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#33 イギー・ポップ『エヴリ・ルーザー』

服部さんへ
 小曽根真ですね。編集者時代に、担当ページでよくその名を目にしていたので、印象に残っています。若手の異才的なイメージがあったのですが、調べたら還暦超え。そりゃあ、僕もオッサンになるわけですわ。
 ともあれ、ジャズに親しみが湧くアルバムですね。最近の公演なのでしょうか。MCが日本語なので、会場は日本!? 90歳を超えたメンバーもいるそうで、どれだけ老獪な、あるいはワイルドな、あるいは粋なプレイで絡んでいるのかに興味津々です。最近、70代半ばの日本人ベーシストのプレイをライヴで観たのですが、余裕がありつつ振り切れる時はクレイジーで、楽しいのなんのって。 
 6曲目は、「Sun Flower」というタイトルだったのですか。覚えておきます。この曲、自分の中にいつの間にか、どこかですり込まれていたようで、昔から好きなんです。たぶん、好きな映画で使われていたとか、そんなところかと。
 個人的にジャズは嫌いじゃないものの、音源で聴くということは積極的にしてこなかったのですが、ライヴ・アルバムだと大いに楽しめることに気づかせてもらいました。  

イギー・ポップ『エヴリ・ルーザー』

 パンクなアニキ(オジサン?)つながりということで、今回はイギー・ポップの新作を推したい。これがまた、いいのですよ。
 極私的なことだし、なんだかブログみたいでアレなんだけど、新入社員時代、僕は朝の出勤前によく『ラスト・フォー・ライフ』収録の「サム・ウィアード・シン」を、本人自慢のオーディオ・セットで大音量でかけて、イギーさんに背中を押してもらっていた。以来数十年、勝手に親しみを感じている。特に好きなアーティストには、嫌いになるようなことがないようにインタビューは避けたいというのが、僕の本音。だけど、イギーさんには会いたがっている自分がいる。

 さて、3年ぶりの新作だが、もう初っ端の「フレンジー」からたまらない。決して大袈裟ではなく、あのころと何も変わっちゃいない勇姿がそこにある。自分のことを知り尽くしているというのか、ファンのことを知り尽くしているというのか、はたまたゴッドファーザー・オブ・パンクへのロックの神からのお導きなのか、これぞイギー・ポップと快哉を叫びたくなるナンバーが詰まっている。

 ダフ・マッケイガン(ガンズ&ローゼズ)、チャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、ストーン・ゴッサード(パール・ジャム)など、参加メンツも感動もの。先ごろ旅立ってしまったテイラー・ホーキンス(フー・ファイターズ)も名を連ねており、どんな顔でドラムを叩いているのか想像できて、涙腺が……。
 喜々として昔話なんぞをして、MVを2曲も入れてしまったけど、今なおイギー・ポップと同じ時代を生きていられることに感慨ひとしお、ということで。
                              鈴木宏和


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