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フィジカルで聴く 90年代の邦楽 ⑥(バンド編 96年~97年)

90年代のバンドで今でも第一線で活動しているバンド、売れているわけではないがしっかりと安定した活動を続けているバンド、解散はしていないが長らくバンドとしての活動はしていないバンド、活動休止中のバンド、すでに解散してしまったバンド、メンバーが亡くなってしまい、オリジナルメンバーでの活動ではなくなってしまったバンド…色々とある。一番うれしいのは、どんな形であれバンドが今も続いており、自分の住む街に来たならば迷わずライブを観に行くことが可能であること。そう思うと、バンドを長年続けるということは大変だろうけれども、待っているファンのためにも、バンドを継続させる凄さというものは、偉大な事だ。そんなことを思いながら、今回の「フィジカルで聴く90年代の邦楽 第6弾 バンド編96年~97年」の選定をしていた。ここに挙げたバンドで、すでにあまり聴かなくなっていたバンドも多々あるが、久々に聴き返すとやはり良いものですね。
というわけで、シリーズ第6弾です。よかったら最後までお付き合いください。


フィッシュマンズ
『空中キャンプ』(96)

最初はダサいジャケと思ったはずなのに、今じゃ大好きなジャケ。
初回盤!
96年以降のアルバムやらマキシやら8cmCDやら・・・。

初めて聴いたその瞬間思考が停止。そしてそこからヘッドフォンを装着し、ひたすら数時間リピートで聴き続けたアルバムは今までにこの『空中キャンプ』をおいて他にはない。1曲目「ずっと前」のギターのイントロが鳴った瞬間から、そのリフとその音にしびれてしまい、挙句の果てには”彼女の暮らしは今 始まってる”の歌いだし。意味もなく、意味もわからず、猛烈に切なくなってしまった。そして2曲目「BABY BLUE」だ。このイントロのドラム。これまたなんという朴訥なドラミング、そしてそこに重なる歌うようなベースライン。そしてそして、”この恋人だけいれば良い”、というこの世の果てのような終末感をサラッと歌う佐藤伸治の歌声。あぁ…。。。

君とだけ2人落ちてゆく BABY, IT`S BLUE
友達もいなくなって BABY, IT`S BLUE

BABY BLUE

全曲好きなのだが、極めつけは「ナイトクルージング」。
日比谷野音で聴いた、このナイトクルージングとロングシーズンの感動は今でも覚えている。目の前の演奏を観たいのに、気がつくと目を瞑って体を揺らしている。そして目を開ければ、また目の前の演奏を見るのではなく夜空を仰ぎ見て結局体を揺らしていた。ギターのゆっくりとしたアルペジオ、美しいピアノ、そしてこの揺らぎのリズム。こんなにも完璧な世界を築き上げている歌があるのだろうか。今もなお、死ぬほど好きな曲。
「ナイトクルージング」



b-flower
『CLOCKWISE』(96)

今までのb-flowerっぽくないジャケ!これはこれでめっちゃ好き。
福富幸宏さん参加していたの知らんかった!

b-flowerの5thアルバム。前のアルバムまでのネオアコサウンドから少しギターポップに寄せたアルバム。曲のメロディセンスが過去一いいアルバム。正直このアルバム出たとき、”あ~、ついにb-flowerもスピッツ級に売れちゃうかも知れないな”と思った。そのくらいシングル曲の「太陽の雫」が良い曲だと思った。続く「Jet Jet Coaster」だってめちゃくちゃいい。
スピッツ級に売れても、フィッシュマンズ級にコアな評価を受けても良かったバンドだと今でも本当に思っている。日本のバンドで彼らほど本気でネオアコをやったバンドは少ないのではないだろうか。
「太陽の雫」



Great3
『Metal Lunchbox』(96)

