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僕がひとまずなんとか英語で仕事ができるようになるまでのこと〜「何から始めていいからわからないから、とりあえず英会話かな」と思っているあなたへ〜


英語で仕事をしていた、と言うと必ず聞かれるのが、「留学していたのか」「海外に住んでいたのか」ということである。結論から言うと、留学もしていないし、海外に住んでいたこともない。さらに言えば大学は法学部だったし、英語は得意科目でもなかった。だから大学を卒業したとき、僕の英語力はとても実用で使えるレベルにはなかった。

そんな僕がどうして英語で仕事をするようになったかと言うと、単純に英語が必要な仕事を割り振られたからである。そうなると言うまでもなく、メールは英語で送られてくるし、時々は電話で話す必要も出てくるし、クライアントが来日すると打ち合わせも英語でこなす必要が出てくる。

経験したことがある人ならわかると思うけれど、英語の得意でない人間にとって、この環境に放り込まれることは恐怖以外の何物でもない。しかも当時は、入社直後で、日本語でのビジネスだってまだ危うい段階だったのに、さらに扱う言語が英語ともなると、これはもうパニックである。そして一通りパニクり尽くすと、パニクってばかりいられないということに気がつき、人間は解決方法を探すようになる。

そこでまずは送られてきたメールをじっくりと読んでみることにした。読んでみると、学業の英語と実際にビジネスで使われる英語にはかなりの距離があることがわかり、まずはビジネス英語に慣れることから始めた。

基本的には時差があるため、英語でのやり取りの基本はメールである。メールの読解はまだいい。使われている単語にさえなれてしまえば、文章は大学受験などで読んでいたものよりもはるかにシンプルだから(ビジネスメールやビジネス文書は慣れれば難しくないので、一冊ビジネス英語メール文例集などを買って、目を通してみてください。そして自分の仕事分野で使われる特殊な英単語は一通りおさえてください。もしそれでもわからなければ、大学受験に必要な基礎的な単語、文法はマスターしてください。そこはどうしても逃げられない)。

問題はその他である。僕は典型的な私立文系タイプだったので、基本的にライティング、スピーキングといったアウトプット系はからきしダメである。とりあえず送られてきたメールは返さないといけないので、受験の時に覚えた構文を必死に思い出し、ググりながら、なんとかやり取りをした。それから先方からのメールで、これはいいなあと思うものはエクセルにコピペしておき、徹底的にパクった。さらにビジネス英語メール文例集を参考に、出来るだけ新しい表現を使うように心がけた。ライティングはこうしてやっていけば、時間とともにどんどん向上していく。

スピーキングに関しては、基本的に僕はメールで作った文章を覚えてそのまま喋っていた。それから時々だけど、メールで済む用事なのに、電話をかけてみて、スピーキングの練習台に(勝手に)したりしていた。この場合、大事なのは難しい内容の会話をしないことである。「一応確認だけどさ」という程度の、結論がわかりきった、軽い話題に終始することが大事だ。決して難しい話題には持ち込んではいけない。ちなみにこれはリスニングの練習にもなる。

これはあくまで僕のやり方で他の人はどうなのかわからないのだけど、世の中の多くの人が英語学習を途中で挫折してしまうのは、たぶん「英会話」から始めるからだと思う。

ライティングのスピードで文章を作れない人が、スピーキングに求められるスピードで文章を作れるようになれるはずがなく(ましてや話せるようには絶対にならない)、だからまずは「英会話」ではなく、ライティングから始めることをおすすめします(いや、メールみたいな難しい文章は話せなくても、もっと簡単な会話ができればいい、という方がいますが、それは幻想です。メール文章なんて大して難しくないので、むしろメールで書く文章くらいは話せないと会話になりません。高いお金を払って”Really?” ”Aha”なんて相槌しか打てるようにならなかったなんてことになったら悲しくないですか?)。

もっと言うと、学生時代に勉強しなければならなかった単語や文法は、結局必要になるので、そこは避けられないと思って、頑張ってください。「英会話」はなんとなく楽しげに聞こえるのでつい引き寄せられがちになるのだけど、結局のところまずは基礎が大事なのだ。「英会話」の勉強が役に立つのはもっとずっと先の話である。

リスニングに関しては、最初は語学書についている綺麗に録音された英語をひたすら聞いていた。リスニング学習の全てに言えることだが、単語の意味と文章構造を理解している音を聞くことが必須。理解していない音を聞いてもただの雑音にしかならないから。

それから気に入った映画を何度も見た。最初は日本語字幕、次に英語字幕。そして最後はBGMがわりにするくらい何度も何度も同じ映画を見た。寝てる間もうなされるくらい流しまくった。語学書についている録音された綺麗な英語は実際の現場ではもちろん話されないので、映画やドラマで活きた英語への免疫をつけておくと良いと思う。あとは正しい発音記号を学んで発音の練習をして、音読もした。僕は耳があまり良くないので、いまだにリスニングは苦手なのだが、それでもこれでなんとか仕事では困らないくらいまでにはなった。

ここまでくると、今度は逆に相手の英語が意外とめちゃくちゃだったりすることに気がつき始める(例えばフランス人とか、ネイティブでない英語使い手たち。ちなみにインド人と話したときは相手の巻き舌が凄すぎて、話している言語が英語とはとても思えず、目の前にいるにも関わらず筆談したこともある)。だけどみんな気にせずにがんがんコミュニケーションを取っているので、出来るだけ正確な知識を身につけようと試みつつ、その時点でのベストの力を出して、細かいことは気にせずコミュニケーションを取っていくのがいいと思う。

僕は仕事で英語を使うという環境に恵まれていたけれど、今そういう環境にない方は基礎学習を怠らずTOEICである程度高得点をとって英語を使う部署に異動できるとベストだろう。絶対にミスできないという仕事の重圧の元で英語を使うのが英語力を向上させる最も効果的な道の一つだと思うから。

あとよく効果的と言われるのが、ネイティブの恋人を作ることなのだけど、僕は残念ながら経験がないので、はっきりとしたことは言えない。が、確かにこれももの凄く効きそうだ。仕事で英語を使う環境に身を置くことが難しいと言う人はこちらの方が早いかも知れないので是非試してみてください。効果のほどは保証できませんが、少なくとも楽しいことは間違いない。僕も試してみればよかったです。

と、ここまで読んできて、しんどそうだなあ、やっぱり無理だなあ、と思われた方もいるかも知れないけれど、でもちょっときつめのことを言うと、何事もそう簡単には「楽しい」と思えるレベルに達せないですよね。これ言ってしまうとちょっと悲しいけれど、「楽しく英語ができるようなったらいいな」という感じだとなかなかできるようにならないと思う。むしろ辛いのは当たり前、そんなに簡単に向上しないのは当たり前、と思っておくと、少し気が楽になるかも知れないです。

誰もがきついと感じることだから、それを乗り越えた時に価値が生まれるのだ。

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