曲面論を学びたい 6日目(パラメーター表示と正則なパラメーター)

もうすぐ一週間!やろうと思えばできるものですね。

さて、今日は曲面のパラメーター表示について詳しく見ていきたいと思います。

曲面$${S}$$は3次元ユークリッド空間$${\mathbb{R}^3}$$の中に入っているものを考えることにしましょう。球面のときの緯度と経度のように、「2つの値を決めると曲面上の点が決まる」という状況になっているとき、曲面がパラメーター表示されているといっていました。
このことをより数学的に表現すると、次のようになります:

[条件1] $${\mathbb{R}^2}$$の部分集合$${U}$$と、写像$${r: U \to\mathbb{R}^3}$$があって、$${r(U) \subset S}$$が成り立つ。

$${r(U)}$$は、$${U}$$の元を$${r}$$で移して得られる$${\mathbb{R}^3}$$の元すべてからなる集合です。集合論っぽく書くと、$${r(U) := \{r(u,v) : (u,v) \in U \}}$$となります。
$${r(U) \subset S}$$は、別の言い方をすると、すべての$${(u,v) \in U}$$について、$${r(u,v} \in S}$$だということです。

パラメーター表示の具体例として、今までも見てきたように、球面を緯度と経度を用いて表示するものが挙げられます。このときは、$${U}$$と$${r}$$は次のようになります:

  • $${\mathbb{R}^3}$$内の、原点を中心とする半径1の球面を$${S}$$とする。

  • $${U = \left(-\displaystyle\frac{\pi}{2} , \frac{\pi}{2} \right) \times (-\pi, \pi) \subset \mathbb{R}^2}$$

  • $${r(u,v) = (\cos u \cos v, \cos u \sin v, \sin u)}$$

しかし、実際に曲面論をやっていく上では、上の[条件1]だけでは不十分です。怪しい例としては、例えば次のようなものがあります:

  • $${\mathbb{R}^3}$$内の、原点を中心とする半径1の球面を$${S}$$とする。

  • $${U = \mathbb{R}^2}$$

  • $${r(u,v) = (0,0,1)}$$ (定数関数)

こうすると、$${r(U) = \{(0,0,1)\} \subset S}$$ですが、$${r(u,v)}$$の指定する点は北極点から動きません。私は球面の形を$${r}$$という関数を利用して調べたいのですが、これだと「北極点がどこにあるか」という情報しか手に入らないですね。なので、もうすこし球面の形がとれるような条件が欲しいです。そこで、正則なパラメーターを考えることになります。

[定義] $${\mathbb{R}^2}$$の部分集合$${U}$$と、写像$${r: U \to\mathbb{R}^3}$$があるとする。$${r}$$は無限回微分可能であるとする。このとき、$${r}$$が正則なパラメーターであるとは、次のふたつの3次元ベクトル
$${\displaystyle\frac{\partial r}{\partial u}(u,v) := \left(\frac{\partial r_1}{\partial u}(u,v), \frac{\partial r_2}{\partial u}(u,v), \frac{\partial r_3}{\partial u}(u,v)\right)}$$
$${\displaystyle\frac{\partial r}{\partial v}(u,v) := \left(\frac{\partial r_1}{\partial v}(u,v), \frac{\partial r_2}{\partial v}(u,v), \frac{\partial r_3}{\partial v}(u,v)\right)}$$
が一次独立であることをいう。ただし、$${r(u,v)}$$の各成分を$${(r_1(u,v), r_2(u,v), r_3(u,v))}$$と書いた。

これが実は「いい感じのパラメーター表示」であることを保証してくれるわけなのですが、今日はここまで! 次回は正則だと何が嬉しいのかを見ていきます。

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