曲面論を学びたい 2日目

一日坊主は回避できました! さっそくですが、今日は目標の定理を眺めてみることにします。

$${M}$$を境界$${\partial M}$$を持つコンパクトな2次元リーマン多様体とする。 $${K}$$を$${M}$$のガウス曲率とし、 $${k_g}$$を$${\partial M}$$の測地線曲率とすると、
$${\displaystyle \int _{M}K\;dA+\int _{\partial M}k_{g}\;ds=2\pi \chi (M)\,}$$
となる。ここに$${dA}$$は曲面の面積要素、$${ds}$$は$${M}$$の境界に沿った線分要素とする。また、$${\chi(M)}$$は$${M}$$のオイラー標数である。

Wikipedia日本語版「ガウス・ボネの定理」より(一部記述を改変)

これ、私が勉強したことのある言葉と知らない言葉が混じっていて、しかも知ってる部分は説明するのが難しい(何日もかかりそう)ので困りましたね…。具体的には、境界を持つコンパクトなリーマン多様体というのは知ってるけどここですぐに説明するのは大変です。

この企画ではなるべく多変数の微積と線形代数だけで攻めていこうと思っているので、定理を完全に理解することはいったん放棄して、特別な場合を考えてみます。(以下、いったんふんわりとした解説をして、今後ちょっとずつ細部を詰めていく戦略をとります)

3次元空間$${\mathbb{R}^3}$$内の半径$${r}$$の球面$${S}$$を考えることにしましょう。これは定理にある「コンパクトな2次元リーマン多様体」というものになっています。
また、$${S}$$には「端」のような部分がありません。ちゃんと言うと、$${S}$$の境界は空集合だということです。

そうすると、定理の式はこうなります:

$$
\int_S K dA = 2\pi\chi(S)
$$

これで若干読みやすくなった感がありますね。左辺は、ガウス曲率$${K}$$を面積要素$${dA}$$で積分したものです。
「面積要素で積分」というのもなかなか説明しづらいのですが、ざっくりいうと、曲面を細かく分割して「曲率」×「表面積」を計算して足し合わせる、というようなことをします。
それをすると、オイラー標数の$${2\pi}$$倍になるよ、というのが定理の結論です。

ここでちょっとググると、球面のオイラー標数は2で、半径$${r}$$の球面のガウス曲率が$${1/r^2}$$だという情報が出てきます。
半径$${r}$$の球面の表面積は$${4\pi r^2}$$でしたから、上の式は、結局、

$$
\displaystyle\frac{1}{r^2} \cdot 4 \pi r^2 = 4\pi
$$

と書けることになって、これは確かに成り立っています。

ここまで数学的にはあまりちゃんとしていない議論でしたが、知らない定理を読むときはこれくらいのテンションで検討をすることが多い気がします。
ちゃんとしていないついでに定性的に見てみるとこんな感じになりそうです:

  • $${r}$$が大きいときは、球面の曲がり方は緩やかになるが、その分表面積が増える。

  • $${r}$$が小さいときは、球面の曲がり方は急になるが、その分表面積が減る。

このようなトレードオフがあって、掛け算すると$${4\pi}$$になるよ、ということを言っているような感じですね。

他にもいろいろな場合を検討してみたい気もしますが、いろいろ計算するためにも各種定義を見ていくのがよさそうです。明日はガウス曲率とは何かを調べることにしましょう。

(雑に書くつもりがめっちゃ時間がかかってしまったな…)

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