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#47 フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』

服部さんへ

 暑いですね〜。でもって、いいですね〜、ギャビ・アルトマン。柔らかくて、さらっとした肌触りのエアリーなヴォーカルは、不快指数を下げてくれる効果抜群です。まるでユ●●ロのエ●●●ムのように、心地よく汗を引かせてくれるような感覚があります。って、たとえが庶民的すぎるか……。
 そうそう、夏にポルトガル語とか、英語以外の言語の歌って、妙にフィットするんですよね。なんなんでしょうね。夏=ボサノバのイメージがあるからかもしれないけど、語感がいい気がしています。
 でもこの人、ユ●●ロのエ●●●ムがそうであるように、冬にも大活躍してくれると思います。ノラ・ジョーンズらと同様に、夏には涼やかさ、冬には温もりを優しさとともに感じさせてくれる、素敵な声の持ち主ですね。
 ナチュラル。オーガニック。ジェントル。心を掻きむしるようなロックを求める一方で、そんな歌たちに自分が癒されていることを再認識しました。

フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』

 先日、同い年の友人の墓参りに行ってきた。彼はひとり暮らしの自宅で、突然亡くなった。ご家族とは面識がなく、共通の友人もいなかったため、時間差で知った。メタルとプログレ、ポテトチップスと唐揚げが好きだった。こんなにも喪失感が押し寄せてくるのかと、少し動揺した。お墓に向かって、酒を飲みながら話しかけた。答えてはくれなかった。
 『でも、俺たちはここにいる』。アルバム・タイトルからして、泣けてくる。そう、ドラムのテイラー・ホーキンス(写真左から2番目)は、もうこの世にいない。さらに言えば、続けざまにデイヴ・グロールの母親が亡くなっている。ふたりに捧げるアルバムであることは、火を見るより明らか。
 「歌詞を読みながら聴いてほしい」と珍しくデイヴが要望しているし、日本盤CDを購入して、そうするつもりだ。しかし、曲名や聴き取れる歌詞だけ取ってみても、痛いほどぐっとくる。そして、こちらの感傷がそうさせているのかもしれないが、エモーショナルなメロディに乗せて繰り返されるデイヴの渾身のシャウトが、泣きじゃくっているように聴こえてならないのだ。
 インタビューで会ったことがあるテイラーは、デイヴと同様に絵に描いたようなナイスガイ。ふたりはまるで、仲のいい兄弟のようだった。どうか、安らかに。絶対に忘れないよ。
 と、しょっぱい終わり方もなんなので、この新作とは関係のない曲だけど、最後は楽しいMVで!
                                           鈴木宏和 



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