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揃える日

 作っても作っても標本作業が終わらない。

 未熟虫屋でもこれだけの数になるのかと、熱帯の威力を改めて感じる。スルーした虫がたくさんいること、虫以外にはあまり注意を向けられていなかったことは自分が一番よく分かっていてやはり計り知れない。
 国内での虫採りも加速してきており、毎週10~20ずつぐらい増えている。学生の間はNFという区切りがあるので頑張りやすいが、それ以降どうなるんだろうかと考えると今から恐ろしい。この調子でいくと分類群はまだまだどんどん広がっていくので尚更だ。最近心を入れ替えて少しだけ蛾を取るようになったし、一年後ぐらいには腊葉を始めていてもあまり驚かない。これだけ影響を与えてくる人材が揃っているのだから、それをしっかり受容できる力を自分の中でもつけていかないといけないと感じる、帰国後扱う範囲を広げたのでそういうことをついつい考えてしまう。

 飛行機の予約を2つ取った。ゆるやかな躁状態でババッと取ってしまった、今年中に叩き台となるサンプリングは済ませたいという気持ちがあり、一気に。南米を意識すると夏の海外は厳しいかもしれない、仕方ない。
 研究室に配属された先輩が、たったの数か月ですっかり丸くなってしまったのを見ると、今の僕がどれだけ意気込んでもいずれは採集に対する角が取れていくんだろうと思う。悪いことだとも悲し事だとも思わないけど、アイデンティティは大事にしたいもの。

 とりあえずは鹿児島、梅雨真っ只中で突っ込むことになるが、ここで人外魔境三錐決戦に終止符を打つ。かなり呪いなので、早く国内で採って落ち着きたい。

 今年はハサミムシで価値ある箱を作りたい。

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