聴けなくなったら本当に嫌なので、CD2枚持ち。
1stと2ndどちらも甲乙つけがたい素晴らしいアルバム。歌詞カードも凝っていてい良い。

このアルバムは東京在住時、渋谷のHMVで予約して購入した。外に出てすぐに封を切って即CDウォークマンにセットし、イヤホンで聴きながら電車で帰った。もう1曲目の「崖」の予想を裏切るオープニングから、「マイクロマシーン」シングル曲「DISCOMAN」を経て「Little J の嘆き」。電車の中で興奮を抑えるのが大変だった。その後も名曲「STAR TOURS」などを挟み、ラストの「Last Song」まで本当に捨て曲なしの13曲。今もよく聴く青春の1枚。
「Little J の嘆き」



ヒックスビル
『Today』(96)

ロッテンハッツ好きにはやはりヒックスビルも!
ベース鹿島さん、PianoはKyonなのね。いやぁすごいメンツ。

ロッテンハッツ好きなので、もちろんGreat3だけでなくヒックスビルも好き。ただ、より男臭いGreat3のほうが好みだった。でも今聴くとこのアルバムめちゃくちゃいいね。そして木暮晋也のギターはもちろん、ソングライターとしての才能にも驚く。「あたしのスウィート・ベイビー」「今夜このまま」や「バイバイ・ブルース」、真城めぐみの歌声をこれほど生かした曲は無い。良い曲だ。
あと、よくこの真城めぐみの激ウマボーカルを差し置いて片寄明人はロッテンハッツでメインボーカル張っていたなぁ(笑)。
「バイバイ・ブルース」


サニーデイ・サービス
『東京』(96)

あまりにも美しいジャケ。
ブックレットも情緒があって良い。

小学生の娘が、この「東京」を流すとイントロのピアノ聴いた瞬間にいつも、”あっ!この曲だ~い好き”という。短い曲ですぐに終わってしまうけれど、きれいな曲で好きなんだそうだ。世代を超えて響く曲を作れるというのはやっぱ凄いな。ついでにその次の「恋におちたら」もお気に入り。
1stも凄いアルバムだったけれど、個人的にはこの『東京』が一番好き。
「東京」



the chang
『acton』(96)

90年代、時代の音から少しずれたところに立ちながらも、なんとなく他のバンドとともに”時代の音”にカテゴライズされていたバンド。そんな印象のチャン。大好きなバンドでたった2枚しかアルバムが出なかったことが本当に残念でならない。色々な問題があったのだろう。1stから1名脱退(実質解雇だった記憶がある)、そしてこの2ndでは確かドラムの方が身体的な問題で叩けなくなりだした…そんなことを当時何かの記事で読んだ記憶がある。メンバーがしっかりとタイトで問題がなかったら、この素朴ながらも日本的アシッド・ジャズのような音をもっと聴けたのだろうか…。



キリンジ
『キリンジ』(97)

キリンジのインディーズ1st?

CDショップの試聴コーナーで聴いて即入手したキリンジの1stシングル?ミニアルバム? 今まで聴いたことのないサウンドだった。凄いコード展開と凝ったベースライン。ドラムもスネアとかアレンジもすごく良い。でも打ち込みなのよね。このタイプのサウンドで。そこがちょっともったいないと思った。でも、よくもこの時代にこんなバンドというか兄弟が登場したもんだ。この延長に「エイリアンズ」や「ドリフター」が生まれるのだよな。
「風を撃て」


『冬のオルカ』(97)

記憶違いでなければインディーズ時代に出た2nd MAXIだったような…。

キリン柄のジャケを最初にCDショップで試聴しめちゃくちゃ気に入り即入手した。それからすぐにこのマキシシングルが出て、待ってました!とこれまた即入手。3曲ともめちゃくちゃいい。「冬のオルカ」「水とテクノクラート」「休日ダイヤ」。このクオリティのポップスを聴いたことがなかったので、凝ったコード展開や文学的な歌詞に魅了された。唯一う~んと思ったのが、リズムが極めて生に近いのに打ち込みというところ。シンバル聴くとブレがなさすぎて冷めてしまう。
「冬のオルカ」



エルマロ
Super Gnome(97)

強烈なジャケ!
2枚組かと思いきや、8cmCDも!

