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わたしの変な『好き』

高速バスに乗っている。
東京までの4時間半。

仕事をしている4時間半、映画を2本見ている4時間半と時間は同じなはずなのに、高速バスに乗ってる4時間半は非常に長く非常にお腹も空く。

なにもしてない時間だけど首も腰も中途半端な位置にあり、脚も何度も組み直し、けっこう苦痛な時間。

こんな時にバスの前方についているモニター画面にアニメとか映画とか流れてくれないかな〜と小学生のときの遠足を思い出す。

そのモニターには行き先とバスのアニメーションが同じ動きをしている。
一定の動きしかしないから見てても面白いものではないが、そこに視線を向けると前の席に座っている人の頭が見える。

先ほどまで背もたれに頭を預けて寝ていた様子の頭は、いまは自立している。頭の角度も変わるので起きていると推測する。

髪の毛はサラサラしているとは言い難いがしっとりしすぎているとも言えないしっとり感で寝癖がついている。
ときどき頭をくしゃくしゃとかき回す。

わたしはこういう頭が大好きだ。

頭というか髪型というか。
その人の横に座っている、サラサラ気味の男性の頭と比べてみるが、圧倒的に前者がいい。

別にお顔を拝見したわけでもないけれど妙に気になる。いい意味で。

これで少し体格がムチッとしていて、ファッションに興味がなくシンプルなシャツにチノパンだったらなお良い。
体格は細くもなくムキムキでもなく少しだらしない方がいい。

そう。髪型もファッションも少しだらしない人に惹かれる。

なんだろう、難しいこの感情。
こういう人がタイプってわけでも無さそう。
イケメンなら嬉しいし、もっと他に好きな髪型だってある。今どきなセンターパートとかものすごく好き。

不思議な感覚。
昔好きだった人に似ているからとかそういうところかもしれない。

その容姿で性格までだらしない方が好きなのかと言われるとそれは違う。

面倒すぎる。ここまで書いてきたくせに急に自分の面倒な部分が目につく。

性格は程よくきっちりしていて欲しい。普通サイズで。

…とくに落ちもないわたしの独り言であるが、つまりわたしは今まで記してきた頭をただみるだけで満足。

今のままで、その素敵な髪型のまま生きてくれよな、前の席の人。

スイーツを買うためのお小遣いにしたいです。食べてる時の顔が幸せそうで好きと好評です。