交換日記(7)世界の終りときみを待つ夏の銀河について

<1周目のお題:世界の終りと>

二十一世紀とは、フード・コートに散らばる紙ナプキン。あまりに多くの植物繊維を燃やした僕たちの隙間で、「終末」というのもやはり空回りするのであったが、何にせよ臨時ニュースは虚構性を以って博多口に立ち尽くすのみである。

僕はこの駅の、とてつもないクロワッサンの悪臭に辟易する。外来種のパンが発する子猫の擦り寄りにも似た香りは、僕らを動物愛護的な感傷に浸らせようとするのだが、僕にはそれが空々しく、嫌だった。

駅を出ると、暑かった。七月を迎え、今年も駅前広場では人工ミストが潜熱を攫っていく。その周りで、子どもがはしゃいでいた。

高度規制により控えめな、しかしながら清潔な建築が、この街の風景である。僕は福岡のベッドタウンに生まれたので、このきらきらした硝子の街を初めて見た時に、見栄っ張りだなと思った。

ふと見上げれば、空では飛行機が黒煙を上げて堕ちる寸前だった。

少し青っぽい夏の匂いが、どこかから吹いてくると思ったら、子どもが置き去りにした、「氷」と書かれた紙コップだった。

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