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能力と興味の不一致に悩んでいる方へ

これは宇宙飛行士選抜試験に直接関係ある話ではないかもしれないが、今回の試験に向けて私はかなり自己分析をした。
また同じく選抜試験を受ける様々なバックグラウンドを持つ方々との出会いもあった。それを踏まえて、選抜試験準備で挫けそうな人はもちろん、就活や受験に悩む若い世代へ向けてもメッセージを送りたい。
(私もこんなこと言える立場ではないのだが、人より失敗は多くしてきたほうだと思うので、反面教師にしていただけると嬉しい。)


そもそも文系・理系ってなに?

多くの高校では(もしくは中学・高校受験の際に)文系・理系のどちらに進学するか問われるタイミングがある。その際「国語ができないから理系に進む」「数学が苦手だから文系へ進む」という言わば消去法的に進路を決める人をよく見かける。数式を見るだけで全身蕁麻疹が出てしまう、というなら話は別だけれど、問題はそこではない。単にその試験の問題が解けないだけ。向いてるかどうかはその試験で測ることはできない。

このあたりは物理学が大の苦手な私が物理学科へ進んだ以前の記事も読んでみてほしい。
https://note.com/musesb_haruka/n/n8805c67107c5



自分は何がやりたいか?何に興味があるか?
この気持ちを一度確かめてほしい。人間には幸い「努力」という能力が平等に与えられている。結局根性論かよ、とため息をついた読者もいるかもしれない。実際私も学生時代は「努力できることもまた才能だ」と言い張って、努力することから逃げてきた人間なので気持ちはよくわかる。

しかし今回宇宙飛行士選抜試験へ向けて勉強していると、そんなのは言い訳に過ぎないとはっきりわかった。学生時代あんなに逃げてきた世界史の勉強をするのが楽しくてたまらない。それはなぜか?答えは簡単。その問題が解ければ宇宙飛行士になれるのだから。

だから何かを選択するとき、自分の得意・不得意ではなく心に従うという選択肢もどうか入れてみてほしい。そうすれば世界はもっと楽しくなるかもしれない。


大学院試に大失敗した私

さてここまで偉そうに能書きたれてきたが、私の就活はひどいものだったので是非紹介したい。

私はもともと外部の大学院へ進学するつもりで勉強をしていた。そんな時にソーシャルゲームにどハマりしてしまったのだ。実況配信まで始める始末。結果もちろん勉強不足で不合格。苦手だからとハナから捨てていた量子力学の問題に関しては、おそらく0点だっただろう。

それでも一応内部進学の推薦枠は残っていた。周りの友人はきっとその道を選ぶと思っていただろう。しかし私の頭にその選択肢はなかった。なぜなら内部進学したところで私のやりたい研究はできないと知っていたから。

そこで院試浪人が第一候補として上がった。研究室の教授もそれを薦めていたし、両親も反対することはなかった。

しかし私はもう一度考えてみた。大学院試に落ちたのは、どう考えても院試勉強よりゲームのほうが楽しかったから。単純に勉強から逃げていたと思われるかもしれないが、それで実況配信をするほどの熱量が生まれるとは思わない。つまり、その時の私にとっては大学院で学びたい気持ちよりもゲームに心惹かれていたのだ。
そこで決めた。こんなに私を虜にするゲームを作る会社へ入ろう。


新卒入社した私

大学院試は大体秋頃に終わる。つまり就活なんてとうの昔に終わっており、まだ募集している企業があるとすれば、欠員補充が主な理由だろう。
私が虜になったゲーム会社も、いわゆる大手の人気企業だったため新卒採用は終了していた。しかしそんなこと構わずESを送りつけた。人事にとっては良い迷惑だ。

しかしこの強行突破作戦が功を奏した。企業から「ぜひ面接をしたい」と連絡があった。この頃私はまだ両親に就活していることを隠していた。田舎から東京の私立に出してもらったのに、ゲームにはまってその会社へ就活をしているなんて伝えたら、おいおい宇宙はどうしたんだよ、と言われると思っていた。

こうして迎えた一次面接。就活対策なんてしていなかったのでありのままの受け答えをした。落とされたら院試浪人すればいい、それくらい気楽だったのが逆に良かったのかもしれない。
すると自分の予想とは反して人事は「君の実況配信は観たことがある。それが面白かったので面接を実施することにした。」と伝えられた。

結局エンジニアの枠であればまだ採用の余地はあるということで、役員面接まで進んだ。「SPIテストの結果を見て、君はどうやら紙一重のように見える。そういう人材を弊社では進んで採用している。しかし君は今までエンジニア経験がないので、即採用は博打とも言える。だから一ヶ月でこの課題を解いてまた持ってきてほしい。」と言われた。課題の内容は伏せておくが、私にはとてつもなく難しかった。諦めそうにもなった。しかしボロボロな成果物を1ヶ月後に提出し、採用された。
自分でも意外だったので採用理由を尋ねると、「そもそも課題を持ってこないと思っていた。素人には難しい内容なので、途中で辞退すると思っていた。しかし君はボロボロな成果物を恥じることなく持ってきた。それが採用理由。」素直に嬉しかった。こうして晴れて未経験エンジニアとして職を手に入れた。


結果的にそこそこのエンジニアくらいまでには成長した。何より任されていた企画立案やデータサイエンスの分野は私に向いていたし、楽しかった。
私の性格や適性を見抜いてくれた上司にはとても感謝している。


色々な経験を経て3年半程度でこの会社は退職し、宇宙企業へ転職した。
そしてまた、宇宙飛行士へ転職しようと希望に満ちているところだ。


なんだか長くなってしまったが、言いたいことはこれだけ。
不得意を理由に夢を諦めないでほしい。そのために人間には努力という平等のスキルが与えられている。

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