ライブ・エール2024 視聴まとめ


 「君の声が聞きたい」Presentsの一貫として放送された今回の「ライブ・エール2024」。それもあってか今回は過去4回とは大きく異なった場面がたくさんありました。色々と思うところはありますが、いくつかのカテゴリーに分けて批評していきたいと思います。


スタジオの使い方

 前回のライブ・エールまでは2021年を除いて基本的にNHKホールで行われていましたが、今回はNHK放送センターの二つのステージで行われました。これは昨年の「第74回NHK紅白歌合戦」のスタジオ使用で見られた改善点を上手く修正したなと思います。事前収録もいくつかあった今回ですが、この場合はスタジオ収録にした方がホールとの熱量の差を生まれにくくする効果があると思うので、そういった意味では英断だなと。しかし、会場が小さくなった分、番組の規模感が少々小さくなった気がするのは否めませんでした。まぁ昨年の紅白のようにホールとスタジオを併用すると「ライブ・エール」特有の一体感がなくなってしまうので、ここは仕方ないでわり切ります。また、今回2つのステージの使った演出で、すごく腑に落ちた場面があります。松平健「マツケンサンバⅡ」の間奏の部分では反対側の舞台でME: I郷ひろみがオリジナルのダンスを披露し、間の細い渡り廊下では大泉洋鈴木雅之と司会の2人が盛り上げていましたが、これは民放の音楽番組でよく見られる光景です(特に「CDTVライブ!ライブ!」)。最も、その曲を良さを引き立たせるためには柔軟な演出技法が求められます。それにしっかりと応えれていたのがあの演出だったと思います。今後もこのような傾向が続いてほしいです。

歌手の人選・曲目・曲順

 出演歌手の人選については、追加発表などもあってかなりバランスの取れたメンツになったのではないかと思います。曲目も概ねヒット曲と懐メロが中心だったので全世代が楽しめるようになっていたと思います。曲順そのものは問題はなかったと思いますが、それぞれの尺や扱いには少々疑問が残ります。詳しくは次の演出及び尺・VTRの使用についてのところで話したいと思います。

演出及び尺・VTRの使用について

 今回、一番気になったのは演出とVTRの使用です。演出については、Omoinotakeは「君声ラジオ」とのコラボということで、ラジオブースの横で「幾億光年」を演奏していましたが、わざわざラジオに絡めてまであそこで演奏する必要性はあったのでしょうか?音響も見ている側からすると少し聞きづらかったですし、実際歌いにくそうでした。そして歌の構成についてはME:Iは本当に気の毒だなと個人的に思いました。2コーラス後のダンスパートは彼女たちの努力や魅力そして可愛さとのギャップが全て詰まっているところなのにも関わらす、綺麗にそこだけカットされた構成になっていました。そもそも「Click」自体が2分40秒という短い楽曲なのにも関わらず、カットする必要性があったのかが疑問です。そして、そのあおりを受けた原因となるのは能登半島地震関連のVTRの多用ではないでしょうか?もちろん「ライブ・エール」のそもそものコンセプトが、自然災害、紛争、パンデミックなど困難に陥った人たちに歌でエールを贈るというのが根本なので、今回も、能登半島地震を取り上げること自体は否定しませんし、むしろ自然災害が多い日本ではその恐ろしさを伝えるのは一人でも多くの命が救われるために必要なことです。それを踏まえても今回は要所要所でVTRを使いすぎです。紅白では、第70回(2019年)にオリンピック前年ということもあってスポーツ頼りのVTRの多用が物議を醸しましたが、今回はなんと言いますか、24時間テレビと近いものを感じました。要するに押し付けがましいということです。「ライブ・エール」のメインはいうまでもなく「歌」です。そこに何かしらのオプションが付くのはいいのですが、あまりにそれを全面に出し過ぎると、番組の流れが途切れてしまい見ている方の熱量も冷めてしまいます。それが視聴率低下の原因と言わざるを得ない事例も過去にあるので、制作者の方たちには、そこを留意してほしいです。今年の紅白歌合戦でも能登半島地震のことは100%取りあげるでしょう。そこを押し付けがましくせずに、どうピックアップするかが鍵になります。

「君の声が聞きたい」とのコラボについて

 冒頭でも書きましたが、今回の「ライブ・エール」は「君の声が聞きたい」のPresentsの一貫として放送されました。それゆえ、随所で様々な企画やコーナーが設けられましたが、結論からいうと次回はライブ・エール単体で放送してほしいです。特に前半では、前述したVTRの多用や視聴者からのメッセージや悩み相談などでかなりの尺を使っていました。今回は、昨年と放送時間は変わっていないのに対して出演者が2組も減りましたが、その原因ははっきりしています。もちろん社会問題に向き合っていくことを意図に制作する事に関しては何も言うことはありませんが、わざわざ音楽番組に絡めてする必要性はあまりないように今回の放送を見て感じました。何度も言うようで鬱陶しいかもしれませんが、ライブ・エールは「歌」がメインです。そこを念頭に次回以降は制作してほしいです。

まとめ

 とまぁ色々と思うことは書いてきましたが、歌手の皆さんの歌やパフォーマンスは本当に素晴らしかったです。内村さんピアノ伴奏から始まった「愛は勝つ」、トップバッターとして盛り上げてくれた鈴木雅之、聴かせる歌を惜しげもなく披露してくれた一青窈、森山直太朗、ゆず、今井美樹、異色のコラボながら圧巻の歌唱力を見せてくれたTUBE:FIRST、幾つになっても新しいことに挑戦し続ける郷ひろみ、能登半島への思いがひしひしと伝わってきた石川さゆり、今年最大のヒット曲を最高のパフォーマンスで披露してくれたCreepy Nuts、泉谷節全開の泉谷しげる、観光大使としての役目を大いに果たしてくださったユーミンなど、挙げ出したらキリがありませんが、
歌唱に関して言うと今年も期待以上だったことに変わりはありません。例年の傾向として、「ライブ・エール」の出演者の半分ほどが紅白にも出場するので、今回もこの中から半分ほどの歌手が今年のNHK紅白歌合戦でも見られると思うと、今から楽しみです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
第75回紅白予想第2弾は、予定通り7月に行います。
これからの季節、気温が高くなっていきますので熱中症などにはご注意ください。
                             ヤマシタ


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