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宇宙飛行士と花嫁修行

第0次試験通過者、205名。

2022/06/28 ふとTwitterを開くと宇宙飛行士選抜試験の合否が公開されていた。

書類選抜時点では2,266名いた受験者が、205名まで減っていた。
女性通過者は驚愕の17名。
職場で見たが、ビックリして腰が抜けるかと思った。

宇宙飛行士、当たり前だがそう簡単になれるものではないんだと改めて実感した。


胸の痛み

私は第0次選抜の前半・英語試験で落ちていたので今回の発表に直接ドキドキしていたわけではなかったが、やっぱりまだ自分事のように考えている。
なぜなら同志がまだたくさん戦っているから。

またこのタイミングで英語試験の通過者も出て、ほぼほぼ通過していたことが判明し、あの日と同じくらいちゃんと落ち込んだ。

落ち込んだら最近はブランコをよく漕いでいる。
ブランコを漕ぐと、宇宙に近づけるから。

ブランコを漕ぐ27歳会社員



選抜結果が公開されるたび、自分だけでなく同志の合否に一喜一憂してきた。きっとこれからもそう。

前回の記事で図々しくも取り上げた5名中、3名の挑戦が終わるところを見た。
ぐちゃぐちゃに泣いた。なんか色々他のことも思い出して泣きながらブランコを全力で漕いだ。


無名だった挑戦者たち

これまでは「第0次」と、正直言ってややこしい名称のせいで、何者かを明かさない受験者も多々いた。そもそも受験者であることさえ明かしていない人もいた。
言っても転職活動だし、転職の可能性が高くならない限り先んじて言うメリットもあまりないし、自然な思考だと思う。
(私は履歴書に「1年後宇宙飛行士に選ばれたら退職します」と記載のうえ転職活動をしていて、こっちのほうが圧倒的に少ないと思う)

ただ205名となると、Twitterで検索すれば半分くらいは観測できた。
おいおい、ここにいたのかよ、とフォローボタンを押した。


そして反対にこれまで職を明かさなかった受験者が、「自分じつは〇〇でした!」「挑戦していました!」なんてカミングアウトする場面も見た。


前々から思っていたけれど、受験者の経歴がやばすぎる。語彙力が足りないんだけど、こういうときに「やばい」と使うのはたぶん正しいと思う。

毎回「自分はこんな人たちと戦ってたのか…」なんて自信満々だった自分の青さをちょっと恥じたりしている。


私は往生際の悪いガキなのでなんやかんやあって未だに落ちたことを消化しきれていないけれど、たぶん合格者が発表されたとき、このどうしようもない靄が晴れることだけはわかる。


次が5年後なのかはわからない。
いつになろうと、わたしは諦めるつもりなんて毛頭ないけれど。


ただ、やらなければならないことがあるとわかった。


宇宙飛行士と花嫁修行

今回書きたかった本題。
わたしは「宇宙飛行士になりたい」。
この意志は固い。

しかしなぜ宇宙飛行士になりたいのか、深く掘り下げられるとあまりにも弱すぎる。

今回の選抜も、単に宇宙飛行士になりたかったから応募した。

・いまの日本ではJAXA以外に手段がない
・月に行きたい思いが強いわけではない
・成し遂げたいことはない
・強いて言うなら教科書に載ることが目標なので、日本人初のムーンウォーカーになりたい

こんな子どもみたいな理由。


宇宙飛行士というのは本来ただの職業、つまり手段であり、その先にあるものが今後問われてくるはず。
たぶんわたしは面接で落ちたと思う。

そんな話を知り合いにしたら、「お嫁さんになりたい、に似てるね」と言われた。
言い得て妙すぎた。

綺麗なウェディングドレスを着るために、洗濯、掃除、料理の練習。
どれも立派なお嫁さんになるためにやっているのだろうけど、いざお嫁さんになれたとき、その人はどうなってしまうのだろう?

私は自分がちょっと怖くなった。
宇宙飛行士になったとき、燃え尽きてしまうんじゃないか。
以前記事で書いたように、JAXAに入社した時と同じ気持ちに、またなってしまうんじゃないか。

そんなやつは宇宙飛行士になれない。
もっと具現化しなければいけない。

そのためには、もっと世界を知る必要がある。
幸いにも今回多くの同志に出会い、私の世界は広がった。
こんな機会がなければ一生話すことのなかった職業、地域、年代のみんな。

私はまだ、受験者の中では若い。
きちんと気をつけて健康に生きることができれば、チャンスがきっと来る。
次は逃さない。

だからちゃんと書いておこうと思う。


「私は火星に行って、キュリオシティーに挨拶して、一緒にダンゴムシを探す。」

笑われるかもしれないけど、大学の卒論でもきちんと学術的に書いた。
地球外生命体のことを知りたい。
それを知ることは、人類を知ることにつながる。
その結果、人類がもっと豊かに、地球に優しく生きられるようになると信じている。


昨日の合否結果を受けて、そう決意した。
火星の回に、きちんと選ばれるため、努力を続ける。



締めのnoteとか言ってイキった記事には書かなかったけれど、やっぱり今回の選抜試験を受けられたこと、同志に出会えたこと、こんな私を応援してくれる人がいると知れたこと、感謝している。

宇宙へ行くことで、恩返しします。

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