピーカー、スマホ等に内蔵されているパワーアンプは、そのほとんどがデジタルパワーアンプです。 デジタルパワーアンプの一般的な特徴は以下の通りです。

● 電源効率が良い
一般的なパワーアンプでは供給される電源エネルギーの半分程しかスピーカーへの出力として取り出すことができませんが、デジタルアンプでは80%程のエネルギーを取り出すことが可能です。 電源効率が良いデジタルアンプはバッテリーを長持ちさせる必要があるスマホやノートパソコンにとっては重要で、近年のデジタルアンプ技術の底上げにつながっています。

● 小形軽量で安価
電源効率の良いデジタルアンプは発熱が少ないため放熱のためのヒートシンクや大容量の半導体を必要としません。そのため小型軽量となり、結果として安価に生産する事が可能です。 そのため電子回路はチップ化され大量に生産されています。チップ化によってさらに安価となり部品点数も減少しました。今ではしゃべる冷蔵庫等多くの家電製品がデジタルアンプを搭載するようになりました。

● 低域が弱い
デジタルアンプの問題点はここです。デジタルアンプの出力回路には必ず高周波カット用のコイルを直列に接続する必要があります。 コイルはインダクタンスと直流抵抗を増加させますので、スピード感や低音域での迫力を低下します。これはサンプリング周波数が低いため起こる現象です。 将来サンプリング周波数が上昇した場合、インダクタンスの小さなコイルを使用することで解消される可能性があります。

当社でもOEM(相手先ブランドによる生産)や、セット販売用の製品としてデジタルアンプを生産しています。