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#41 パラモア『ディス・イズ・ホワイ』

服部さんへ

 いえいえ、仕事ではないんだし、自由気ままにやれるのが、この類いの発信(この言葉は嫌いですが)だと思うので、締切などなしでもいいですよ。
 以前アメリカでP!NKのライヴを観て、お国の違いがあるとは言え、会場のあまりの熱狂ぶりに驚いた記憶があります。近作アルバム3タイトルが、連続で全米No.1を記録しているし、本国での人気は揺るぎないようですね。
 1曲目のピアノ・バラードで一瞬、シリアス・トーンのアルバムかと思いきや、キャッチーでアンセミックなナンバーに、エレクトロなダンス・トラック、♪アハハハハ♪というコーラスが快いポップ・ソングなど陽性の曲が続き、気持ちが上がります。ザ・ルミニアーズとの曲もシンプルにして味わい深く、ジワジワ心が沸き立つような感覚を覚えました。とてもポジティヴなパワーに満ちた作品ですね。アルバム・タイトルが気になって調べたら、後ろ向きに倒れて、背後の人に受け止めてもらうことだとか。なるほど〜。
 個人的なベストは、「アタシはアンタのビッチじゃない」と歌う、タイトルも痛快な「Hate Me」ですが、いずれにせよ僕が好きなP!NKというか、これぞP!NKと思わせてくれる快作でございました。

パラモア『ディス・イズ・ホワイ』

 以前、「女の人は強い」というような話を、ライターの先輩のHさん(もちろん服部のり子さんね)にしたら、「弱い女って見たことある?」と笑って一刀両断されたことがある。度重なるメンバー・チェンジを経て活動を再開したパラモアが、5年ぶりにリリースしたこの新作を聴きながら、そんなことを思い出していた。
 正直、これまでは初期のバンド編成のパラモアが好きだった。でも今作で、ヘイリー・ウィリアムスさえいればパラモアになるんだなと実感。エモやポップ・パンクのイメージが強かったが、今作ではより自由に奔放にロック/ポップを鳴らしていて、清々しささえ感じる。とりわけ、フランス語タイトルの「C’est Comme Ça」は、スカ風のリズムとキャッチーなメロディに乗せて繰り返される、タイトル・フレーズの響きが最高。一発でやられてしまった。

 この曲はライヴでも盛り上がりそうだなと思ったら、すでにライヴ・ヴァージョンもけっこうアップされているので、興味がある方は、ぜひ。ちなみに“C’est Comme Ça”とは、しょうがないという意味なのだとか。
 そしてやっぱり、ヘイリーの歌だ。僕は初期の♪パラッパッパラッパッパーラ♪(「Brick By Boring Brick」)の歌いっぷりで、この人は絶対好き、完全に好きと確信したのだが、優しさ、繊細さと強さ、激しさを兼ね備え、スクリームまでキメてみせるヴォーカルは絶品だ。そして、つい最近知ったのが、ヘイリーがボーイジーニアスの熱烈なファンだということ。つながった! 
                              鈴木宏和


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