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映画『ハント』豆知識&参考事件

1.21 事態(青瓦台襲撃未遂事件)
1968.1.21
北朝鮮工作員31人が朴正熙大統領及び官僚の暗殺未遂事件。

この時工作員たちは乱数表・コンパス・カメラ・手帳・双眼鏡・手榴弾・ラジオ等の当時としては高級な物を携帯しており 北朝鮮の用意周到さや力の入れ具合が明らかになった
優位を感じていた北朝鮮に侵入&攻撃されたことはいつでも戦争になりうる危険性を感じさせ 安全のため予備兵制度やスパイ偽装を防ぐ目的の1つである住民登録制度運用開始に結びついた↓参考動画

この後 対北朝鮮として組織された684部隊の北朝鮮侵入計画が結局は執行されなかった事による反乱「実尾島事件」が起きている
参考映画:『シルミド』



内部スパイ名「東林(トンニム동림)」
1967.7.8
韓国人留学生や教授が東ベルリンの在独北朝鮮大使館と接触しスパイ活動や北朝鮮訪問をおこなっていたとして韓国史上最多の人数がスパイ容疑逮捕された「東伯林(동백림)事件」が元との説もある

参考映画:『出国 造られた工作員』

北朝鮮に「平安北道東林軍」が存在するのでそこからという説もある


チャン・ヨンジャ(장영자)詐欺事件
夫イ・チョルヒや銀行員らとおこなった韓国史上最高(7000億₩相当)の金融手形詐欺事件
1982.5.4逮捕

キム・ジョンド(チョン・ウソン)の自宅で「江南のアパートが200万₩なのに640万₩云々」という部分はこの事件から
「知人に高官でもいれば」と言うのはチャン・ヨルジャの夫が安全規格部の次長や国会議員を務めていた事に由来する

カンヌ国際映画祭公開版ではもう少し多めに会話しているそう

朴正煕暗殺事件(10.26事件)
KCIA所有の秘密宴会場で中央情報部部長が大統領と大統領警備室長らを暗殺した事件
→キム・ジョンドとパク・ピョンホが最初に会ったきっかけの話として登場する

参考映画:『KCIA 南山の部長たち』『ユゴ 大統領有故』『大統領の理髪師』


作戦名「暴風」
1950年この電報とともに韓国に攻め入り朝鮮戦争が始まった
今だに「暴風軍団」と呼ばれる精鋭部隊が存在する

スパイが対韓国上層部との接見を要求をした際に「暴風レベル1」ではないと断られる
北朝鮮にとって大事なものにつける「暴風」を使用したと思われる


冒頭の騒動 ワシントン

映画『ハント』より

◯全斗煥大統領がアメリカ訪問したのは1981.2.1〜3

◯パク・ピョンホ次長率いる海外チームとキム・ジョンド次長率いる国内チームが米CIAとの合同でVIP保護勤務をしているという設定
外では大統領独裁に反対する在米韓国人が集会を開いている 人形には「殺人魔」と書かれている

釜山地域の大学生が光州民主化運動の流血鎮圧及び独裁政権の秘訣に対する責任を米国側に問う「反米自主化闘争」
1980 光州アメリカ文化院放火事件
1983 大邱アメリカ文化院爆発事件
1985 ソウルアメリカ文化院占拠座り込み事件 
こういった事件も膨らませたのでは?



カンヌ国際映画祭公開バージョンが存在する
カンヌの反応を見たイ・ジョンジェ監督が再編集し125分になった
→インタビュー2022.8.4記事参照


■コンピュータ洗濯

映画『ハント』より

◯ボタン1つ押すだけで脱水まで機械がおこなってくれる当時最先端の洗濯機を表現するのに「全自動」よりは「コンピュータ」の方が民衆に理解しやすかった模様。街中に「コンピュータクリーニング」「コンピュータ洗濯」の看板を掲げるお店が増えたのが1980年代



車内設置携帯電話「カーフォン」

映画『ハント』より


1960年代に車に設置するタイプが官用として導入される。 1984年に現SKテレコムが一般向けに販売開始。大衆車350万₩に対して権利や設置料諸々で400万₩かかった。車を必要としない携帯できるタイプは 1988年ソウルオリンピック前後に一般人も入手できるようになったそう
チャン・チョルソン(ホ・ソンテ)が使っているのは後者では

映画『ハント』より



韓国民主化運動

映画『ハント』より

1980年代は大学街での民主化運動、労働界での労働運動闘争が非常に活発に起きはじめた時期 それを辞めさせる意味でもスパイ検挙が活発に行われた。警察は公安事件を検挙すると実績が上がり昇進にも有利になる為 民主化&労働運動デモ現場にわざわざ出向いて参加者を検挙した。それに伴う拷問による人権損害や暴力 虚偽を含む自白の強要が急増した



日本設定
コロナ禍で海外撮影ができす釜山のある一帯を架空の街に仕立て撮影している
→比較はロケ地のページへ(製作中)

映画『ハント』より
日本1983.4.29公開 映画『楢山節考』ポスター

柱の文字「つらいよ」「富次郎」から考えると
日本1978.12.27公開
22作目『男はつらいよ 噂の富次郎』

『画宝の痴態』『花のテクニック』『くずれる女共』
これらは架空の作品の模様だけれど何故こういう系?


1970-1980年代北朝鮮スバイについて
乱数(暗号)
主に番号を読み上げるだけの深夜短波ラジオ放送(乱数or暗号放送)2000.6.15南北首脳会談後に放送中止となったが2016年に再開した


受け手側が数字に対応した文字情報を元に解読することができる。放送以外にも様々な方法で情報が伝達されたが 受け手側も表ではなく本(ページの先頭文字を拾う)等様々な形に変化した

映画『ハント』では韓国に同化しており訛もなくスパイが誰か分からないが1970年に江陵出身の北朝鮮スパイ逮捕された事もあるし 過去は明らかにされないが幼い年齢でスパイになったとか北朝鮮に滞在した期間が至極短いと考えると納得がいく

北朝鮮スパイが使っていた無線機や乱数表1977年

日本に侵入した北朝鮮工作員による拉致が多発したのも同時期

当時日本には団体旅行・ビジネス・留学・親戚訪問等を除く個人旅行は認められていなかった


韓国飲酒可能年齢
19歳


興行的数字
韓国観客動員数 435万2513人
製作費250億₩ 損失分岐点は観客動員数420万人
2022年損失分岐点を越えた韓国公開韓国作品は8作品のみ

#映画ハント #イ・ジョンジェ #チョン・ウソン

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