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花屋と無職 ♯12日目

 最後に花屋に行ったのは、子供の頃、母の日のプレゼントを買いに行ったときだろうか。

 コロナ禍で、在宅時間が長くなり、自宅に花を飾る人が増えたというニュースを見た気がするが、同じことが自分の身にも起ころうとしている。

 家にこれだけ長くいると、少しでも家を快適なものにしようというマインドが芽生えてくる。仕事もしていないのだから、そんなに家を居心地よくしてどうするのかといわれそうな気もするが、むしろここにしか居場所がないのだから、自宅をベストな場所にしようとするのはものすごく自然な行為のような気もしてくる。


 ということで、近所の花屋に行ってみようと決意したが、思わず素通りした。家に花瓶がないことに気づいたからだ。猫が間違えて、花びらを食べてしまってもいけないし。


 でも本当は、平日の昼間に花を買いに行けば、店員からの好奇な視線にさらされるのではないかと、怖くなっただけかもしれない。

 帰宅後ひっそりとアマゾンで造花を購入した。


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