EL-MALOのこの2枚組よく聴いたなぁ。結構キャッチーな曲が多く耳に残る。どういう過程で出来たユニットなのか知らないけれど、90年代のジャパニーズオルタナにおいて多くのバンドと絡んでいた重要なアーティストだと思う。参加アーティストもAsa-Changや菊地成孔、砂原良徳、堀江博久と豪華。
「Color」



ウルフルズ
バンザイ

100万枚売れた激売れアルバム!
特別な思い入れのある「トコトンで行こう!」

「トコトンで行こう!」には特別な思い入れがある。
というのも、このPVでウルフルケイスケさんが弾いている白のSGギターは僕がお貸ししたものなのだ(笑)。
東京に出てから僕の初めてのアルバイト先は豪徳寺にあるビデオレンタル店。そこに当時「すっとばす」発売直後だったか、

バンザイの前の2ndアルバム!これまためちゃくちゃ格好いい。

ウルフルケイスケさんこと岩本さんがアルバイトにやってきて、週に何度か同じ時間帯に勤務していた。そしてある日勤務の後音楽の話をしながら帰ったとき、「今度マキシでこの曲出すんだけどどう思う?(関西弁)」って言いながらくれたのがあの名曲。
「ガッツだぜ!」

岩本さんから頂いたガッツだぜのプロモ。Promotion use only / Not for saleと記載。

聴いてすぐに「これめちゃくちゃいいっす、絶対売れるっす!」と偉そうに感想を伝えたのを覚えている。そして、その後僕の感想とは全く関係なく、本当にとんでもなく売れて岩本さんはアルバイトを辞め、本業に戻っていったのだけれども岩本さんのお人柄はあの笑顔そのもので、売れてからもしばらくお付き合いは続く。一緒にバイトをしていたずいぶん年下のただのバイト仲間だった自分を日清パワーステーションでのライブに「チケットあげるから観においでよ!」と関係者席へご招待してくださったり、経堂の道を歩いているときに大きな四駆の自動車が停まったと思ったら、岩本さんが「元気?バンド続けてる?」とわざわざ窓を開けて声かけてくれたりと、本当にいい人なのだ。

そしてなんでだったか思い出せないんだけど、何かの話の流れから新しいMVで弾くギターを、僕が持っている白のSG使いたいんだけど貸してくれん?ということになり、もちろん喜んで!とお貸ししたのだ。

そのMV撮影の裏話をある雑誌のインタビューで語っており、その雑誌で岩本さんはウルフルズのメンバーにあのギターは「〇〇くん」から借りたもの、と誰も知るはずのない僕の実名を言って、トータスさんから「誰やねん!」というツッコミをされていた。極めつけはその雑誌で実名を出したことをわざわざ実名出してごめん!と連絡してきてくれたのだ。嬉しくなり僕は今でもその雑誌を大切大切にに取ってある(笑)
「トコトンで行こう!」



Little Creatures
little creatures meets future aliens

このジャケすごく好きなのだが、ちょっと焼けてしまっている。フィジカルはこれがあるんだよなぁ。
ミーツ・フューチャー・エイリアンズとナイト・ピープル、大好きなアルバム2枚。
ナイト・ピープルはレコードも所有。

デビューからずーーーっと好きなバンド、リトル・クリーチャーズの97年の3rdフルアルバム。彼らのリリースはミニアルバム含めて全て追っているので、改めて振り返ると、3rdまでに3枚ミニアルバムがあるのでこのアルバムも3rdアルバムという感じがしない。それにしても、97年にこの音を出していたと思うと改めてメンバー3人の音楽的奥行きの深さとセンスの良さを感じる。良い曲だらけだけれども、一番好きなのはアルバムイチChillな曲。「ill」

さて今回は「フィジカルで聴く 90年代の邦楽 第6弾。バンド編の96年~97年」。大好きなバンドの大好きなアルバムくを10枚紹介しました。次回はこのシリーズラスト、90年代の邦楽第7弾・バンド編の98年~99年をお送りいたします。よかったらまた読んでいただけると嬉しいです。


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