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卵円孔早期閉鎖についてわかりやすく解説 〜①赤ちゃんの心臓のメカニズム編〜

この記事では
卵円孔早期閉鎖らんえんこうそうきへいさ」について

なるべくわかりやすく解説しています。

私の娘、むしゃ美は
お腹の中にいる時から
この「卵円孔早期閉鎖らんえんこうそうきへいさ」という心臓の病気がありました。

あまりない病気であるからこそ
情報が少ない状態なので

同じ疾患の子を持つ親がいらっしゃったら
力になりたい。

そのような気持ちで書きます。

(むしゃ子(筆者)は作業療法士
むしゃ夫(筆者の夫)は診療放射線技師。
二人で一生懸命まとめました。

書き手が医療職であるからこそ、読者様にとって
かなり難しく感じるかもしれません。

また、2人とも医療職とはいえ専門外の分野なので、もしかしたら認識に相違があるかもしれません。その点はご了承ください。)


記事は3つに分かれてます。

今回は
①赤ちゃんの心臓のメカニズム編です。

具体的に
卵円孔らんえんこう」とは
どの部位なのか
どのような役割をしているのか

などをまとめました。

心臓のメカニズム。四つの部屋、血管の名前、血液の流れについて

心臓は四つの部屋に分かれています。

心臓の上半分は「心房」
下半分は「心室」と言います。

また左右に分かれているので
それぞれ「右心房」、「右心室」、
「左心房」、「左心室」
という名前が付いています。

血管の名前に関して

右心室から肺に血液を送り出すための血管を
「肺動脈」

左心室から全身に血液を送り出すための血管を
「大動脈」と言います。


一般的な心臓内の血液の流れに関しては

全身から帰ってきた
酸素が乏しい血液(静脈血・青)は
「右心房」に入り

次に「右心室」に移動して
肺に送り出されます。


肺にて
血液は豊富な酸素をもらい受けて

静脈血(酸素が乏しい血液)から
動脈血(酸素が豊富にある血液)になります。


さらに
肺で酸素をもらった血液(動脈血・赤)は
「左心房」に入り

次に「左心室」に移動して
全身に送り出されます。

ここまで大丈夫ですか!!??
まだ続きますよ!

卵円孔らんえんこうはお腹の中にいる赤ちゃんにあるもの

お腹にいるときの赤ちゃんは
右心房と左心房の間にある壁に
穴が空いています。

それが「卵円孔らんえんこう」です。

卵円孔らんえんこうの他に
肺動脈と大動脈を結ぶ
「動脈管」という管もあります。

卵円孔らんえんこうがあることにより
血液が右心房から左心房に流れる現象が
起こります(黄の矢印)。

動脈管があることにより
肺動脈から大動脈へ血液が流れる現象が
起こります(黄の矢印)。

一般的には
呼吸をすることで肺に酸素を取り込み
その酸素の交換を肺で行います。

しかしお腹のなかにいる赤ちゃんは
肺で呼吸はしません。


胎盤を通じて母親から酸素をもらうことで
お腹の中の赤ちゃんは
生きることができています。

お腹の中にいる赤ちゃんは
肺で呼吸をする必要がないので

肺への血流は極めて少なくなります。

胎盤を通じて
母親から酸素をもらった血液は
右心房に流れ込み

その大部分が卵円孔らんえんこうを通り
左心房に流れます。


そして、
その血液は左心室に移動し
全身に送り出される仕組みです。


卵円孔らんえんこうや動脈管があることで
酸素を豊富に含まれた血液が
肺へ移動するのを最小限にし、

卵円孔らんえんこうにより
その大部分を左心房から左心室へ
移動することで、

速やかに全身に送り出すことが
可能となります。


卵円孔らんえんこう、動脈管は出生後に閉じていくもの

お腹の中にいる赤ちゃんの肺は
羊水などで満たされています。

出生時、産道という狭い場所を通ることで
赤ちゃんの体が圧迫されます。

圧迫されることで、
肺の中にあった水が
しぼりだされることになります。

圧迫されて、しぼりだされるように
産み落とされると

赤ちゃんは強く空気を吸うことになります。

このときに初めて、
空気が肺に入り、
肺による呼吸が始まります。

この最初の一呼吸目に合わせて
出てくる泣き声が、「産声」になります。


そして肺が広がり
酸素が速やかに体に入り、
酸素が豊富な血液がどんどん増えることで

心臓の内側に圧がかかり、

生後数分〜数時間のうちに
卵円孔らんえんこうが閉鎖します。


さらに動脈管は
肺動脈と大動脈の圧力の差によって
数日のうちに閉鎖します。


卵円孔らんえんこう
動脈管が閉鎖され

右と左の心房が独立することで

肺への循環と体全体への循環が
しっかり確立されることになります。

まとめ

今回の記事では、赤ちゃんの心臓のメカニズムについて書きました。

卵円孔早期閉鎖らんえんこうそうきへいさ」について理解するためには

まずは基本である、
赤ちゃんの心臓のメカニズムを
理解する必要があると思ったからです。

次の記事は
文献レビューについて

以上!
最後まで読んで頂きありがとうございました。


参考文献

・病気がみえる vol.2 循環器 第3版 2010  萩原誠久、松村譲兒ほか MEDIC MEDIA社

・病気がみえる vol.10 産科 第2版 2009 井上裕美、竹内正人ほか MEDIC MEDIA社


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