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サイコロで考える自分の「やりたいこと」

先日Twitterで「宇宙開発に携わりたいとき、大企業がいいか中小企業がいいか」という話題が上がっていたので、これについて考えてみる。
上記内容だけでなく、これは今回私が宇宙飛行士選抜試験へ応募した際にも取り入れた「自分がそれをやるかどうか」決める方法を紹介しようと思う。
一歩が踏み出せない誰かの参考になれば嬉しい。


サイコロで必要なのは「6」か?
すごろくをイメージしてみてほしい。
ゴールへ辿り着くためには、最初は6の目が出た方が有利な場合が多いだろう。しかしゴールに近づいていくとどうか?「6では大きすぎてゴールを通り過ぎてしまう」「1が出てほしい」そんな場面は頻繁にあると思う。
つまり、すごろくにおいて必要な目は必ずしも6ではなく、1~6まで平等の価値があると私は考えている。


これを自分のゴール=「やりたいこと」に置き換えてみる。想像力を働かせて、自分にとっての1と6を考える。
冒頭の例で考えると、ゴールを「宇宙開発に携わりたい」に設定する。
そうすると、6は「ロケットを作ること」、1は「宇宙開発企業にて必要となる書類のコピー用紙を発注すること」などが考えられる。
ここで注意してほしいのは、1に設定された職務が劣っているというわけではないということ。あくまで自分の抽象的な「やりたいこと」に対して、考えられる範疇の職務を設定してみてほしい。

そして考えてみる。自分は1の職務を担当した時に満足できるだろうか?
もちろんコピー用紙の発注は大事な仕事である。自分が発注しなければロケットが飛ばない可能性だってある。だから十分ここで満足できる、という人もいるはずだ。そういう場合はここですごろくのゴールは完成。その人は「宇宙企業に入る」ことで、やりがいを感じて毎日働いていけるだろう。


では反対に1では満足できない、6がやりたい、という人がいたとする。その場合ゴールをもっと具体化する必要がある。「宇宙開発に携わりたい」ではなく、「ロケット開発に携わりたい」と設定するほうが適切に感じる。

そしてここでまた1と6を考える。6は「NASAでロケットを作りたい」、1は「町工場でロケットの部品を作る」あたりになるだろうか。そしてまた考える。1で満足ならば、その人のゴールは「ロケット開発に携わる」に具体化されるはずだ。


いわゆるNASAやJAXAなど大きな名前の会社を魅力的に感じることは何も悪くない。
ただし、自分のやりたいことが会社の名前に惑わされていないかは、毎回考えてみてほしい。

こうやって、1の目が出ても嬉しいゴールを見つけ出せるまで、思考を繰り返す。これが私がいつもやっている方法。
困難は分割せよ。


最後に今回宇宙飛行士選抜試験に応募した私のサイコロを紹介する。ゴールは「宇宙飛行士になること」。


6は「日本人初の月面着陸者になる」「地球外生命体の発見に繋がるようなミッションにアサインされる」など。ちょっとずるいけれど、別にサイコロの目とそれに対する答えが1対1である必要はないと思う。想像力が豊かなほど1つには絞れないと思う。ただし、どんな場合でも1~6に振り分けることはやってほしい。
では1は何か。「宇宙飛行できないこと」だと思う。せっかく宇宙飛行士になったのなら、宇宙飛行したい。しかし現実にも、宇宙に行ったことのない宇宙飛行士はたくさんいる。
そこで考えてみる。宇宙に行ったことのない宇宙飛行士は何をしているのだろうか。地上での業務、訓練、キャプコムなど、地上にいながら宇宙飛行士を支えるポジションについている。ならば私にとって1でも十分満足できる。ということは、私のゴールは「宇宙飛行士になること」で十分満たされている。


またこうやって思考を繰り返しておくことにより、もしなんらかの事情で、今後一切宇宙飛行士になれるチャンスが失われたとしても、管制官や宇宙飛行士のインストラクターなんていう職務を選択肢として持つことができる。
そうすれば希望の灯が消えることはない。


とは言え今回私は絶対6の目を出す。
6を出さなくてはいけない場面も当然あることを忘れてはいけない。


やや抽象的すぎる話になってしまったかもしれないが、思考の方法の1つとして頭の片隅に置いてもらえると光栄だ。

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