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『FIRE』に薪を焼べる 第二回

「『FIRE』に薪を焼べる」と題して自作を解説する企画を始めた。今回で二回目となる。シリーズものの体裁を取っているが、前回の内容を知らずとも何ら問題はない。

私にとってトリプルファイヤーは分母と分子でいえば分子にあたる。分母はあくまで自分自身だ。これを<トリプルファイヤー/鳥居真道>というふうに表記してみよう。

バンドに加入してから10年以上が経った。生きた時間の三分の一に相当する年数とはいえ、私という領分において、ある一画を占めているに過ぎない。しかしこのような認識が共有できるのは自分と近親者に加えて、昔からの友人や知人ぐらいのもので、大方の人は<鳥居真道/トリプルファイヤー>と認識しているに違いない。お前はあくまで分子に過ぎない、と。いやいや、鳥居真道どころか、ギターの人、ワンオブゼム、なにがし程度に考える人が大半だろう。

こうした認識のずれを考慮せずに分子が分母のような顔をして出しゃばったとき、人は必ず失敗する。現段階において自ら分母を張れるほどのステージに到達しているとは言い難い。そしてこの先も到達しない可能性は極めて高いと見える。

そう考えて<鳥居真道/トリプルファイヤー>という構図を引き受けてこのような企画を立てた次第だ。この判断が正しかったのか、はたまた途方もない過ちだったのか、いまのところは判別しかねる。ひとまず残りの7曲を粛々と進めることにしよう。

人生を変える言葉

2016年5月中頃に着手。デモのタイトルは「猫ちゃん大集合」。

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