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私たちのお金は社会を変えるパワーだ

世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない。
農民芸術概論綱要

宮沢賢治がこう説いたのは、今から約100年前のこと。

「自分だけが幸せになっても、皆が幸せでなければ、本質的に幸せだとは言えない。」というこの考えは、ときを経て今、じわじわと世界に広がりつつあります。

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わけのわからないウイルスによって、世界と大きな距離ができてしまってからもう3年目。(いい加減にしてくれ〜!)
私は日々こんな本を読みながら、海の向こう、アメリカの動向を覗き、より良い未来の姿を想像しています。

文筆家・佐久間裕美子さんによって書かれた、
Weの市民革命

皆さんは、例えばスーパーで食材を買うとき、あるいはショッピングモールで服を買うとき、どのような基準で購入品を決めていますか?

安さ?それともブランドの知名度?デザインの良さ?

数年前からアメリカでは、消費者のマインドが「大量消費・大量破棄」から、企業やブランドの理念や価値にお金を払う「消費アクティビズム」のマインドへと変化を遂げているといいます。財布の中のお金は、自分が信じる正義や価値観とフィットする企業やブランドに使う。反対に企業の雇用環境や気候変動対策が粗悪な場合、その企業から商品を買うのをやめる。つまり、私たちの消費行動は、社会に対し、自身が大切にしている価値観の意思表示に直結するということですね。
著者は、これを「価値観を着る」と表現しています。(かっこいい〜!)

このアクティビズムを先導したのは、1981年〜1996年生まれのミレニアル世代。元来彼らは、社会や環境に対するモチベーションは高いが、個人主義でコミュニティ精神が欠如している「Me世代」と呼ばれてきました。しかし、トランプ時代に入り、財力と消費力のある彼らを中心に「消費」による社会運動が徐々に広がりをみせていきます。
それに続き、元々ミレニアルよりも世界を変えたいという意識が強く、コラボレーションや団結に興味のある1997年〜2000年以降生まれのジェネレーションZ世代が、トランプ政権下であらわになった人種差別やアンチ多様性、気候変動に対する危機感から、ミレニアルと強い連帯感を生み出し、この消費行動はさらに力を増していきました。

彼らが共有している価値観は「環境問題も差別も移民問題も、すべて地続きの人権問題だと捉え、自分自身の自由より、世界全体の人権を尊重し、過去に抑圧されてきた人たちの真の社会的平等を追求する」ということ。

かつて個人主義のMe世代と呼ばれたミレニアル世代が筆頭となり、自分以外の誰かのために声をあげたり、行動を起こす「We時代」へと舵を切ったのです。

おもに彼らがお金を使ううえで大切にしている指標は以下のようなこと。

アメリカの購買力でトップを走る彼らのこの消費行動は、企業や社会に対し、「環境問題や労働環境の問題を無視し、これまでのように利益を最優先するやり方ではこの先存続ができない!」という危機感を強くさせ、より良い未来への変革をもたらす大きな波となっているのです。

実際に、企業が自社の社会的立場を明示するようになったり、アパレルブランドが環境に配慮した生地で作った商品を次々と販売するようになったり、サプライチェーンの変更をしたり…と、多くの変化をもたらしています。
(本の中ではこれらの興味深い事例が沢山紹介されていのでぜひ読んでみてください!)

まさに私たちのお金は、社会を変えるパワーになるのです!

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さてさて。本題はここから。
私が伝えたいのは、海の向こう、遠くの国で今起こっているこの消費アクティビズムは、日本にいる私たちも今日から実践できるということです。

社会や政治に対して無関心に見えつつ、実は何をしたらいいか分からないだけで、なにかアクションを起こしてみたいと思っている人って意外と多いんじゃないかと思います。(そうであってほしい。)

デモに参加したり、企業に実態を直接問い合わせたりするのは少しハードルが高いけれど「モノを買う」という、とても日常的な行動が社会活動に繋がるのなら、あなたもやってみようと思いませんか?とはいえ、いきなり購入品すべてをきちんと精査して買わなきゃ><!なんて思う必要は全くないと思います。(そんなの私も絶対無理…)

これからモノを買うとき、選ぶとき、「安い」や「便利」だけを判断基準にしないという意識をまずは持つ。少し立ち止まって、こんな疑問を自分に投げかけてみる。

「どうしてこの商品はこんなに安いんだろう?」
(誰かの労働力が搾取された結果かもしれない)

「この服の素材は何が使われているんだろう?」
「この食材ってどこからきてるんだろう?」

(環境へのコストが大きいものかもしれない)

「この企業はどんな理念を持ってるんだろう?」
(企業の社会的立場に共感できないかもしれない)

それぞれができる範囲で、少しずつ少しずつ、より良い方を選べるようになる。資本主義という巨大なシステムの中で、私たち一人ひとりにできることは本当に小さいかもしれないけれど、その小さなアクションも、みんなで行えばいずれ大きな力となります。

一緒に始めてみましょっ!自分だけではなく、より良い社会のための、環境のための、抑圧された誰かのための、そんな消費を。それはきっと、あなたの幸せにも繋がる。

世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ないのだから。

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最後に、私が最近素敵だなぁと感じた日本の企業とブランドを少し紹介して、記念すべき第1回目のprayerを締めたいと思います。

□POLA
昨年の国際女性デー(3月8日)に"女性という性別だけではなく、自分は女性と自認する全ての人"を、POLAは「ケアする」という意志表示をしています。
https://www.pola.co.jp/wecaremore/iwd2021/

□FOOD TEXTILE
食品会社が廃棄予定の野菜に含まれる成分から、染料を抽出し、染められた素材・商品を提供するサステイナブルなプロジェクトブランド。
https://www.foodtextile.jp

□tennen.
現代の日本の技術と発想、クリエイティビティを駆使し、100% ゴミにならず土に還る服を生産しているブランド。
https://tennengood.com

最後まで読んでくださってありがとうございます。
あなたの明日が今日より少しだけ豊かになりますように。

Illustrator sena

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