#57 Various Artists『バービー・ザ・アルバム』
Various Artists『バービー・ザ・アルバム』
バービー人形には馴染みも思い入れもないものの、初の実写映画が世界的に話題になっているので、なんとなく気にしていていたら、サントラがリリースされた。これが大充実の内容なので、ご紹介したい。
とにかく参加陣が、ジャンルを横断して実に豪華。ビリー・アイリッシュ(写真)にデュア・リパ、リゾ、ニッキー・ミナージュとアイス・スパイスのタッグ(アクア「愛しのバービー・ガール」をサンプリング)、サム・スミス、カリード、FIFTY FIFTY(ラッパーのカリが客演)、さらにはテーム・インパラにハイム、ジャスティン・ビーバーとのコラボも大成功だったキッド・ラロイなど、英・米・豪・韓の錚々たる顔触れが集結。しかも、楽曲のクオリティが総じて素晴らしい。
中でも、ロック担当として特筆しておきたいのが、<♪A〜B〜C〜D〜E〜F××K YOU〜>と高らかにシング・アロングしてみせたデビュー曲「abcde
fu」が、なんとも痛快だったゲイルの「バタフライズ」と、映画でケン役を演じる俳優のライアン・ゴズリングが歌う「ただのケン」だ。前者はゲイルの真骨頂と言える、パンキッシュなナンバー。ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュらが参加した後者はパワー・バラードで、今作でひときわ異彩を放っている。
プロデュースは、ブルーノ・マーズとの「アップタウン・ファンク」でお馴染みのマーク・ロンソン。どこか懐かしくも新鮮で、耳馴染みのよい多彩なポップ・アルバムに仕上げる手腕は、さすがだ。映画への興味とは関係なく、洋楽ファンはぜひご賞味を。
鈴木宏和
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